大日本印刷は8月4日、電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド自動車(PHEV)、無人搬送車(AGV)などのための、薄型・軽量・低コストの11.1kW(キロワット)の大電力に対応したワイヤレス充電用シート型コイルを開発したことを発表した。大日本印刷では、この製品化を進め、2025年までに年間50億円の売上げを目指す。
11.1kWは、自動車や航空機の規格開発を行う米非営利団体SAE International(Society of Automotive Engineers International)が定めたワイヤレス充電の規格「WPT」の中の、最大出力となる「WPT3」に該当する。つまり、世界のあらゆる電動車両の充電をカバーできる。
大日本印刷では、ワイヤレス充電技術が車のEV化を促進し、センサーやカメラを使った「自動駐車」技術とともに欠かせないものになると注目している。しかし、ワイヤレス充電には、従来のリッツ線(撚り線。よりせん)を使ったコイルでは、厚みと重量とコストが大きくなるという課題があった。そこで大日本印刷は、エレクトロニクス部門で培ってきた知見に基づくコイル設計技術と製造技術を用いたワイヤレス充電用シート型コイルを開発した。
このシート型コイルには、以下の特徴がある。
- 送電側と受電側の両方のワイヤレス充電システムに対応
- 電動車向けのフェライトを含めたコイルの厚さは約3mm、重量は約1kg(SAE Internationalが規定するJ2954 WPT3/Z2対応)。リッツ線を用いた同仕様の既存製品の厚さ約12mm、重量約4kg以上と比べて、厚さ・重量ともに約1/4
- 材料を削減できるためコスト低減が可能
- 独自のコイル設計技術により、コイルの外側に発生する漏洩磁界を低減。熱の低減や平均化も行うことで大電力伝送を実現
- コイルのサイズや使用電力に合わせた最適設計により、設置スペースが小さな無人搬送車にも応用可能
- コイルで発生した磁界を熱に変えるIH家電用コイルとしての代用も可能
今後はこの技術を、国内外の自動車メーカー、システムメーカー、道路などのインフラ関連業界のほか、AGVメーカーやIH家電のメーカーにも提供し、さらに、走行中充電への応用も展開してゆくという。
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