コンピュータビジョン界のRaspberry Piとなる「OpenCV AI Kit」が新登場

新登場のガジェット「OpenCV AI Kit(OAK)」は、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)や他の超小型コンピュータソリューションの成功に倣ってはいるが、成長著しいコンピュータビジョンや3D知覚の分野に特化しているという点で他とは異なっている。新しいマルチカメラ対応プリント基板により、小型でオープンソースのユニットの中に多数の機能を詰め込むことに成功したOAKが現在、Kickstarter(キックスターター)で出資者を募集中だ。

OAKでは、カメラとオンボードのAIチップを使って、物体認識、人数カウント、フレーム内にある複数の物体間の距離測定など、さまざまなコンピュータビジョンタスクを処理できる。そして、処理された情報は分かりやすく、すぐに使える形式で出力される。

OAKのように信頼性が高く、低コスト、低消費電力のコンピュータビジョンユニットは、もしOAKがなければ複数の個別カメラとチップが必要(付随するソフトウェアの設定も必要となることは言うまでもない)とされるスマート機器やロボットの開発者にとって、非常に心強い味方である。

Image Credits: Luxonis

ハードウェアにも少し手を出すホビープログラマーが必ず使うというラズベリーパイのように、この手のデバイスを構成するほぼすべての要素は二次利用に関する制約がないMITのフリーライセンスに基づくオープンソース仕様である。さらにOAKは、コンピュータビジョンの世界で広く使用されている数多くのライブラリや標準を公開しているOpenCVと正式に提携している。

実際のデバイスとオンボードAIは、以前にリアルタイムで物体の動きを追跡して乗り手に警告を発する二輪車用スマートブレーキライト「CommuteGuardian(コミュートガーディアン)」を開発したLuxonis(ルクソニス)によって開発された。自分たちのイメージにぴったり合うハードウェアがないことに気づいたルクソニスの開発チームが独自にハードウェアを開発し、その後続モデルとしてOpenCVと提携して開発したのが今回のOAKシリーズである。

実はOAKには、超小型モデルの「OAK-1」とトリプルカメラモデルの「OAK-D」の2種類がある。共通しているコンポーネントが多いが、OAK-Dにはマルチカメラユニットが搭載されているため、プレーンなRGB画像の他のキューに頼らずにステレオの立体画像を実現できる。RGB画像のキューを認識する技術もかつてなく進歩しているが、それでも、ステレオで立体視できることは大きな長所である(ちなみに人間の視覚システムでは両方使われている)。

Image Credits: Luxonis

OAKの目的は、コンピュータビジョンシステムを利用することによって、それをゼロから構築あるいは構成する必要をなくし、多くのプロジェクトがより迅速に発足できるようにすることだ。物体や奥行きの検出機能は既に組み込まれているのですぐに使うことができる。あるいは、任意のメタデータを選び、それを使って付属の4Kカメラ(および2つの720pカメラ)画像の分析を独自の方法で拡張することも可能だ。

消費電力が非常に少ないことも長所である。コンピュータビジョンタスクはプロセッサにかなりの負担がかかるため消費電力もかさむ。XNOR(エックスノア)の超低消費電力チップなどのデバイスが非常に有望視されているのはそのためだ(だからこそエックスノアはApple(アップル)に買収された)。OAK製品はエックスノアほど超低消費電力ではないが、それでも最大消費電力は数ワットであるため、処理するタスクによっては標準サイズのバッテリーでも数日あるいは数週間、充電なしで動く。

ポート、ケーブル、GitHubリポジトリなどの側面を熟知している人は間違いなく、OAKの仕様を興味深いと感じるだろう。詳細な仕様についてはクラウドファンディング用ページで分かりやすくまとめられているので、ここでは詳述しない。以下に要約版を記載する。

Image Credits: Luxonis

OAKシリーズの製品が自分のプロジェクトやラボで使えそうだと感じたら、ぜひ早めにキックスターターから申し込むことをおすすめする。早期特典として大幅割引が用意されており、小売価格の半分で手に入れることができるからだ。公表されている機能を考えると、OAK-1が79ドル(約8500円)、OAK-Dが129ドル(約1万4000円)という価格は、個人的には格安だと思う。最終的な小売価格はOAK-1が199ドル(約2万1000円)、OAK-Dが299ドル(約3万2000円)になる予定だ。さらに、ルクソニスとOpenCVは、新製品を発表しておきながら実際の発売がいつになるか分からないと言い出すようないい加減な組織ではないので、安心してクラウドファンディングのキャンペーンに参加できる。また、今回のキャンペーンでは、当初の目標額は開始後1時間で達成済みであるため、そのこともまったく心配する必要はない。

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カテゴリー:ハードウェア

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(翻訳:Dragonfly)

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TechCrunch Japan

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