アイスタイルがコスメのサブスクリプションEC「GLOSSYBOX」を買収


2012年頃に急増したサービスに「サブスクリプション(定期購入)型EC」がある。毎月(ときには別の期間の場合もあるが)定額を支払えば、サービス事業者が選んだ嗜好品やファッションアイテムなどが定期的に送られてくるというものだ。

4月に6000万ドルの調達を発表した「Brichbox」のようにコスメを取り扱うサービスや、質問に答えると毎月好みに合った靴を届けてくれる「ShoeDazzle」、さらには毎月髭剃りを提供してくれる「Dollar Shave Club」のような変わり種もあったし、国内では日本酒を扱う「SAKELIFE」などもある。日米ともに同様のモデルのサービスが一気に増加したが、今ではそれも一段落した様子。一部のサービスはすでに終了しており、その勝敗ははっきりしている(すでに2012年時点で、サブスクリプションコマースはピークを過ぎているという話もあったようだけれど)。

そんなサブスクリプションコマースに関するニュースが久々に飛び込んできた。コスメ情報サイト「@cosme」運営のアイスタイルが、コスメサンプルのサブスクリプションコマース「GLOSSYBOX」を日本で運営するビューティー・トレンド・ジャパンの買収を発表したのだ。

GLOSSYBOXはもともとドイツでサービスを立ち上げており、ドイツのベンチャーキャピタルであるRocket Internetなどが出資している。日本では現在、月額1620円で毎月約300ブランドの中から4〜5アイテムのコスメサンプルを届けているそうだ。日本でのサービスインは2011年末。現在はユーザー数を公開していないが、2012年9月時点で首都圏の働く女性を中心に3万1000人を集めているとのことだった。国内では、「VanityBox」「PurunusBox」「My Little Box」などの競合サービスがある。

この手のコスメサンプルのサブスクリプションコマースの多くは、化粧品メーカーから会員へのサンプリング目的で無料ないし安価にサンプルを入手し、これまた安価にユーザーに届けるというビジネスモデルだ。メーカーからすれば美容に興味のあるユーザーに直接サンプリングできるわけだから都合がいいだろうし、事業者側も一般的なサブスクリプションコマースより収益性の高いビジネスを展開できるように見える。アイスタイルでは既存事業で化粧品メーカー約850社とのネットワークがあるし、グループ会員286万人というユーザーベースも持っているので、シナジーも想像できる。買収額は非公開となっているが、つまりは開示義務のない規模とも読めるわけで、同社にとっては「いいお買い物」となるのではないだろうか。

2015年6月期は収益基盤強化に注力

なおアイスタイルは、7月30日に2014年6月期の通期決算を発表している。売上高は71億4100万円(前期比11.4%増)、営業利益は4億7300万円(同35.9%減)、純利益は1400万円(同96.7%減)となっている。

2015年6月期(今期)は収益基盤強化の時期と定めて、ユーザー向けサービスの抜本的改革に注力する。主力メディア@cosmeをタイムライン化するなど大幅刷新するほか、グローバルサイト(英語、中国語簡体、中国語繁体、韓国語)の展開も開始する。2015年6月期の収益予測は、売上高が73億5900万円(前期比3.1%増)、営業利益2億5400万円(同46.3%減)、純利益11億円(同685.7%増)。2016年6月期には、売上高100億円、営業利益15億円を目指す。


投稿者:

TechCrunch Japan

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