SUSEの名は、Linuxのディストリビューションで知ってる人が多いと思うが、相当前から、OpenStackエコシステムの、目立たないけど一貫した活動メンバーだった。しかし最近の数か月、このドイツ企業はこの世界の強力なコンペティターとしても動き始めている。とくに今という時期は、OpenStackをめぐる企業の整理統合が進んでいるだけに、その動きは注目される。
今日(米国時間11/30)SUSEは、同社がHPE(Hewlett Packard Enterprise)のOpenStack(IaaS)およびCloud Foundry(PaaS)関連資産と人材を買収する、と発表した。これはHPEの、ソフトウェアビジネスをMicro Focusに売り払う(HPEは“spin-merge”する、という言葉を使っている)という決定に続く動きだ。ちなみにそのソフトウェアビジネスには、HPEが110億ドルで買ったAutonomy(その後90億ドルに減価)も含まれる。さらにもうひとつ言うと円が閉じるのだが、Micro FocusはSUSEのオーナーでもある。そしてそのSUSE が、今回はHPEのOpenStackおよびCloud Foundry資産を拾っているのだ。
SUSEの主張では、今回の買収で同社のOpenStackポートフォリオがより充実し、またCloud FoundryのようなPaaS資産は、同社自身のエンタープライズ対応SUSE Cloud Foundryソリューションの市場化を助ける。
SUSEのCEO Nils Brauckmannはこう語る: “この買収の原動力となったものは、弊社の顧客とパートナーにエンタープライズ的価値をお届けしている、オープンソースのソフトウェア定義インフラストラクチャの提供への、SUSEのコミットメントだ。これはまた、有機的成長(本体の成長)とテクノロジーの買収を組み合わせてビジネスを構築していく弊社のやり方を、世に示すものでもある。重ねて申し上げると、この戦略は市場と世界のオープンソースコミュニティに、SUSEが進歩的で活発な企業であるという、強力なメッセージを送っている”。
SUSEはこれにより、LinuxとOpenStackとCloud Foundryに関してHPEの最優先オープンソースパートナーになる。
しかしHPEはOpenStackとCloud Foundryのゲームから完全に撤退するわけではない。HPEはSUSEのOpenStackおよびCloud Foundry技術を、同社自身のHelion OpenStackとStackatoソリューションに向けてOEMしていく。HPE自身の言葉によると、今回の動きは同社の戦略の“進化”を意味しているにすぎず、それによって同社は“ハイブリッドクラウドソリューションの次の進化の開発に集中できるようになる”、のだそうだ。同社の顧客がHelionプラットホームの将来性について不安を抱(いだ)き始めない、とは想像できないが。