Facebookは今日(米国時間4/9)、そのスタンドアロンアプリ戦略を、新たな極限へと推し進めた。iOSおよびAndroidのユーザーは、Facebookアプリでメッセージを送受信する選択肢がなくなり、モバイルでチャットするにはFacebook Messengerをダウンロードしなければならなくなる、という通知を開始した。
Facebookのメインアプリには、メッセージングの全機能を備えたタブが常に存在していた。しかし数ヵ月前、FacebookのスタンドアロンMessengerアプリをインストールしているユーザーは、メインアプリのチャットタブが、Messengerアプリへのリンクに置き換えられた。しかし、これはオプションだった。iOSやAndroidのFacebookアプリ内でメッセージをやりとりしたい人は、Messengerをダウンロードしなければよかった。それがもはや選択肢ではなくなる。
変更に関する通知は、今日からヨーロッパの一部ユーザーに対して送られる。Messengerのダウンロードが必須になるまでには2週間の猶予があり、それまで複数回警告が表示される。最終的には、全Facebookユーザーが新しい方式に移行される。そして、怒るユーザーが現れること請合いだ。
この移行から逃がれるには、OSが古すぎてMessengerが動作しないローエンドのAndroid機を使うか、Facebookのウェブサイトを使うか、あるいはFacebookのスタンドアロン・コンテンツリーダーアプリ、Paperを使うかしか方法はない。
私が11月にMark Zuckerbergと壇上で話した時、CEOはこの変更の事情を披露したのだが、今日Facebook広報チームが私に招介したのがそれだった。
「Messengerに関してもう一つわれわれがやっているのは、Messengerアプリを持っているユーザーのFacebookアプリからメッセージ機能を外すことだ。それをする理由は、Facebookアプリの中にこの機能を二級品として残しておくことは、メッセージの返信に余計な摩擦を生むだけなので、もっと特化したアプリを使ってもらう方がいいと気付いたからだ」
事実上Facebookは、メインアプリ内のメッセージング機能を、遅くて、忘れられた、概して標準以下の存在であると見ている。恐らく同社の統計データは、より多くのユーザーがスタンドアロンMessengerアプリを使い、より良い体験をしていることを示しているのだろう。
しかし、ユーザーに新しいメッセージング体験を強制することは、非常に不評を買う恐れがある。誰もが複数のFacebookアプリをホーム画面に置いたりフォルダーに入れておきたいわけではない。Facebookユーザーの中には、シンプルに1つのアプリでFacebookのすべてをこなしたいと思う人もいる。たとえ、それがスローでメッセージを送までのタップ回数を増やすことになっても。
Facebookは、メインアプリの肥大化を批判されてきたが、この発表はいささか過剰反応であり、機能毎に専用アプリを作ろうかという勢いだ。モバイルチャットを一種類だけ維持すればいいというメリットは明らかだ。新機能を早く取り込め安定性も増す。そしてひとたびユーザーがMessengerをセットアップする労をとりそのスタイルに馴じめば、それまで以上に喜ぶかもしれない。個人的には、Messengerの簡潔なルック&フィールや遊び心のあるサウンドは好きだし性能も良い。
本誌のMessengerのハンズオンと、デザイナーたちのインタビューのビデオを下に貼った。
しかしこうした一方的な強制移行は、まさしくFacebookが嫌うタイプの変更であり、いっそう多くの疑心暗鬼を生むだけだ。もっとゆっくりとした「いずれ全員に変更してもらうので、今のうちに変更した方がいいですよ」的アプローチの方が、「あなたの親しんだチャットインターフェースは好むと好まざるによらず2週間で消滅します」よりも良い結果を生んだかもしれない。
この急激な変化に対する唯一の説明は、極端な事態には極端な対応、ということだ。Facebookは、海を越えてメッセージング戦争を戦っている。WhatsAppを190億ドルで買ったものの、依然としてスタンドアロンのメッセージングアプリ、WeChat、Kik、KakaoTalk、Lineらと戦わなくてはならない。強制されない限り、ユーザーはFacebookアプリの古いメッセージングインターフェースにしがみついたまま、ライバルとの競争力の高いものがあることに気付かないままでいるかもしれない。しかし、だからといってこの変更が受け入れやすくなるわけではない。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)