iPadは登場から10年を迎え、ハードウェアは大きく強化された。一方、OSをiPhoneと共有していることが制約になり始めていた。米国カリフォルニア州サンノゼで米国時間6月3日に開幕したWWDCで、アップルはiPadに独自のOSを搭載することを発表した。今後iPadアプリはiPadOSに適合したものとなる。
iPadOS
とはいえ、新OSは iOS 12と比較してさほど劇的な変化はしていない。実のところ、アップデートの内容はかなり地味だ。しかしiPadOSという独自名称を与えたことでAppleはiPhoneとOSを共有する制約から離れ、iPadの持つ潜在能力を充分に発揮させる方向に舵を切った。
ここで重要なのはApple(アップル)の戦略転換だ。iPadアプリは今後macOS版よりさらに強力になっていくだろう。Phoneのサイズに縛られて iPadが能力を完全に発揮できないなどというのはナンセンスな事態だった。iPadに独自OSが来たことでで一番わくわくするのはどの部分だろうか。
- Safariでサイトを訪問するとき、モバイル版ではなくデスクトップ版が開くようになった。これは大きなニュースだ。
- ホーム画面にウィジェットを追加できる。ホーム画面の構成もアップデートされ、これまでより多数のアイコンを並べることができる。
- ファイルをフォルダーにまとめてiCloudに保存、共有するファイルやアプリもiPadに最適化された。表示にカラムビューが加わり、USB-C接続のフラッシュドライブからデータをコピーすることも簡単になった。.
- iPadOSでは同一アプリで複数の窓を開ける。これ以外にもiPadの画面のサイズを生かしてマルチタスクを容易にする機能が追加された。
- Apple Pencilのレイテンシーが20msから9msにほぼ半減した。AppleはPencilKitというデベロッパー向けAPIを用意。これによりアプリにカスタマイズされたペンシルの機能を開発することが簡単にできるようになった。
こうしたアップデートはさほど劇的なものではない。iPhoneの狭い世界からiPadが解放されたことはグッドニュースだ。今後に大いに期待できる。
もっともあまり劇的なアップデートが用意されていないこの時期にiPadのOSの名称を変更したのはやや不思議だが、デベロッパーにとっては iOSがiPhone向けとiPad向けに正式に分岐したことは決定的に重要だ。
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(翻訳:滑川海彦@Facebook)