この2年間に奇妙なことが起こった。何年もの間、落ち込んでいたオートバイとスクーターの販売が復活したのだ。これはBMWの二輪車部門であるMotorrad(モトラッド)とその最新の電動スクーター「CE 04」にとって良い知らせだ。
ロサンゼルスオートショーに先立つイベントで披露されたこのレトロフューチャーなバイクは、二輪車ルネッサンスの波に乗ることで、電動スクーターがより広く受け入れられる先駆けとなる可能性がある。
BMW MotorradアメリカのTrudy Hardy(トゥルーディ・ハーディ)副社長は、この二輪EVが単なるクールなバイク以上の存在になると考えている。「このカテゴリーにスクーターが入ることは、交通手段における課題の解決になるという点で興味深いと、私は思います」。
2022年初頭に発売予定のCE 04は、1万1795ドル(約135万円)から。BMWのすべての製品がそうであるように、この製品もプレミアムな価格が付けられている。しかし、その機能と電動であることを考えれば、実際にはお買い得と言えるかもしれない。
このスクーターは2人乗りで、42馬力のパワーと62Nmのトルクを発揮する。容量8.9kWhのバッテリーパックは、一度の充電で130kmの距離を走行できるという。最大6.9kWのレベル2充電に対応し、1時間40分でフル充電できる。
さらに、10.25インチの大型TFTディスプレイを搭載し、BMW Motorradアプリと組み合わせれば、ターンバイターンのナビゲーション機能が利用できる他、コーナーでどれだけ体を傾けたかといったライダーのデータや、車両の一般的な情報も把握することができる。
電動二輪車の世界では、Harley-Davidson(ハーレー・ダビッドソン)から「Livewire(ライブワイヤー)」が登場し、Zero Motorcycle(ゼロ・モーターサイクル)が繁栄を続けているが、CE 04は電動スクーターだ。
ハーディ氏は、BMWにとってこれはスマートな戦略だと確信している。「モーターサイクルなんて検討していなかったような新しい人々をブランドに引き入れ、そういう人々にこれがフレンドリーなソリューションだとわかってもらえるでしょう」。
BMWが米国市場に初めて導入した電動スクーターは「C evolution(Cエボリューション)」だった。しかし、これは実質的にはパイロットプログラムに過ぎなかった。「実際には、下調べのためのちょっとしたテストでした。これ(CE 04)は、電動車市場に本格的に参入する当社の最初の試みです」と、ハーディ氏はTechCrunchに語った。
とはいえ、米国では人々がスクーターを過小評価する傾向があることに、ハーディ氏は神経質になっている。同氏のいう新しい顧客とは、オートバイやスクーターに初めて乗る人々のことだ。現在、電動アシスト自転車に乗っていて、CE 04のような電動スクーターにステップアップするような顧客には、見た目以上にパワフルであることを理解してもらえないかもしれない。スクーターというと、パワーが足りないという先入観から避けられることも多いが、実際には電気自動車を活発に走らせる強力な電動モーターのトルクが、このスクーターにも備わっているのだ。これは玩具のような乗り物ではない。幸いなことに、BMW Motorradのラインナップでは、アンチロックブレーキなどの安全装備が全車に標準装備されている。
二輪車が初めての人にも、経験豊富な人にも、CE 04はちょっとした新しさを提供する。コンパクトでありながら活発に走るEV二輪車は、シティコミューターの答えになるかもしない。ハーディ氏は、これを会社全体の継続的な動きの一環として捉えている。「BMWはこれまで常に性能面と技術面で知られてきた会社です。そして今、電動化の領域を四輪から二輪へ拡げようとしているのは、すばらしいことです」。米国では現在、新しいバイクやEVを購入する人が増えていることも後押しするだろう。その双方の組み合わせは、ファンキーなCE 04を勝利に導くかもしれない。
画像クレジット:Roberto Baldwinn
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(文:Roberto Baldwin、翻訳:Hirokazu Kusakabe)