9月20日とされていたTikTokの売却の期限はとっくに過ぎているが、関係者はまだ取引条件で合意に達していない。TikTokの親会社であるByteDanceと買い手であるOracleとWalmartは、アプリの将来的な所有権について相反するメッセージを出しており(未訳記事)、投資家とユーザーを混乱させている。一方、TikTokの売却に対する中国政府の不服は、日増しに明らかになっている。
OracleとWalmartが「いじめとゆすり」でTikTokを効果的に買収することを可能にする「汚い」「不公平」な取引を中国が承認する理由がないと、9月23日に中国共産党の公式英字新聞であるChina Dailyに掲載された社説は激しく非難している。
この社説では、2020年に10億ドル(約1050億円)の収益が見込まれているTikTokの成功に対して「明らかにワシントンが不安を感じている」と主張し、米国が「国のセキュリティを口実にしてこのショートビデオ共有アプリを禁止させたのだ」という。
この公的メッセージに対してByteDanceの受け取り方は複雑だろう。これまで同社は、中国政府と無縁であることを証明しようとしてきた。西側諸国で同社が自由に活動するための前提条件だ。
中国政府はすでに一連の輸出規則を修正して、TikTokの取引を複雑にしてきており、特定のAI技術を外国に売ることを制限している。ByteDanceも中国の国営メディアも、合意に技術移転は含まれない、と述べている。
トランプ政権は、納得できる条件に達しなければTikTokのダウンロードを禁ずるといっているが、現在すでに米国には1億のユーザーがいる。トランプ政権はTencentのWeChatの閉鎖も計画したが、しかしそれはサンフランシスコの地裁がブロックした。
市場調査企業のSensor Towerによると、TikTokの米国におけるインストール数は、App StoreとGoogle Playを合わせて1億9800万、米国でのWeChatのインストールは2014年以来2200万近い。TikTokは米国に巨大なユーザーベースがあるが、WeChatを使っているのは主に中国に家族などがいる中国語を話すコミュニティの人びとだ。中国では欧米のチャットアプリが禁じられていることが多いため、WeChatが主流のメッセンジャーだ。
アプリ禁止の締め切りである9月20日の直前に中国の商務省は、TikTokとWeChatに対する「いじめをやめよ」と米国に呼びかけた(China Daily記事)。そして、止めなければ「中国企業の正統な権利と利益を保護するために対抗措置をとる」と通告している。
対抗策といえば、2019年に米国が通信機器大手のHuawei(ファーウェイ)に対する一連の不利益な措置を発表したとき中国は、「市場のルールに従わず」しかも「中国企業の正統な権利と利益を一血ル敷く損なう」外国企業と個人を対象とした「信頼できない企業リスト」を公表する(未訳記事)と明言したが、そのリストはまだ明らかになっていない(Reuters記事)。
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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa)