Facebookのニュースフィードでは友達が投稿した思いがけないビデオを見るチャンスが多い。Facebookは現在、各種の新機能をテスト中だが、この中にはビデオクリップ共有専用のチャンネルのようなビデオ発見機能を大幅に強化するものも含まれている。
iOSアプリのホームスクリーンの場合、最下部のメッセンジャー・ボタンの代わりにビデオ・ボタンが表示される。現在この機能は比較的少数のユーザーを対象に表示されており、おそらくはこのスタイルのままで実用化されるわけではないだろう。
新しいビデオ・フィードはノンストップでクリップを表示し続ける。寝転がってずっとFacebookを眺めているポテトカウチ族には絶好だ。時折、友達がメインのニュースフィードに投稿したビデオも表示される。 ユーザーはチャンネルクをスクロール・ダウンして好きなクリップを見ることもできる。Facebook側では「われわれはスマートTVのようなまったく別のプラットフォームも(このフォーマットで)実現できる」としている。
Facebookはこのビデオ機能にここ2年ほど実験してきたいくつかの発見機能を組み込んでテスト中だ。たとえば、 お勧めにビデオ、 マルチタスクが有効な場合、ピクチャー・イン・ピクチャーでドッキングしたビデオの表示、「後で見る」オプションのサポートなどだ。
Facebookではこうした実験を「テキストと写真からビデオへの拡張の自然な道筋」としている。つまり将来のFacebookの仮想現実(AR)化への通過点というわけだ。ビデオの発見機能の強化のテストと同時に、 360度のVRビデオ、著名人のビデオのライブストリーミング、ビデオ・クリエーターに対する権利保護、さらにはクリエーターへの支払機能なども実験される。
Facebookで表示されるビデオは4月時点で1日40億本とされている。現在はおそらく1日50億本になっているだろう。オーガニックな、つまり自然な投稿だけでなく、Facebookはこの強力なビデオ機能を現行各種テレビと張り合えるような収入源に育てていくつもりのようだ。
視聴方法
「お勧めビデオ」は現在、大部分のiOSアプリ・ユーザーに対して表示される。Facebookではこの機能をさらにウェブとAndroidアプリに拡張しようと準備しており、テスト自体は2014年から開始されている。
現在はもっと便利なフル・スクリーン機能がテスト中だ。ニュースフィード中で背景を暗くしたライトボックス・モードに移行してクリップを見た後、ユーザーはそのままスクロール・ダウンするだけで他のビデオを自動再生できる。Facebookではこのようにして「お勧め」による新ビデオの発見とスマートTVのような「連続視聴」の間の橋渡しを試みている。
面白そうなクリップを見つけたが、ずっと見ている暇がないユーザーのために、Facebookではこの6月からクリップをサムネイル・サイズに縮小してニュースフィード・スクリーンの隅で再生を続ける 機能も提供している。この機能は音楽ビデオの場合、ことに有効だろう。
また「後で見る(Save)」ボタンのデザインも改良されて見やすくなった。「後で見る」ボタンを押すとビデオはユーザーのプロフィール・ページに保存され、後で簡単に再生が可能だ。
ビデオ・クリエーターの権利を最大限尊重
Facebookは今後も「ただ乗り屋」を厳しく取り締まっていく考えだ。一部のパブリッシャーが他のクリエーターのビデオを勝手に利用して金を儲けようとすることはFacebookでは許されない。これまでもAudible Magic のビデオ指紋抽出ソフトなど、ビデオのただ乗りを防ぐためのサードパーティーのツールは市場に出ていたが、被害を防ぐという点で実効性が低いという不満が出ていた。そこでFacebookが直接乗り出したきたわけだ。Facebookのツールは極めて強力で、内部的構造としてはYouTubeのコンテンツIDに匹敵するという。
こうした措置が取られれば、クリエーターが興味あるクリップやミニ・ムービーをFacebookに投稿するインセンティブは大きく高まるだろう。実はYouTubeやVineがティーンエージャーの間でこれほど人気が高く、運営者にとって大きな収入源になっている理由の一つはこうした権利保護措置にもある。
ただし、Facebookのビデオ・フィードはYouTubeが行っているような「検索してサブスクリプションする」というインターフェイスに直接対抗するものではない。Facebookがビデオを強化するのはあくまでメインのニュースフィードの邪魔にならない範囲であり、ソーシャル・ディスカバリーが機能する範囲においてだ。
Facebookが実験中のビデオ強化は、自然にビデオ機能をユーザーに浸透させるという点でYouTubeのように特定のテーマを積極的に検索するモデルの対極にあり、Facebookの本質によく合致していると思われる。ひとたびビデオ機能が受け入れられればFacebookが広告をそこに挿入する余地は無限にあるに違いない。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)