デジタル人材派遣のJobandtalentが米国進出に向けソフトバンクから129億円調達

スペインのデジタル人材派遣スタートアップJobandtalent(ジョブアンドタレント)がシリーズDの資金調達でソフトバンクのビジョンファンド2から1億ユーロ(約129億円)を獲得した。Jobandtalentはeコマースや倉庫業、ロジスティック、製造などの分野で臨時労働者を必要とする雇用者と人材をマッチングするツーサイドプラットフォームを運営している。

同社の既存投資家にはAtomico、Seek、DN Capital、InfraVia、Quadrille、Kibo、FJ Labsなどがいる。

今回の資金調達は、TechCrunchが1月に報じた1億800万ドル(約117億円)のシリーズCラウンドにすぐさま続くものだ。2009年の創業以来、同社がこれまでに調達した額は3億1000万ユーロ(約400億円)になった。

Jobandtalentはまた、BlackRockからの最大1億ドル(約108億円)のデットによる調達も発表した。

現時点ではデットとエクイティの組み合わせの方が、資本が少ない場合よりも速くマーケットプレイスの成長を加速させることができ、より多くのリソースをプロダクトやテック開発に注ぐことができるとJobandtalentは話す。

テック面についていうと、同社のプラットフォームは人材と仕事をマッチングするのに学習アルゴリズムを使って雇用プロセスをスピードアップしている。また雇用者向けに、労働者のパフォーマンスをリアルタイム追跡して分析するのに使えるCRM(顧客関係管理)も提供している。このCRMは労働者の満足度をモニターし、労働者の自然減を抑制し、欠勤や遅刻のようなメトリックスを追跡するのを手伝うとJobandtalentは話す。

人材向けには、着実にそして簡単にシフトワークを獲得できると約束している。Jobandtalentは求職申し込み管理と給与支払いを1カ所に統合しているために、マーケットプレイス / ワークフォース・アズ・ア・サービスのモデルが人材に継続雇用(例えば連続した一時的な業務を通じて)を提供することができると示唆する。

マーケティングでも、こうした労働者に通常フルタイムの雇用にともなう雇用保障と、年金や有給傷病休暇、健康保険(一部のマーケットでのみ)、訓練コースといった福利厚生を提供するとしている。

共同CEOで共同創業者のJuan Urdiales(ホアン・ウルディアレス)氏によると、新たに調達した資金でJobandtalentは「来年」米国マーケットに参入し、現在展開している8つのマーケット(スペイン、英国、ドイツ、フランス、スウェーデン、メキシコ、コロンビア、ポルトガル)の外に事業を拡大する。

ウルディアレス氏は欧州でさらに2つのマーケット、イタリアとオランダに目を付けていることも認めた。

「米国ではまだ、当社が専門とする分野(eコマース、ロジスティックなど)で大規模に複数の州で事業展開する競合相手を目にしていません。これが、当社が米国で大きなチャンスを手にしていると確信している理由の1つです」と同氏はTechCrunchに語った。

「米国は開拓するのにかなり難しいマーケットになるかもしれません。しかし、多くの欧州企業が米国に事業を拡大し、成功する例が増えています(SpotifyやKlarna、Adyenなど)」と付け加えた。

「当社にもそれが当てはまると信じています。かなりの労働者の権利と複雑な規制環境をともなう欧州で当社のモデルを展開し、当社は米国でプラットフォームを立ち上げて労働者や雇用者に価値の大きな提案を提供する絶好の位置にいます」。

ウルディアレス氏によると、Jobandtalentのプラットフォームは米国でも他国と同様の特典や福利厚生を労働者に提供する。

「当社のマーケットプレイスで提供されている特典や福利厚生はどこの国の原則も満たし、それらはすべて労働者に正規従業員と同じ種の福利厚生や特典を提供することを目的としています。これを実行するにはどの国でもいくらか調整が必要で、米国でも同様でしょう」と述べた。

2020年は労働者8万人超が臨時の仕事を探すのにJobandtalentを活用した、と同社は話す。そしてXPO、Ceva Logistics、eBay、Ocado、Sainsbury’s、Bayer、Santanderなどを含む企業850社超が臨時労働者を確保するのにJobandtalentを使った。

Jobandtalentの売上高ランレートは2016年の500万ユーロ(約6億5000万円)から2020年には5億ユーロ(約646億5000万円)に成長した。これはEBITDAでの黒字につながった、と同社は話す。同社はまた、前年比で100%を超える成長率もうたっている。

声明でのコメントで、ソフトバンクのマネージングパートナーYanni Pipilis(ヤニー・ピピリス)氏は次のように述べた。「Jobandtalentは、フレキシビリティと高品質、信頼できる就業機会のバランスをどうとるかという、現代の労働力に関する重要な問題を解決しています。同社は、労働者のために安定収入と福利厚生を確保しつつ、補充すべき臨時労働職を抱える事業者への高達成と低欠損の人材派遣を提供する追跡記録を持つ、データに基づくプラットフォームを開発しました。同社の成長の次段階でホアンとフェリッペ、そしてチームと提携することにかなり興奮しています」。

シリーズDでソフトバンクからの投資を受けるという決断について、それはソフトバンクが提供できる規模によるものなのか、それともJobandtalentがソフトバンクの他のポートフォリオ企業との潜在的な相乗効果を期待しているのか尋ねると、ウルディアレス氏は次のように語った。「ビジョンファンドは当社と同じような規模の企業と多くの経験を持っており、ビジョンファンドのチームが今回の新たな投資ラウンドで当社に多くの価値を追加してくれると確信しています。当社はビジョンファンドが過去数年に出資した企業やマネジメントチームから多くのことを学ぶことができます。ビジョンファンドは起業家的なマインドセットとテクノロジーやAIがどのように多くの産業をディスラプとするのかについて明らかなビジョンを持っていて、当社のカテゴリーに関して同じビジョンを共有しています」。

カテゴリー:HRテック
タグ:Jobandtalent資金調達ソフトバンク・ビジョン・ファンド

画像クレジット:Jobandtalent

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(文:Natasha Lomas、翻訳:Nariko Mizoguchi

投稿者:

TechCrunch Japan

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