LINEと米Salesforce(セールスフォース)は10日、パートナーシップを締結したことを発表。LINEはSalesforceのCRMサービス「Salesforce ExactTarget Marketing Cloud」と連携し、公式アカウントを持つ企業向けに提供する「LINEビジネスコネクト」の導入負担を軽減する。日本とアジアを中心に収益化を進めるLINEだが、アメリカやヨーロッパに強いセールスフォースと提携し、海外の法人需要開拓の足がかりにする狙いもある。
LINEビジネスコネクトは、公式アカウントを開設した企業が持つ顧客データベースと接続し、LINEを使ってユーザーごとに最適化したメッセージを送れるサービス。従来の公式アカウントは、すべてのユーザーに同じメッセージしか送信できない「一方通行」だったが、LINEビジネスコネクトは性別や年令などの属性に応じてメッセージを送り分けられるのが特徴。
2月の発表以降、注目を集めるLINEビジネスコネクトだが、企業側は顧客データベースを連携するためのシステム開発が負担だった。導入費用についてLINEは「一概に言えない」というが、一部の企業からは「億単位」といった声も上がっている。そこでLINEはセールスフォースのCRMサービスと連携することで、企業のシステム開発負担を軽減する狙いがあるようだ。(関連記事:LINEが企業向けにAPI公開、既存のマーケティングツールを置き換えようとしている)
Salesforce ExactTarget Marketing Cloudは、顧客データベースやウェブ閲覧履歴などに応じて、メッセージやコンテンツを効率的に配信できるサービス。LINEの公式アカウントを持つ企業は今後、セールスフォースの顧客データベースと連携し、ユーザーごとに最適なメッセージをLINEで配信できるようになる。Salesforce ExactTarget Marketing Cloudの利用料金は明らかにされていないが、日経新聞によれば年間800万円程度だとしている。
両サービスの連携は10日に日本でスタート。両社は今後、既存顧客企業でお互いのサービスを検討している企業に対して、両社サービスの連携によるシナジー効果を訴求することで新たな顧客獲得も図っていく。