Facebookが反対を押してでも音声を自動再生する7つの理由

facebook-sound-11

Facebookがビデオの自動再生で音声オンを標準にすることに恐れをなしている人へ。少なくともSpotify等のアプリで聞いている音楽を止めたり被せて音を鳴らすことはないので安心されたい。Facebookは今日(米国時間2/15) 、自動再生ビデオの音声はユーザーが別のアプリで音楽を聞いているときには鳴らないことをTechCrunchに正式に伝えた。音楽再生中にFacebookビデオの音声を聞くためには、サウンドアイコンをタップするか、ビデオをフルスクリーンにする必要があり、いずれの場合も他の音楽アプリは一時停止する。

昨日Facebookが発表した音声自動再生の仕様変更に不満を持つ人がいることは間違いない。スマホが人前でうっかり大音響を鳴らしかねないからだ。職場や教室やディナーや会話中にこっそりFacebookを覗こうとしたのがバレて恥かしい思いをすることになる。幸い、それが嫌な人はFacebookの設定で音声の自動再生をオフにすればよい。

しかしFacebookがこうしたいのにはいくつか理由があり、その中心となるテーマはこれだ:ビデオはFacebookの未来なので、このコンテンツがもっと見られるためにはあらゆる障壁を取り除く。

  1. スイッチはシンプルに1つだけ – Facebookは実質的に、音声コントロールを端末の物理的ミュートスイッチに委ねた。これは、スイッチとビデオ毎のオンオフの両方を正しく設定するより、音声の制御がわかりやすくなると言える。音を鳴らせない場所に来たら、端末自体をマナーモードにすればいい、ということだ。
  2. テスト結果は上々 – Facebookは、初期テストの結果は好意的だったと言っている。アプリの利用が減るようなら音声を標準でオンにする意味がないので、この変更による実際の体験は、見た目ほど悪くないのかもしれない。
  3. Snapchatはやっている – Facebookの最大のライバルであるSnapchatは、すでに標準で音声をオンにしており、ビデオを見るユーザーにとっても、ビデオ広告を買う企業にとってもお気に入りの場となっている。
  4. ビデオ広告主 – ビデオ広告ついて言えば、広告に対する感情的反応を促すために音声は必須だ。Snapchatによると、同サービスのビデオ広告は60%以上が音声オンの状態で見られている。ビデオ広告はFacebook最大の収入源として急速に伸びているが、現在広告スペースは限界に達している。これ以上広告枠を増やすことはできないので、ビデオ広告の1本1本を印象深くする必要がある。
  5. 巧妙な技術は不要に – プロフェッショナルな制作者は往々にして、Facebookビデオに派手な工夫をこらしてサウンドがなくても理解できる作品を作る。しかしそれはビジュアルに悪影響を与えるだけでなく、一般ユーザーにできることではない。その結果ユーザー作成ビデオが二流扱いされることは、「友達と家族が第一」というFacebookのゴールと相容れない。
  6. ビデオサウンドトラックの可能性 – Facebook はレコード会社との交渉を進めており、ユーザーが自作ビデオのサウンドトラックとして著作権付き音楽を利用できるよう契約を結ぼうとしている。実現すれば面倒な著作権侵害による削除の心配がなくなり、スマホで撮っただけの退屈なビデオを壮大なミュージックビデオのように仕上げることができる。
  7. ワイヤレスイヤホンへの適応 – AppleのAirPodsはすばらしい。そして1日中つけっぱなしでいられるワイヤレスイヤホンの人気は高まるばかりだろう。そうなればたとえ人前でもFacebookヒデオを音声付きで見る人が増えるはずだ。

頭にくるユーザーがいるだろうって? その通り。しかしFacebookは、口うるさい少数派の苦情を上回る利益があるはずだという計算高い賭けに出ようとしている。導入当初ユーザーが激しく抗議したニュースフィードが、Facebook最大の人気サービスになったことを思い出してほしい。

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook

投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。