IT企業間における従業員の引き抜きを阻止することによって、当該労働者たちの公正な市場給与額を制限してきた大々的な共謀に、今日新たな趣向が加えられた。Facebookは協力を拒否していた。そして本誌はそれに関する文書を入手した。
今日広く報じられた提出書類には、Facebook COO Sheryl Sandbergの逸話が含まれ、かつてGoogleが、両社間の緊張緩和を提案するために彼女に接触してきたことが書かれている。Sandbergが当時を次のように語っている。
「2008年8月頃、私は当時GoogleにいたJonathan Rosenbergから連絡を受けた。Rosenberg氏は、FacebookがGoogle従業員を雇う際の、彼が言うところの想定レートについて説明した。同時期、私は同じような話題についてOmid Kordestaniとも話した。同氏もGoogleの人間だった。当時私は、FacebookによるGoogle従業員の募集あるいは雇用を制限することを拒んだ。それ以降も、同様の協定をFacebookとGoogleの間で交わしたことはない」
要するに、他の会社がAppleのいじめにあったり、互いに人材を引き抜くのをやめたりしていた時、Facebookは協力しようとしなかった。
2008年のFacebookが太陽よりも熱かったことは言っておくべきだろう。つまり、他社からの採用を続けていたのは、同社の市場におけるポジションを反映していたのもしれない。引き抜きをしている時に、武器を捨てる理由はない。
Googleは、Facebookに社員を奪われることに、どれほどイライラしていたのだろう。別の提出書類より:
【画像抄訳:Googleの人事責任者は、サイト信頼性技術(SRE)チームに対してFacebookが勧誘していることを知り、Sandbergに引き抜きをやめ、引き抜き防止協定の結ぶよう提案したが拒否された。SREメンバーの脱落を防ぐためにインセンティブを検討し、ついには相手の会社に立ち入り社員を追いかける案まででた。
2008年8月、ある社員をFacebookに引き抜かれた後、Googleのコミュニケーション担当VPは、Google経営委員会およびBill Campbell(Intuit 取締役会会長、Apple副筆頭取締役、Googleアドバイザー)にメールを送り、Facebookによる引き抜きへの懸念と共に、当該従業員に対して配置替えやGoogleにおける将来について話したが、昇給、昇進などチーム内に重大な問題を起こしかねない約束はしなかったことを伝えた。Bill Campbellは「誰がSandbergに接触して火を消すべきなのか? われわれには休戦が必要だ」と返信した。】
ともあれ、Sandbergは応じなかった。上の話はSandberg自身の物語を裏付けているように見える。
そして、次に起きたことは、企業が自社従業員の公正な給与を偽るために共謀しない時、起こるべきことそのものだった。
以下に、その部分を引用する。
【画像抄訳:FacebookはGoogle社員の引き抜きを続けた。例えば2010年、Facebookの新規従業員のうちxx名が、Googleから引き抜かれた。このためGoogleはFacebookの勧誘戦略を研究した。1ヵ月後、Googleは「ビッグバン」を発表し、定額給従業員全員の基本給を10%増加し、全従業員に一時ボーナスとして現金1000ドルを支給した。】
というわけだ。
要点は単純だ。従業員が働く場所を選ぶ権利を縮小することによって給与を抑制しようとする大型IT企業の試みは、極めて身勝手であるだけでなく、そもそもそれらの企業を成功させた市場原理そのものに反している。
好きな時間だけ市場を自由にすることはできない。Facebookがこの不正に関与しなくて本当によかった。
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(翻訳:Nob Takahashi / facebook)