Googleのグローバルな分散データベースCloud Spannerが今日(米国時間11/14)アップデートされ、マルチリージョン(複数リージョン)がサポートされた。データベースを複数のリージョンにまたがって複製しても、レイテンシーは増えず、良好なパフォーマンスが保証されるという。また、サービス水準合意(Service Level Agreement, SLA, サービス品質保証)も、顧客が満足すると思われる方向へ改定された。
上記後者(新SLA)によると、Cloud Spannerデータベースは99.999%(five nines)の可用性が保証される。Cloud SpannerのプロダクトマネージャーDeepti Srivastavaによると、これは年間のダウンタイムに換算すると5分未満となる。
“システムの可用性と効率を高める改造を行ったので、サービスにそのことが反映されると期待される”、と彼女は述べる。なお、Cloud Spannerは、このようにサービスとして提供される前には、AdWordsなどGoogle内部のプロダクトで使われていた。今でもそうだから、GoogleにとってAdWordsがダウンしたら直接、売上に響く。だからまずGoogleにとって、それはダウンタイムがあってはならない。今では同社の人気サービスの多くが、Cloud Spannerを使っている。
“それは、Googleが動かしているミッションクリティカルなアプリケーションの最前線でテストされている”、とSrivastavaは説明する。
しかしこれまでは、複数リージョンにまたがるサポートが欠けていたので、Cloud Spannerを一箇所に置くことしかできなかった。それが、今日のマルチリージョンサポートの発表で変わった。ユーザー企業は、データベースをエンドユーザーに近いところに置けるようになる。それにより当然、レイテンシーが減り、応答性が良くなるだろう。
Cloud Spannerは今年の初めにベータで提供されたが、それはまるでマジックのように思えた。それは、SQLデータベースのようなトランザクションの一貫性と、NoSQLデータベースのスケーラビリティを兼備している。この両者が揃うことは稀であり、今日ではEvernoteやMarketoなどもCloud Spannerを利用している。
Googleは、Cloud Spannerの導入はわずか4クリックで完了、と謳っているが、既存のデータベースを移行する場合はそう簡単ではないだろう。Srivastavaによると、それはシステムのタイプ次第だ、という。まったく新しいアプリケーションのために新たに導入するのは簡単だが、Cloud Spannerを使うために既存のデータベースシステムのアーキテクチャを変えなければならない場合は、それなりの時間がかかるだろう、と彼女は語る。