オバマ大統領のNSA特別委員会が大改革を提言

今日(米国時間12/18)、大いに待ち望まれたオバマ大統領の国家安全保障局(NSA)特別委員会の検討結果が公表された[PDF]。拘束力を持たない40項目あまりの勧告からなる200ページの報告書は、最も議論の多いプログラムの多くを中止するよう求めている。

重要部分を以下に挙げる。

1. 政府は通話記録の一括収集を中止する。代わりに、政府の個々の要求に備えて電話会社がデータを保管することはあり得る。勧告には、政府は特定の目的にのみデータを利用可能であるとだけ書かれており、今後NSAがどうやってネットワークからパターンを見つけだすのか、そもそも検索が許されるのかは明らかになっていない。

この記載は重要:「委員会は、政府による電話メタデータの大量保有を中止するための法律が制定されるべきであると提言する」

2. 国際的セキュリティー標準の尊重。NSAは、未発見のハッキングツール(”ゼロデー攻撃ツール“)を使い続け、インターネットセキュリティー標準に抜け穴を作ることを強要したがっている。同局が基本的な暗号を破ろうとする取組みもこの範疇に入る。これによってより多くのトラフィックを監視できるようになるが、ウェブ全体がより安全でない場所になる。

3. テクノロジー企業の裏口禁止。
Googleをはじめとする主要テクノロジー企業は、NSAのスパイ行為のための特別な裏口アクセスの提供を明確に否定したが、報告書は、この本来存在しえない慣行をいずれにせよ中止するよう勧告した。その種の裏口が現在作られつつあるのか、既に存在するのかは不明だ。

4. 組織変更。NSA長官は上院の承認を必要とし、民間人を受け入れるべきである。戦略を見直すために新たなプライバシー委員会を設置し、秘密法廷には特別市政監督官を置く必要がある。これは、以前Wall Street Journalにリークされた、民間人長官を推奨するとしていた内容とは異なる。

5. 透明性の強化。政府は、NSAが調査を要求したユーザーの数を公表すべきである。

委員会は、新たな展開の流れに沿っており、いずれの勧告も、米国諜報機関がプライベートデータを〈一括〉収集する方法を、大きく変えさせるものだ。今週連邦判事が、通話記録の大量収集は違憲であると宣言したが、その決定は最高裁の判決を待たなければならない公算が強い

議員たちも黙って法廷の判断を待ってはいない。いくつかのグループは、あらゆる一括収集を中止し、スパイされているユーザーの数を公開させるべく、米国政府のスパイ行為に対する様々な制限を提案して多くの主要テクノロジー企業の支持を受けている。

インターネットの集団意識が集まって200ページの報告書にまとめられた。情報が入り次第続報する予定だ。

[画像提供:Flickr user nolifebeforecoffee]

[原文へ]

(翻訳:Nob Takahashi / facebook


投稿者:

TechCrunch Japan

TechCrunchは2005年にシリコンバレーでスタートし、スタートアップ企業の紹介やインターネットの新しいプロダクトのレビュー、そして業界の重要なニュースを扱うテクノロジーメディアとして成長してきました。現在、米国を始め、欧州、アジア地域のテクノロジー業界の話題をカバーしています。そして、米国では2010年9月に世界的なオンラインメディア企業のAOLの傘下となりその運営が続けられています。 日本では2006年6月から翻訳版となるTechCrunch Japanが産声を上げてスタートしています。その後、日本でのオリジナル記事の投稿やイベントなどを開催しています。なお、TechCrunch Japanも2011年4月1日より米国と同様に米AOLの日本法人AOLオンライン・ジャパンにより運営されています。