Googleのナレッジグラフは、増え続ける構造化コンテンツをPC、および、モバイルの検索結果に供給する特命を帯びている。これは「ユニバーサル検索」を機にスタートした進化の一環であり、モバイルデバイスで「リンクではなく答え」を提供するため、加速を続けている。
現在、Googleは、コンテンツのナレッジベースの後継者を開発している。これは、最終的にナレッジグラフに取って代わり、遥かに規模の大きな製品になると見られている(追伸を確認してもらいたい)。New Scientistによると、このシステムとデータベースは、「ナレッジボールト」と呼ばれるようだ。Googleは、パブリッシャーへの依存を徐々に軽減している。そのため、時間の経過とともに、ナレッジボールトはパブリッシャーに大きな影響を与える可能性を秘めている。しかし、Googleのビジネスモデルが、この流れにある程度歯止めをかけている。
「人類史上、最大の知識の宝庫」と言うセンセーショナルな称号が与えられたナレッジボールトは、人間による編集を介さず、インターネット中から集められたコンテンツで構成される。「ナレッジボールトは、単独でウェブ上の情報を集め、世界、人物、そして、物事に関する事実のデータで構成される単一のデータベースに統合する」とNew Scientistは指摘している。
Googleは、どうやら、既に16億点の「ファクト」(事実に関するデータ)を集め、精度の確実性に応じて、スコアをつけているようだ。 データベース内の16%の情報が、「確実な事実」と認定されている。
ナレッジボールト、そして、Googleの「自信」が拡大すると、様々な状況、とりわけモバイル(Google Nowを含む)で利用されるようになる可能性がある。これは、Star-Trekの「どんな疑問にも答えを出す」コンピュータとして、究極のビジョンを構築する取り組みの一環だと言える。このビジョンを実現するには、莫大な量の情報が必要になるが、このシステムが構築されると、様々な利用法や演算のシナリオが現実のものとなる。
New Scientistの記事は、ナレッジボールトを未来の人工知能、機械対機会の通信、拡張現実、予測モデル、そして、バーチャルアシスタントのユースケースの土台と位置づけている。以下に、同サイトの記事の中で挙げられていた、このテクノロジーの用途の例を挙げる:
その他のエージェントは、同じプロセスを実施し、医学的症状のナレッジベースを調べ、個人の健康の記録に関するデータとの相関関係を見つけ出すことで、健康に気を配り、指導を行う。IBMのWatsonは、既にニューヨークのメモリアル・スローン・ケタリング病院で、癌に対して、この取り組みを行っている。
被害妄想の度合いによっては、ナレッジボールトは、コンピューティングにバラ色の未来をもたらす刺激的な展開とも、もしくは、アメリカ政府の全情報認知プログラムを思い起こさせる恐怖の展開とも受け止められるだろう。
New Scientistの記事は、Googleだけではなく、全ての主要なインターネット関連の会社が、同じような情報とデータの「ボールト」(保管室)を構築していると指摘している。
追伸: 昨日、Googleは、New Scientistの記事では、「ナレッジボールト」が不正確に伝えられている、もしくは、誤って解釈されていると指摘した。どうやら、ナレッジボールトは研究論文(2014年5月)であり、Googleは開発を進めているわけではないようだ。さらに、Googleは、機械を使ってナレッジベースを構築するモデル、あるいは、テキストから意味を抽出するモデルは、同社にも、そして、他社にも多数存在すると表明していた。
この記事は、Search Engine Landに掲載された「Google “Knowledge Vault” To Power Future Of Search」を翻訳した内容です。