ご承知のようにGoogleはNestを32億ドルのキャッシュで買収した。そこで初期の投資家であるKleiner Perkins Caufield ByersとShasta Venturesは大儲けをした。複数の情報源から聞いたところでは、Kleinerは2000万ドルを投資し、買収で4億ドルを得たという。20倍になったわけだ。
NestはシリーズA、シリーズBのラウンドでの投資家も投資金額も明らかにしていない。そのため今回スマート・サーモスタットとスマート煙探知機の買収で誰がどれだけの利益を得たかを正確に判断するのは難しい。
とりあえず分かっていることを確認すると、ShastaとKPCBでNestの2010年9月のシリーズAを全額引き受けている。これはNestが創立されてわずか数カ月後のことだった。次に2011年8月のシリーズBにも両社は参加しているが、このときはGoogleVentures、Lightspeed Venture Partners、Intertrust、Generation Investment Managementも加わっていた。
複数の情報源によると、Kleiner PerkinsはシリーズAとBを合計して2000万ドルを投資しており、Nestの最大の投資家だという。 Googleが払った32億ドルはKPCBの投資を20倍にしたとFortuneのDan Primack記者は聞いたそうだ。この資金は2010年に組成された6億50 00万ドルのKPCB XIVファンドから支出されたものだ。つまりKleinerはNestへの投資だけでこのファンドの60%の利益を出した計算になる。これでNestへの投資を主導し、取締役にもなっているKPCBのパートナー、Randy Komisarの地位も一段とアップすることだろう。
Kleiner Perkins Caufield Byersは1990年代末のインターネット時代の初期にGoogle、 Amazon、AOL、Intuitなどに投資するというホームランを連続して放った。最近ではFacebookとTwitterの株式上場で成功を収めている。またSquareやSpotifyにも投資している。しかしこれらはかなり後になってからの投資で、そう高い倍率は望めない案件だった。しかしNestの場合、KPCBは最初期から関与していたため、久々に非常に高い利益率を得ることができた。
[アップデート: 事情に詳しい情報源によると、今回のGoogleのNest買収で、Shastaは2億5000万ドルのShasta IIファンドの「大半を取り戻した」という。つまりShastaは2億ドル以上を得たもよう。]
CitrixのZenprise買収、IntuitのMint 買収などでShastaはこれまでも成功を納めているが、今回のNest買収は桁違いの利益を生んだもようだ。これで今後投資パートナーからベンチャー資金を募るのが楽になるだろう。
シリーズBとCをリードしたGoogle Venturesがおおきな利益を計上したことも間違いない。Tony FadellとMatt Rogersの二人の共同ファウンダーも同様だ。
ベンチャーキャピタル全体として考えると、Nest買収はハードウェア起業家への強い追い風となる。Googleのような巨大企業が何十億ドルもの金をソフト企業ではなく家庭ハードウェアを製造する誕生したばかりのスタートアップに投じたことは、ハード起業家が資金を集めることを大いに助けるだろう。
[本記事の調査にはKim-Mai Cutlerが加わった]
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(翻訳:滑川海彦 Facebook Google+)