EVのLucid MotorsがSPAC合併で上場へ、2021年下期に北米でLucid Airの販売開始

Lucid Motors(ルシード・モーターズ)が特別買収目的会社(SPAC)であるChurchill Capital IV Corp.との合併を通じて公開企業となることに同意した。これまでのSPACと電気自動車スタートアップ間の取引で最大のものとなる。

サウジアラビアの政府系ファンドが引き続き最大株主となる合併会社の合併取引における株式価値(合併後新会社の株式価値)は117億5000万ドル(約1兆2370億円)となる。上場企業の私募増資は1株あたり15ドル(約1580円)で、形式上の企業価値は240億ドル(約2兆5270億円)になる。発表の1週間以上前にBloomberg(ブルームバーグ)が匿名情報筋の話として合併交渉が最終段階にきていると報じていた

Lucidのケースは、いくぶん企業価値は小さいArrivalCanoo、Fisker、Lordstown Motorsなど2021年発表された他の電気自動車スタートアップのSPAC合併に続くものだ。EVgoやChargePointなど、いくつかのEVインフラ企業もまたSPAC合併を通じて公開企業となった

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Lucidは最も合併が予想された企業だったかもしれない。何週間にもわたって自由奔放に繰り広げられていた誇大広告と憶測によって、上場時に1株10ドル(約1050円)だったChurchill Capital IV Corp.の株価は2021年1月以来470%超上昇した。うなぎのぼりの株価は合併の詳細発表後に30%超急落した。

私募増資とChurchillからの現金によって、Lucidの調達総額は約44億ドル(約4630億円)になる。この資金は同社の計画を加速させ、拡大するのに使われる。同社は2021年下期に北米でLucid Airの生産と納車を開始する計画だ。これは注目すべきタイムラインの後ろ倒しで、同社は以前、2021年春の納車開始を目指していた。Airは2022年に欧州で発売され、翌2023年に中国にも投入される。重力パフォーマンスに優れた高級SUVは2023年に北米マーケットで発売される見込みだ。車両はアリゾナ州カサグランデに新設した工場で生産される。

資金は2種の車両のマーケット投入とともにアリゾナ州の工場を拡張するのにも使われる、とCEO兼CTOのPeter Rawlinson(ピーター・ローリンソン)氏は米国時間2月22日に述べた。同社は生産能力を年36万5000台にするために今後数年かけて3段階で工場を拡大する計画だ。7億ドル(約740億円)をかけた工場拡張工事の第1段階は2020年末に完了し、年生産能力は3万台となる。

画像クレジット:Lucid Motors

今回の合併は、EVテクノロジーを他の自動車メーカーのようなサードパーティーに提供したり、住宅・商業・ユーティリティセグメントのエネルギー貯蔵に生かすというビジョンにLucid Motorsが目を開くのに役立つ、とローリンソン氏は述べた。

EV企業の事業を拡張することは安くもなければ、簡単でもない。Lucidは数年前に、超高級セダンAirの生産に必要な資金を提供する投資家を探すのに苦労し、万事休すのぎりぎりのところまでいった。結局、2018年9月にサウジアラビアの政府系投資ファンドがLucid Motorsに10億ドル(約1050億円)投資することに同意した。

Lucidは2007年にAtievaとして始まり、Teslaの元副社長で役員だった Bernard Tse(バーナード・ツェ)氏と、EVバッテリーテクノロジーの開発に注力していた起業家のSam Weng(サム・ウェン)氏によって設立された。初期の研究、開発そして部品と全体的な電動アーキテクチャの最終的な進展はLucidの将来にとって重要な基礎となった。同社はEVを生産するという目標とともに2016年末に登場した(同社は数年間静かにこの取り組みを進めていた)。2013年にTeslaを辞めてLucidにCTOとして加わったローリンソン氏はこの新たなミッションの原動力となっている。同氏はのちにCEO職と責任を引き継いだ。

Lucidは往々にしてTeslaの競合相手と目される一方で、ローリンソン氏はAirがドイツの自動車メーカーのガソリン車のフラッグシップMercedes S ClassのライバルになるはずだとTechCrunchに語った。2月22日に公開された投資家向けのプレゼンテーションは「Teslaはイノベーティブだがラグジュアリーではない」という同氏の先のコメントを反映している。Lucidは自らを「ポスト・ラグジュアリー」と称し、「確立されたラグジュアリー」ブランドのAudi、BMW、Mercedes-Benzと競合する、とした。

LucidはTeslaを手本にしていて、大量生産が始まればより安価なEVを提供する計画の概略を示した。

ローリンソン氏が引き続きCEOとCTOを担う。合併は2021年第2四半期にクローズする見込みだ。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Lucid Motors電気自動車SPAC

画像クレジット:Lucid Motors

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:Nariko Mizoguchi

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TechCrunch Japan

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