SoftBank Groupをリーダーとする投資家はUber株式の公開買付にあたって直近の会社評価額で計算した額を30%下回る価格を提示したと事情に詳しい情報源がTechCrunchに明かした。直近の評価額は700億ドル弱とされるが、情報源によればSoftBankの提示額は32.96ドルであり、会社評価額に換算すると500億ドルとなる。
この件はBloombergが当初報じたところによると、SoftBankとUberはここ数か月にわたって直接投資及び株式公開買い付けの条件を巡って交渉を続けており、SoftBankは直接投資はUberの直近の会社評価額700億ドル弱をベースとするものの、売却済株式の買い付けについてはそれより低い価格を要求していたという。
Uberは数週間前に、SoftBankとDragoneerがリードするコンソーシアムと投資の可能性をめぐって基本合意に達したことを発表して交渉を一歩前進させている。われわれが予測したとおり、公開買付は明日から実施されるものと見られる。
直接投資と公開買付は一組のパッケージとなっており、SoftBankによる10億ドルの直接投資が実施されるかどうかは公開買付の成否にかかっている。SoftBankをリーダーとするグループはUberの14%を所有することを目標としており、そのためには90億ドル分の株式を既存の株主から買い付ける必要がある。
われわれが得た情報によると、今回の公開買付ではUber社員で少なくとも1万株をストックオプションで割り当てられた社員は売却が可能になる。また他の株主、すわなちベンチャーキャピタリスト、エンジェル投資家、以前の社員なども対象となる。
ただし売り手は「適格投資家」であることが条件となる。ベンチャー投資において買い手が「適格投資家」であることが求められるのは普通だが、売り手にこの資格が要求されるのは異例だ。具体的にいえば、Uber社員が株市を売ろうとすれば、年収が20万ドル以上であるか、住居とする不動産を除いた資産が100万ドル(これには所有する株式の価値も含まれる)以上あるかしなければならない。つまり今回株を売って儲けるにはすでに金持ちでなければならないというわけだ。
ともあれ売却の資格があるなら、これまで単に理論的価値に過ぎなかったUber株式をキャッシュに変えるチャンスが生まれたことになる。
さらにTechCrunchが得た情報では、1株当り32.96ドルの提示額で十分な株式が入手できない場合、SoftBankは14%の所有が可能になるまで値上げする可能性もあるという。
最近までUberの株主は売却を禁じられていた。しかしSoftBankからの10億ドルの投資は2019年を目標とする上場に向けてさらに会社を成長させるのに役立つはずだ。
Uberにとってはきわめて重大な局面を迎えることとなった。2017年はAlphabetの自動運転技術を盗んだとする 訴訟から各種の差別を容認する企業文化があるとの非難まで同社にとって多難な年だった。6月には共同ファウンダーのトラビス・カラニックがCEOから辞任を余儀なくされている。
I今回の取引が成功すれば、取締役会にメンバーを送り込んでいるBenchmark Capitalはカラニックへの訴訟を取り下げるとしている。この訴訟は本人の分を含めて3人の取締役を任命する権限がカラニックにあるかどうかを巡って起こされていた。
カラニックは最近、Ursula Burns、John Thainの2人を取締役に任命している。SoftBankとの取引が成立した場合、もしこの2人のどちらについても、今後辞任することがあれば、カラニックは後任を任命するにあたって取締役会の承認を必要とする。
画像: Spencer Platt/Getty Images
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(翻訳:滑川海彦@Facebook Google+)