モバイルを収入増加につなげるのは、難しい。アプリに広告を掲載する手もあるが、完璧なモバイル広告戦略を編み出した企業は、ゼロに近い。また、アプリに広告を追加する手法は、ユーザーにとっては、迷惑であり、不快そのものである。
アプリに広告を掲載しても、利益にならないとまでは言わないが、それよりも、優れた、病みつきになるアプリを提供する必要がある。なぜなら、アプリをダウンロードし、利用する行為は、ユーザーに手間をかけるものの、消去するのは簡単だからだ。アプリを利用する価値をすぐに分かってもらえなければ、二度と使ってもらえないはずだ。
さて、数週間前にイスラエル・モバイル・マネタイゼーション・サミットが開催され、モバイルのビジネスモデルを学ぶために、私は出席した。第三世界は、高額なコストのかかるラップトップをスキップして、3Gスマートフォンに飛び付いているため、モバイルは、世界を均一化する原動力となりつつある — 従って、この領域で収入を上げる取り組みは、最新の課題と認識されている。
利益をもたらすモバイルアプリを作成していることを、どうすれば把握することが出来るのだろうか?残念ながら、それは不可能である。期待し、計画を立て、世界最高のビジネスモデルでサポートすることも出来る — しかし、単純な運任せよりも確率が高いかどうかを、体系的に確認し、判断することが可能な要素は存在するのだろうか?
エリック・ライス氏(Lean Startupで有名なエリック・ライズ氏とは別人)が、この要素を分かりやすく説明してくれている。ライス氏は、The FatDUX GroupでCEO兼コンテンツストラテジストを務めている。そして、同氏は、UXに特に注目しており、アプリは、その中核において、真の価値を持っていなければならない、と考えている。
それでは、ライス氏が掲げる、アプリの成功を示唆する「モバイルアプリの18点の要素」を挙げていく。
基盤
コンセプト
- 手頃な価格 – 無料で提供しているなら、それ以上の良心的な価格はない。無料ではないなら、価格に見合う価値を持っているだろうか?
- 利便性 – Evernote、もしくは、写真をファックスに変えるアプリ等をイメージしてもらいたい。頻繁に利用するわけではないものの、持っている必要がある。ここではゲームは当てはまらないが、Lumosityは例外だ。
- 使いやすさ – そのアプリは、簡単に、そして、楽に理解し、使うことが出来るか?Instagram並に簡単に使えるだろうか?
コンディション
- ビジネスに不可欠(仕事に必要) – 会計ソフトが当てはまる。ゲームは該当しない。
- 依存性 – ゲームは、ビジネスには不可欠ではないものの、病みつきになる。Facebookも病みつきになるアプリであり、個人的にはPinterestにものめり込んでいる。
- 本質的な価値 – そのアプリは、極めたいと思わせるだろうか?eメールが良い例である — 例えばInbox Zero。これは、あらゆるアプリにとって、究極の目標だと言えるだろう(私自身はまだ到達していない)。
コミュニケーション
プラットフォーム
- 紹介 – ブログ、Pinterest、Tumblr、LinkedIn、Dribbble – 作品・好み等を見せびらかすものは全て含まれる。
- ルート – 何かを起こす力を持つ – Bufferは、オーディエンスにとって最高のタイミングで、様々なソーシャルプラットフォームに投稿を配信する。これはルートであり、目的地ではない。
- ソーシャルシステム – Facebook、Twitter、Snapchat…社交的になる場所。他の人達とのつながりを持つ。
環境
- マーケットが明白 – そのままだが、例えば、子供用のゲームが該当する。
- マルチチャンネル機能 – Evernoteは、オンラインおよびオフラインにおいて、ユビキタス化しており、この要素においては、模範的な存在だと言えるだろう。
- チャンネル間のコンバージョン(ゲームを想像すると良い) – Disneyは巧みにこの取り組みを行っている。Where’s My Waterでは、購入することが可能なキャラクターやバージョン、そして、解除可能なレベルが用意されている。
収益化
手っ取り早い収益化
- インセンティブ – Dropboxが良い例だ。 友達を参加させると、無料で容量を増やすことが出来る。
- 見返り – アプリが求める行動を取ったユーザーには、ポイント、クーポン、バーチャルグッズ等で見返りを与える。
- クロスセル – ここでもゲームが当てはまる。バーチャルグッズやプレミアムゲームをアプリ内で買ってもらおう。
支払いの自動更新
- 購読 – NYTimes等のメディアは、現在、購読モデルを提供している。
- アップグレード – Dropboxのプレミアムサービス(例)。フリーミアムモデルでは、アップグレードを自動課金することが出来る。
- 拡張性 – 例えば、Esty等のマーケットプレイスは、取引に対して少額の手数料を徴収するものの、金額に応じて、収益が変動する。
ライス氏曰く、「問題を解決していないなら、問題を作っている」ことになる。
私が絶対に遊びたくないゲーム、Candy Crush Sagaは、上の18点のうち13点を満たしている。このゲームを開発したKingは、依存性を見事に活用している。スタッツを調べなくても、この点は明らかである。なぜなら毎日のように、Facebookでこのゲームへの招待を受けているからだ(ちなみに、通知を既に無効にしているが、それでも右側のスペースで招待される)。
さらに例を挙げていこう。西欧ではあまり知られていない日本のゲーム「Toshi」は6点の要素を、そして、Angry Birdsは7点の要素を持っている。Angry Birdsにあって、Toshiに欠けているのは、タイミングの良さであった。
ライス氏によると、Rovioは(Angry Birdsのメーカー)、誰よりも早くモバイルを適切に利用し、Appleの寵愛を受けるようになった。これは、Rovioが、他社を圧倒するヒットを達成した理由そのものなのかもしれない。もちろん、これだけヒットすれば、フランチャイズ化が可能になる。
皆さんのアプリと比較してみよう。最後に、コメント欄で考えを聞かせてもらいたい。
画像: ROBYN BECK/AFP/Getty Images
この記事は、The Next Webに掲載された「How to check if your app is addictive enough to make money」を翻訳した内容です。