2013年度も終わりにさしかかり、今年のSEOを振り返る記事も既に多数出ていますが、それにやや乗り遅れて便乗する形で今年の主要な話題を一気に振り返るためのSEO総集編をお届けします。
目次
- アルゴリズム/検索技術も色々と変わってきています
- 「コンテンツマーケティング」の考え方はSEOにも必須です
- 不自然リンク/ペナルティ対応等の事情もどんどん変わっています
- スマートフォン/モバイルのSEOに関わる大きな変更がありました
- 国内、国外で行われたサーチ系イベントレポートも充実
- その他SEO情報、SEOの方法論など
- まとめ
このようなラインナップで、筆者のtwitterアカウントや当サイトのFacebookページなどで言及した記事の中からピックアップしてお届けします。情報出典元が偏っていますが、重要な情報を、正確に、かつ下手な誤解を生まないよう配慮されて書かれている情報元は限られていると認識していますのでご了承下さい。
アルゴリズム/検索技術も色々と変わってきています
パンダアップデート、ペンギンアップデートと今では随分聞きなれたアルゴリズムに加え、新しく「ハミングバード」なるものも新しく導入され、心地良い感じに世間では勘違いされた情報がビュンビュンと出回ってきていますので、改めて、それぞれの意味やその対策などについて見直してみましょう。
パンダアップデートが通常アルゴリズムと統合されました
2011年の初回導入から早3年近く(驚き)、何かと世間を騒がせることの多い「パンダアップデート」ですが、これまでは通常のランキングアルゴリズムとは独立してデータ更新や「パンダ」アルゴリズムの刷新が行われていましたが、今ではその他のアルゴリズムに組み込まれる形で定期的に更新されるようになりました。
ペンギンアップデート×2回、大きな影響は出ず
「次のアップデートではかなり大きな変動が起こるだろう」と言われていて戦々恐々としていた2013年のペンギンアップデートですが、蓋を開けてみると「あれ?そうでもなくない?」といった反応が多かったように思います。今年は2回の更新でした。
(勘違いしてる人の多い)ハミングバード、「会話型検索」への対応強化
何故かはわかりませんが、一部のブロガーさん(?)等を筆頭に、「ハミングバードによってリンクの重要度が下がる」「コンテンツイズキングをハミングバードがもたらす」といった主旨の記事が出回ってしまいましたが、全くもってそういう類のものではありません。これはかなり勘違いされている方が多いです。
(おそらく)主に音声検索の普及を見越した、従来型の単語やフレーズでの検索語入力だけでなく「会話型の検索語」に対しても、「単語」ではなく「意味」をより高い精度で解釈して検索結果を提示できるようにした、大規模なアルゴリズムアップデートとなります。しかし、普段ビジネスで定点観測するような商用キーワードに対して大きな影響があったかと言えば、ほとんど影響はありませんでした。
- [解説] Google新アルゴリズム「ハミングバード」導入で検索がどう変わったの?::SEM R
- [速報] Google、新しい検索アルゴリズム導入を発表 - 「ハミングバード」(Hummingbird)::SEM R
- Voice Search Hotword: いつでも音声検索できるChrome拡張機能をGoogleが公開 | 海外SEO情報ブログ
その他:SSL化、オートコンプリートの是非、AppStore内SEO
Googleの検索のデフォルトでのSSL化により検索キーワードデータの取得が非常に困難になったり、Googleオートコンプリート機能などでのネガティブワード表示に起因する訴訟でGoogleが敗訴したり(昨年に引き続き)といった話題や、Googleではありませんが最近はAppStoreでの検索アルゴリズムでも大きく変化があったようです。
- Google、Chrome 25 から全ての検索をSSL暗号化へ::SEM R
- Googleオートコンプリートを巡る訴訟、ドイツでもGoogle敗訴::SEM R
- 米Apple、AppStoreの検索ランキングアルゴリズム変更、多くのアプリ順位に影響あり::SEM R
「コンテンツマーケティング」の考え方はSEOにも必須です
人為的なリンクソリューションによるSEOが徐々に肩身狭い状態になっている中、本質的にランキング全般を改善するには、如何にコンテンツを軸としたリンク獲得、ひいてはマーケティングを行っていくかは間違いなくSEOにおける必須の課題となります。
「コンテンツマーケティングって難しそうだしハードル高い」という声も多いですが、ここに挙げたような記事はその不安をある程度払拭し、またマーケティングにつながるコンテンツをどのように考えるのか、のヒントになると思います。
- 勘違いな、SEOを意識したコンテンツマーケティング 5つの代表事例::SEM R
- 「雑誌編集者」視点で考えるコンテンツ戦略~SEO とコンテンツマーケティング(前編) - インターネットコム
- 顧客のニーズの探し方~SEO とコンテンツマーケティング(後編) - インターネットコム
- SEOは検索者の関心と意図の洞察から始まる | SEO 検索エンジン最適化
- 文章を読みやすく整え、より伝わるコンテンツを作る | SEO 検索エンジン最適化
- Webライダー松尾さんのコンテンツ関連の一連のSEOツイートまとめ - Togetterまとめ
- アフィリエイト未経験者が月5万稼いだ方法を5ステップで解説してみた。 - たかぽんアンテナ
- 広告“枠”買いから、広告“コンテンツ”買いへ。 | AdverTimes(アドタイ)
不自然リンク/ペナルティ対応等の事情もどんどん変わっています
今やSEOの話題では定期的にでてくる不自然リンク起因のペナルティや順位下落について。細かな話題は事欠かないですが大まかな流れとしては以下のようなトピックが挙げられます。
色んなリンクが次々と「不自然リンク」認定へ
リンク元がいくら信頼あるオーソリティサイトでもそのリンクがSEO目的とみなされればNG判定、リンク購入には有名サイトでも容赦なくペナルティ、プレスリリースや有料ディレクトリもnofollowを、などと、一部若干度が過ぎるのでは?と思うような対応もあり話題になりました。
- オーソリティサイトからの被リンクが不自然リンク扱いに、問題視されたのはリンクの張り方 | 海外SEO情報ブログ
- 英国のフラワーショップがリンク購入でペナルティ&ニュースサイトがリンク販売でPageRankを下げられる、Matt Cuttsがリンク売買にあらためて警告 | 海外SEO情報ブログ
- グーグル、複数のディレクトリサイトに警告&ペナルティを実施 - SEO目的の有料リンクと認定・排除へ::SEM R
- 「プレスリリースは広告と同じ、リンクにはnofollowを付けるべき」とGoogleのジョン・ミューラー氏 | 海外SEO情報ブログ
- SEO目的のプレスリリース配信サイトも発リンクにnofollow付与へ - リスク回避か::SEM R
Google公式ブログから
Googleサーチクオリティチームのスタッフも積極的に情報を公開し、ブログだけではなくセミナーや動画でもこの有料リンク問題については呼びかけを行うようになりました。不自然リンクに対するSEO業者の対応が悪質と見なされた場合についての言及など、少し強めな対応をとる姿勢を見せているように見えます。
- Google ウェブマスター向け公式ブログ: PageRank を渡す有料リンクについて覚えておいて頂きたいこと
- Google ウェブマスター向け公式ブログ: ガイドライン違反を繰り返す SEO 業者への対応について
再審査リクエスト、対応も色々変わっているようです
この1年で、再審査リクエストに対するGoogleの対応も大きく変わっています。具体的なリンクURLのサンプル提示、様々なタイプの通知テンプレートなど、正直やや不可解な部分もあるように感じていますが、ペナルティ解除に向けた取り組みの基本的なポイントは変わりません。
- 万が一に備える!GoogleのSEOペナルティ解除手順まとめ(テンプレート付) | Find Job ! Startup
- 不自然リンクペナルティ・再審査リクエスト絡みの質問を20個集めて汎用的かつ無難なQ&A集を作ってみた - SEO HACKS公式ブログ
- サンプルを提示する、不自然リンクへの再審査リクエスト不合格通知が送られてきた | 海外SEO情報ブログ
- Googleからウェブマスターツール経由で「手動ペナルティでの処置を変更したよ」のような珍しい通知が来た - SEO HACKS公式ブログ
- Googleから「再審査リクエストされてもしばらく審査しないからちゃんと時間かけてリンク削除してから申請して」的な通知が来た - SEO HACKS公式ブログ
メジャーなブログサービスもSEOスパム対策を強化
livedoorブログや、最近ではサイバーエージェント社が運営するAmebaブログなどのブログサービスにおいても、検索エンジンスパムへの対応をより強化するような発表がありました。Googleの強めな呼びかけとも相まって、以前よりもリンクを削除できる可能性がかなり向上したというのは実感としてあります。
- AmebaにSEOスパムの通報機能を設置したわけ|CyberAgent SEO Information (サイバーエージェントSEO情報ブログ)
- 検索エンジンスパムへの対応について - livedoor ブログ ヘルプセンター
スマートフォン/モバイルのSEOに関わる大きな変更がありました
スマートフォンでのアクセスを全てスマートフォン版TOPにリダイレクトする、などの設定をしている場合、PCでの検索では上位にあるサイトがスマホ検索で全くヒットしなくなる、などの事象が実際に確認できています。ある意味、細かな技術要件とも言えますが、ユーザー体験を損ねないために正しい実装を心がけるべきポイントと言えます。
- Google ウェブマスター向け公式ブログ: スマートフォン向け検索でのランキングの変更について
- 解説:Googleが問題視する「設定が不適切なスマホ向けサイト」とは::SEM R
- スマートフォン版サイトがないのにスマホとPCで検索順位が全然違う、という事例を調べてみた - SEO HACKS公式ブログ
- スマートフォン固有のクロールエラーをGoogleウェブマスターツールで確認可能に | 海外SEO情報ブログ
国内、国外で行われたサーチ系イベントレポートも充実
海外でのサーチ系イベントは過去から多く開催され一部レポートが出ていましたが、2013年度は国内でも多くのイベントが行われていたように思います。レポートも充実の内容で、今後のSEOの取り組みを踏まえても必読の内容です。
- 「ユーザー行動から取り組むSEO」に行ってきました - ムラウェブドットネット
- 【保存版レポート】CSS Nite LP, Disk 29「SEO 2013」に参加してきました。#cssnite_lp29 | バカに毛が生えたブログ
- 【保存用レポート】Search Summit Tokyo 2013(@渋谷ヒカリエ/2013.10.30)に参加してきました。#searchsummittokyo #ササミ | バカに毛が生えたブログ
- [レポート] Search Summit Tokyo 2013へ参加しました #searchsummittokyo #ササミ
- 検索順位を決める最重要要素、ペンギン時代のリンク構築、グーグルグラス – SMX East 2013 1日目まとめ | SEO Japan
- ハミングバードにschema.orgは有効か? ペンギンからのリカバリはいつ起こる? Googleマット・カッツに追加質問 #PubCon Las Vegas 2013 | 海外SEO情報ブログ
- ネガティブSEOやリンクプログラム更新など8個の気になる質問にGoogleマット・カッツが回答 #PubCon Las Vegas 2013 | 海外SEO情報ブログ
- Googleマット・カッツが語る検索の今と未来 #PubCon Las Vegas 2013 | 海外SEO情報ブログ
その他SEO情報、SEOの方法論など
その他、SEOの情報収集に役立つ記事や、今後の展望を踏まえてどのような取り組みが求められるか、その参考になりそうな記事をいくつかピックアップしておきました。
- プロが教える。SEOに強くなりたい人は読むべき、Google公式ドキュメント+SEOブログ | Find Job ! Startup
- 検索とSEOとソーシャルの話 - リンクは「サイト」から「人」へ::SEM R
- SEO担当者向け : これだけは知っておきたい検索エンジンの基本 【2013年度末版】 | SEO Japan
- SEOで月間1000万PVを集めたサイトの「SEOノウハウ」を公開します | Find Job ! Startup
- スマホアプリでCGMをやる際の戦略はどうするべき? - nanapi社長日記 @kensuu
- 自然リンクを狙ってSEOの成果を出せる人は普通にスゴイと思う、という話と将来的なSEO事業の向かう先について | 天照SEOブログ
まとめ
このように、相変わらず激しく変化する検索エンジン環境の中で、それでもサービス利用者や商品を購入するターゲットユーザーが「検索して探す」ことをやめない以上、常にSEOの改善方法を模索していかなければならないことには変わりません。
検索エンジンは今後も更に改良を進めますが、その方向は「ユーザーの検索に対して、より良い検索結果を返せるようにする」ことであることは変わりなく、具体的には、
- ユーザーの検索意図を、文字や単語、ではなく意味や文脈でより正確に理解する
- コンテンツの品質や信頼性をより高い精度で評価する
- 不正なSEO手法を正しく検出して順位操作を防ぐ
- 検索意図に応じた、より多様な検索結果を提示する
などの方向性が挙げられると思います。
その上でサイト運営者が何を考えるか?ですが、このような検索エンジン技術の進歩に伴い、「(検索エンジンが未熟だから結果的に有効だったような)余計なことを考えずにサイトを運営する」「アルゴリズムの欠陥を突くような手法を模索するのではなく、本質的にサイトの価値を高めることを考える」といった方向に、嫌でもシフトしていくことが求められます。
2014年もSEO頑張りましょう。それではみなさん良いお年を。
ヴォラーレ株式会社 土居