Metaの実験的アプリ部門NPEの新仮説「次の大きなアイデアは米国市場で生まれるのではないか?」

Meta(旧Facebook)の実験的アプリ部門であるNPE(New Product Experimentation)チームがシフトチェンジしている。2019年半ばに初めて発足した当グループは、新しいソーシャル機能をテストし、人々の反応を測るための消費者向けアプリの構築に注力してきた。

カリフォルニアのメンローパークを拠点としたチームは、長年にわたりデートアプリ通話アプリミームメーカーからTikTokTwitterClubhouseのライバルカップル向けアプリなど、数多くの実験的アプリを始め、引退させてきた。そして今、NPEは、新たな仮説の検証を開始する。それも、大きなアイデアは米国以外の市場から生まれるのではないかというものだ。

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このような潜在性への投資として、NPEは最近ナイジェリアのラゴスにオフィスを開設し、近々アジアにもオフィスを開設する予定だ。また、小規模な起業家チームへのシードステージの投資を行うなど、戦略の調整を行っている。

そのような投資のうち1つはすでに行われている。Metaが最近行った投資で、バーチャルキャラクターを作るAI搭載の開発者向けプラットフォームであるInworld AIへの投資はNPEが主導した。しかし今後は、モバイルインターネットを新しい方法で活用しているスタートアップ企業など、より短期的な可能性を秘めたメタバース関連ではない企業にも投資を行う可能性がある。

Metaはもちろん、今日の普遍的な体験の多くが、最初はニッチなコミュニティから生まれたことを理解している。例えばWhatsAppは、世界中で導入される前に、SMSテキストメッセージが無料ではなかった地域で人気を博した。また、モバイルマネーのイノベーションの中には、東アフリカにおける従来の決済システムの欠如から生まれたものもある。

MetaのNPEチームは、このような未来のチャンスを逃さないために、シリコンバレー以外にも目を向けている。

NPEの責任者イメ・アーチボン氏(画像クレジット:Meta)

MetaのNPE(New Product Experimentation)の責任者であるIme Archibong(イメ・アーチボン)は、Metaに11年間勤務しており、NPEの前にはFacebookの開発者向けプラットフォームでの勤務経験がある。NPEに参加する前は、Facebookの開発者向けプラットフォームを担当し、世界中を飛び回って小規模なスタートアップから大企業の起業家に至るまでとつながりを作っていた。アーチボンは2年前にNPEに参加し、グループを同じような方向性に導いている。

「これは私が10年前にやっていたことと似ています。つまり、起業家や小さなチームを集めて、彼らのアイデアを実現するためのリソース、つまり人材、時間、技術にアクセスしてもらうのです。そしてもちろん、目標は私たちが構築できるアイデアの種のいくつかが、いつの日か非常に大きく育ってくれることです」と彼は説明する。

この新しい方向性を追求するために、チームはアジア、アフリカ、ラテンアメリカの市場に焦点を当てているが、米国ベースのプロジェクトを完全に放棄しているわけではない。だが、その中にはこれまでとは違って見えるものがあるかもしれない。NPEの現在の試みは、立ち上げても人気が出ずにすぐに終了してしまう新しいソーシャルアプリではなく、米国で投獄された人の社会復帰を支援するプロジェクトや、LGBTQの家族が親になるまでの支援を目的としたプロジェクトなどがある。これらは、単なるTikTokのクローンよりも明らかに内容が充実している。

グローバルな舞台に焦点を移すことで、NPEは最初は小さく、もしかすると十分なサービスを受けていない市場を対象にしているかもしれないが、規模を拡大できる可能性のあるアイデアを対象にしていくだろう。

アーチボン氏はこう述べる。「未来は、歴史的に見過ごされ、過小評価されてきた世界のいくつかの地域で築かれると思います。私は、問題、解決策、機会、そして新しい体験は、サービスを提供しようとしているコミュニティに最も近いところにいる人々によって構築されると確信しています」。そしてこのようなソリューションは、長期的には「より耐久力があり、より持続可能で、より実行可能な」ものになるだろうと彼はいう。

この論自体は堅実なものに聞こえる。何しろ、すでに歴史がそれを証明しているのだから。しかしMetaが中小企業からアイデアを「借用」してきたことを考えると、世界の起業家コミュニティがMetaによる投資を歓迎するかどうかには疑問が残る。

MetaがSnapchatのStoriesをコピーして、より大きな製品に成長させたことは広く知られている。同社はSnapchatのBitmojiの自社バージョンを公開した他、現在はClubhouseTikTokNextdoorSubstackのクローンを展開中だ。Phhhotoというスタートアップ企業は、最初にパートナーシップの機会を約束しておきながら、最終的にはPhhhotoの技術(InstagramのBoomerangになった)を独自に構築したとして、Metaを訴えているほどだ。Metaは、コピーしないものは買収した。例えばInstagramWhatsAppGIPHYのような将来のライバルから、tbhMovesのような新進気鋭の企業に至るまでだ。

関連記事:「コピーされて殺された」、ショート動画アプリPhhhotoがフェイスブックを反トラストで訴える

Inworld AIは、両者のVRにおけるミッションが緊密に一致していたことから、Metaとの連携に違和感を感じなかったかもしれないが、他のシードステージにあるスタートアップ企業は同じようには感じない可能性がある。しかしアーチボンは、このチャンスをものにする企業は十分に存在すると信じている。

「私は、(Inworld AIの)機会はもっと増えると思います。私たちのような、自分たちがやろうとしていることとミッションが一致した組織、つまり、類似したテクノロジーのトレンドや、新興のプラットフォーム、ユーザーの行動などにかなり力をいれている組織と一緒に仕事をする人々です」と彼はいう。

同社は、どのくらいの期間にどのくらいの資本を投入するかは明らかにしていないが、チーム自体と同様に、その規模は「本当に小さなもの」になるとアーチボンはいう。

画像クレジット:Meta

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(文:Sarah Perez、翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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