PwCとThomson Reutersが発表したデータによれば、今年はハイテク関連の買収事案にとって良いスタートが切られたようだ。第1四半期には486件の米国ハイテク取引が発表され、その総額は428億ドルとなった。
取引件数と取引金額の両面で、今年は米国のハイテクM&Aにとって、2014年以来の好スタートとなった。ただ昨年の同時期に比べて28%多い取引件数があったものの、価値という面では2%多く上回っただけだった。すなわち取引の平均額が下がっていたということを意味する。
Intelによる、イスラエルの自動車技術会社Mobileyeに対する154億ドルの買収はその中でも飛び抜けて最大の取引であり、自動運転車に関連する買収の勢いを生み出した。思い起こせば、ほぼ1年前にGMは、自動運転技術向上のために、Cruise Automotiveを10億ドルで買収していた。
CiscoによるAppDynamicsの37億ドルでの買収は、この四半期で2番めに大規模な買収であり、その条件は計画されていたIPOのほんの数日前に合意された。その他にもDigitalGlobeの24億ドルの買収や、同じく24億ドル規模のCapitol AcquisitionとCisionの合併があった。10億ドルを超える取引は7件を数えた。
ソフトウェアは当四半期で最もアクティブなセクターで、その取引数は227件に及んだ。ITサービスは167件の買収で2位に入った。
伝統的なビジネスがイノベーションのためにスタートアップに頼り続ける中で、非デジタル企業たちが143件のテクノロジー企業を買収している。この傾向は、一般的にまだ続くと予想されている。
しかし、国境を越えた買収には失望すべき案件もあった。PwCのレポートによれば「アジア/パシフィックの投資家の活動は、2017年第1四半期には顕著に減少した、これは新政権による米国市場の不確実性を反映したものである」。法律事務所Morrison&Foersterによる最近の調査も同様の報告を出していて「世界の2大経済国である米国と中国の間のM&Aは、今後数年間特に困難になると予想されている」。
中国人バイヤーたちの困難は「トランプ政権によってもたらされた不確実性と、中国当局による中国からの資本流出規制の組み合わせによるものです」とMorrison & FoersterのGlobal M&A Practice Groupの共同議長であるRobert Townsendは語る。しかし、米国における多数の技術取引は今後も継続する見込みだ。
第2四半期も引き続き活発で、PetSmartがChewy.comを、e-コマースの買収額としては最高記録の33.5億ドルで買収したと言われている。私たちはこれまでにも、幾つかのe-コマース買収を見てきた。その中にはRetailMeNotの6億3000万ドルの取引やIACによるAngie’s Listの5億ドルでの買収なども含まれている。e-コマースは「特に対応するブリックアンドモルタル企業(昔ながらの店舗を抱える業態の企業)から新たな関心を寄せられやすい領域です」と言うのはPwCのU.S. Technology DealsのリーダーであるTodson Pageだ。
現四半期におけるその他の注目すべき買収には、Oracleによるアドテック会社Moatの買収(買収額は850億ドルと伝えられている )、Uber競合のGettによるスタートアップ企業Junoの2億ドルでの買収、そしてAureaによるコラボレーションソフトウェアJiveの4億6200万ドルでの買収などが挙げられる。
MoFoという名でも知られているMorrison&Foersterは、150人以上の投資銀行家、M&Aエグゼクティブ、ベンチャーキャピタリスト、弁護士などを対象に調査を行い、その半数以上である52%が、世界のハイテク取引の数は昨年を上回るものと期待しているという結果を得た。減少を予想しているのはわずか15%である。
PwCのページも同様に、今年の残りの部分については楽観的だった。彼は「技術的M&Aの勢いが続くことを確信している」と語った。特にソフトウェア分野では強気のようだ。
MoFoのTownsendは、多くの専門家たちがセキュリティ業界の統合を予測していると述べている。「サイバー脅威の増加と、特に(いずれかの)国家の後押しするハッカーたちによるサイバー攻撃の並外れた脅威」がこの分野での買収を加速することになる、と彼は予想している。MoFoはまた、IoT、人工知能、およびビッグデータのカテゴリでの統合も予測している。
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(翻訳:Sako)