米国環境保護庁は新型コロナの流行を受けて環境法の適用を緩和

米国環境保護庁(EPA)は米国時間3月26日、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行中には、環境規制と罰金の適用を一時的に緩和すると発表した。この「適用裁量政策」は、3月13日にまで遡って適用される。いつ終了するかは未定だ。

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「EPAは人類の健康と環境の保護に取り組んでいます。労働者と一般市民を新型コロナウイルス(から守るための取り組みから生じている課題によって、規制対象となる施設が、あらゆる連邦規制要件を満たす能力に支障をきたす可能性があることを認識しています」と、EPA長官のAndrew Wheeler(アンドリュー・ウィーラー)氏は同庁の発表の中で述べている。

非常に大まかな話ながら、この政策は「違反については、カテゴリーごとに異なる方法で対処する」ものだと、EPAは述べた。たとえば、「新型コロナウイルスのパンデミックの結果として」監視と報告について不履行があっても、EPAは罰則を求めないが、それでも公共の水道システムが安全な飲料水を提供することは要求するとしている。

このような新しい政策は、石油やガスといった業界からのロビー活動を受けてのもの。そうした業界は、規制を緩和することで、今回の新型コロナウイルスの流行中に、燃料をより効率的に分配できるようになるとトランプ政権にプッシュしていた。

しかし批評家は、このような政策は、汚染を助長するだけでなく環境への悪影響を完全に評価することも不可能にするだろうと指摘している。

オバマ政権の時期にEPAの執行局を率いていたCynthia Giles(シンシア・ジャイルズ)氏は、The Hillに発表した声明の中で、今回の新しい政策は「環境法に反して違法な大気汚染や水質汚染を発生させても法律違反に問われない、ということを全国の企業に告げるものです。そうした不具合が、何らかの形でウイルスのパンデミックによって引き起こされたものだと主張すれば、許されてしまいます。さらに、監視の目から逃れることもできるので、違反によってもたらされた汚染が、どんなに酷いものか、私たちが知ることすらできなくなってしまいます」と述べている。

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(翻訳:Fumihiko Shibata)

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TechCrunch Japan

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