「未来はプライベート」とマーク・ザッカーバーグ氏がFacebookのロードマップの説明で語った。それは「今は、控えめに言っても、プライバシーに関して最高の評判を得ている状態ではない」と認めた後の発言だった。しかし、彼がそれを「今」欲しがっている理由は明白だ。Facebookの終わりなきプライバシー崩壊は同社の評判に破滅的影響を与えている。
収益ではないので念の為。しかし収益はIT業界では遅れてやって来る指標としてよく知られている。Facebookのように、事実上公益事業の役割を果たすようになった会社は、いたるところで利用されることによって利益が最大化する。人々がそれを好きだからではなく、ほかに良い選択肢がないからだ(Craigslist、PayPalも参照されたい。MySpaceという無名の小さな会社も聞いたことがあるかもしれない)。
しかし「未来はプライベート」とは、Facebookがグループや個人がエンドツーエンドで暗号化されたメッセージをやり取りするプラットフォームになり、メッセージの内容を知ることはできないのでそれに関して批判されることがなくなる、というビジョンであり、これは途方もないビジネスモデルの転換に思える。「上院議員、われわれは広告を売っています」とはこれもザッカーバーグ氏の有名な一節だ。エンドツーエンド暗号化や、無限にスクロールするニュースフィードより個別のコミュニケーションを重視する方向性は、Facebookから貴重な広告スペースと貴重な広告ターゲット情報の両方を奪うのではないのだろうか?
おそらくそうだ。しかし、Facebookがニュースフィードでの露出に関して広告を売って儲けるより、はるか先のことをやりがっていることは、すでに火を見るより明らかだ。そうやってここまでやってきたが、それには限界があり、最近では爆発する怒りとフェイクニュースによる炎上も呼んでいる。だから、今ボールのある位置を見るのではなく、どこへ向かっているのかを見なくてはならない。Facebook Marketplaceは? Facebookの暗号通貨計画は? どうやってWhatsAppを買収し、Facebook Messengerを独立したアプリにしたのか?
Facebookが本当に次に求めているのは、Messengerを全世界のWeChatにすることなのは明らに思える。ビジネスコミュニケーションにもパーソナルにも使われる難攻不落な囲われた庭園。メッセージングだけでなくEコマースも支配し、クレジットカードを超え、そして置き換えるプラットフォームだ。
それは恐ろしく儲かる事業になる。さらに、公共あるいは当局による監視と暴動も著しく減るだろう。将来必然的に起こるであろうMessenger上の暴動や残虐行為が起きたとき、Facebookは実に正しくこう言うだろう。それらのメッセージを監視、検閲することは数学的に不可能であり、それはユーザーのプライバシーを守るために数学的に不可能にしているからである。
偽善的に聞こえるだろうか? なんと偏狭で短絡的な考えだろうか。皮肉なことに、Facebookの繁栄する未来を、「Facebook」抜きに考えることはことは十分に可能だ。そこでは、Instagramがソーシャルメディアの王であり、Messenger/WhatsAppがメッセージングを支配し、5000億ドルの国際送金市場を占有し、そこで日々行われる数百万件の取引から手数料を得る。
かつてFacebookとしてわれわれが知っていたもの、かつて有名だったアプリやウェブサイトは廃墟のように衰え、先細りのますます中年化する人々のイベント企画や単発的な生活アップデートに使われ、LiveJournalやMySpaceを始めとする無数のゾンビソーシャルメディアのようになっていく。しかしその会社は朽ち果てる前に、新たな、より強力で、より進化した巨大企業を誕生させる。その庭園は「塀に囲われている」だけではなく、(アメリカンコミックの架空の国)ワカンダのようなドームに包まれ、規制に対する耐性が強く、不快な創発特性の発生や上院の証言台に呼ばれる可能性も低い。このアイデアを好むと好まざるとにかかわらず、そうなることを認めざるを得ない。もし成功すれば、究極のピボットだ。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook )