なくしてしまった鍵のコピーを作成するKeyMe。ハードウェアとの連動で業界を革新?!

将来的には、さまざまな「鍵」は虹彩や指紋認証に置き換えられていくのだろう。しかし今のところはまだ、たとえば真鍮製の鍵などを持ち歩いていることが多い。ということはすなわち、鍵をなくして閉めだされてしまうこともあるわけだ。

この「締め出される不幸」を解決しようとするのが、ニューヨークのKeyMeだ。KeyMeは安全性を担保したクラウド型キーホルダーを提供しようとするサービスだ。但し、キーホルダーに保管されるのは鍵そのものではなく、鍵屋が鍵の複製に利用するための情報だ。この情報を持って錠前屋に行けば、簡単に鍵を複製してもらえる。iOSアプリケーション(日本では公開されていません)を利用して、鍵をスキャンして複製のための情報を保存しておくようになっている。

サービスのスタートは2012年で、Battery Venturesなどから230万ドルをシードラウンドにて調達している。またCoinstarのファウンダーであるJens Molbak(KeyMeの取締役にも就任している)などの投資家も出資している。ファウンダー兼CEOのGreg Marshによれば、今のところ、追加の資金調達の予定はないとのこと。

KeyMeの仕組みは、実のところ非常にシンプルなものだ。鍵を白い紙の上に置いて、表側と裏側を1度ずつスキャンする。するとアプリケーション側でデータを解析して鍵のタイプを判別し、削り出すための数値情報を記録する。この情報がデジタル・キーホルダーに保存される。鍵をなくしてしまった際には、9ドル99セントでこの情報を引き出し、そして錠前屋にデータを渡すことが出来るようになっている。

「錠前屋に特別な準備やソフトウェアなどは必要ありません。ただアプリケーションの画面を提示すればOKなのです。そこに表示される種別情報および数字群が、錠前屋にとっての共通言語として機能するのです。錠前屋にとっては普段の作業と何も変わること無く、機械を使って鍵を削り出すことができるようになります」。Marshはこのように説明している。

アプリケーションは無料で、登録したアカウントにいくつでも鍵情報を登録しておくことができる。

データの取り出しに費用がかかるわけだが、これは錠前屋を呼んで、データを取ってもらい、そして鍵を削りだしてもらうという手間とのバランスで考えるべきものだ。そうした作業を依頼すると、数時間の時間と、ときによっては150ドルほどの費用が請求されるのだそうだ。ちなみにこの情報は、Marshのフィアンセが経験によって教えてくれたものなのだそうだ。頻繁に鍵をなくしてしまう人で、それがためにMarshはスタートアップの設立を思い立ったのだという。

ニューヨーク在住の方は、あるいは既にKeyMeを目にしたことがあるかもしれない。マンハッタンのセブン-イレブン5件にはセルフサービス型のKeyMe搭載デバイスが設置されているのだそうだ。この機械では、鍵の複製もできるし、また将来に備えてデータを採っておくこともできるのだそうだ。この機械は既に数千回利用されたとのことだが、正確な数字については教えてもらえなかった。

KeyMeはネット型サービスであるので、友だちや家族とも鍵データを共有しておくことが出来る。友だちがやってきて家に泊まることになっているけれど、何かの都合で鍵を渡しておくことができないような場合にも、鍵のコピーを簡単に作ることができるわけだ。もちろん鍵のコピーが生まれれば、それに伴ってリスクも増えることにはなるだろう。ただ、信頼出来る相手となら情報共有をしておく利便性が上回るケースもあるに違いない。

StickNFindTileは、Bluetoothを使って鍵をなくさないようにするサービスを提供している。KeyMeは別の角度から鍵紛失問題に取り組み、なくしてしまった場合の対処法を提供しているわけだ。

利用が広がっていくかどうかについて、Marshはとくに心配していないようだ。と、いうか、かなりの需要があると見込んでいるようだ。

「こうしたサービスを必要としている人は、家屋に居住する人のほぼ全員であるというのが大きな強みです。鍵をスキャンしておくだけで、なくしてしまったときのコストをものすごく安価に抑えることができるようになるのです。わざわざうちに錠前屋に来てもらう必要もなくなります。鍵を間違って紛失してしまっても、ただちに対処できるようになるわけです」。

セブン-イレブンに設置した自動機械は、さらに設置場所を拡大する予定であるとのことだ。アプリケーションのみならず、削り出すためのハードウェアも統合することにより、一層簡単かつ便利に使ってもらおうと考えているわけだ。プライバシー面で不安を感じる人もいることだろう。しかしこのKeyMeが安全なものであると認知されるならば、家庭用錠前サービスの仕組みが大きく変わることにもなるかもしれない。

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(翻訳:Maeda, H)


投稿者:

TechCrunch Japan

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