コレクターズトイを鑑定・販売するWhatnot、まずはビニール人形の鑑定からスタート

かわいいくて頭のでかいこのビニール人形のFunko Pop(ファンコ・ポップ)。米国ではゲーム専門の小売店であるGameStop、衣料などを扱う小売店のHot Topicといった店舗や、同僚の机の上を占拠しているのを目にしているはずだ。特にこの数年で小売店の棚を並ぶことが多くなった。今や、ほぼすべての娯楽分野のFunko Popがあり、その種類は8000種類以上とも言われている。だがその数は、止まるところを知らない。

他のコレクターアイテムと同様、Funko Popにも特別に価値の高いものが存在する。マイナーなキャラクターでほとんど売れなかったものや、珍しいカラーリングの限定版、イベント会場で1日か2日間だけ配布されたものなのだ。レア物になると、ひとつ数百から数千ドルの値がつく。そして、人々が大枚を叩くところには、偽物が出回るのが世の常だ。

Y Conbinatorの2020年冬のクラスを卒業したWhatnot(ホワットノット)は、コレクターズトイの偽物問題に、GOATやStockXなどの認定小売業者のモデルを応用して取り組もうとしている。Whatnotは、買い手と売り手をつなぐ膨大な専門知識を持つ仲介者業者。買い手の注文に応じて売り手がFunko PopをWhatnotに送る。Whatnotは、増え続ける知識を駆使して真贋を鑑定する。問題ないと判明すると、そのFunko Popは買い手に届けられ、Whatnotはおよそ9%と送料として数ドルを手数料として受け取る。

「実際、私たちは、スニーカーを買って転売する仕事からスタートしているのです」と、Whatnotの共同創設者であるGrant LaFontaine(グラント・ラフォンテイン)氏は私に話してくれた。「その後、Funko Popの売り買いを始めました。しかし始めてみて、意外と難しいことに気がつきました。Funko Popの売買は、スニーカーの売買に比べて危険度も高かったのです」。

GOATやStockXのようなサービスはスニーカー愛好家にとって「劇的に単純化」されていて、買い手のためには偽物を排除し、売り手を傷つける詐欺が疑われるものを閉め出しているとラフォンテイン氏は言う。

現在、Whatnotで販売されるすべてのFunko Popは人間の専門家が鑑定している。高価なレア物なら理解できる。600ドルから700ドルで取り引きされるComic Conのシス・トルーパーや、数千ドルにもなるとされる2012年の「ホログフィック」のダース・モールのようなアイテムを、Funko Popの愛好家は「Grail」(聖杯)と呼んでいる。だが、それほどレアでもないものに関しては、そこまでやる必要がない。

そんな考えから、Whatnotは箱のサイズがわずかに違うとか、ロゴが少し変といった危険信号を取り引き段階で発見できるようにするデータベースを構築している。近い将来には彼らの鑑定は大半が自動化され、高価な取り引きに限って人間の専門家が鑑定(特別料金で)という態勢になる。

この市場の可能性に目を付けているのはWhatnotだけではない。スニーカー専門の認定小売りマーケットプレイスを最初に立ち上げたStockXは、昨年後半からコレクターズアイテムも扱うようになった。Whatnotはと言えば、コレクターズトイに特化し、愛好家にぴったりのユーザーエクスペリエンスの提供、特定カテゴリーでの検索、彼らが欲しがる情報の提示によって、固定ファン層を確保したいと考えている。

とはいえ、WhatnotはFunko Pop専門ではない。少なくとも、ずっとそれを続けるわけではない。いずれは他のタイプのアイテムにも手を広げる予定だ。次の候補としては、ポケモンカードあたりが考えられる。同社が私に話してくれたところによると、Wonder Ventures、YC、その他の少数のエンジェル投資家からプレシード投資として55万ドル(約6000万円)を調達したという。

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(翻訳:金井哲夫)

クローンの攻撃! 偽レゴを買って作ってみたら、その結果は……

レゴは高価で、子どもたち、とくにウチの子どもはそれをたくさん欲しがる。我が家の地下室は、大きなオモチャ屋の返品部門のようで、端から端までオモチャで埋まっている。なかでも目に付くのは、小さな組み立てブロックのどこまでも広がる地雷原だ。しかし、私たちはいろいろなものを組み立てては、ごっこ遊びを楽しんでいる。末っ子のGuthrieは「スター・ウォーズ」が大好きだ。しかし、レゴは高い。「スター・ウォーズ」のキットはなかでもいちばん高い。どうしたものか? おじいちゃんおばあちゃんからの年末のプレゼントに欲しいものリストに加えておくか。バラバラになって、その破片や人形たちが何マイルにもわたって散乱する船に何百ドルも支払うのか? それとも、なんでも見つかる安心の場、インターネットで「Lepin」(レピン)を探すか?

遠い昔はるか彼方の銀河系でLego (レゴ)のコピー商品が数々あった。なかでも人気が高かったのは、レピンというメーカーが作っていたもので、私がそれを初めて知ったのは、「ファーストオーダーのタイファイターのセット」の驚くほど完璧なレビュー動画を見たときだった。この動画では、レゴとレピンをじつに詳細に比較していた。しばらくの間レピンは、「スター・ウォーズ」の予告編や、子どもたちが好きなYouTubeチャンネル「Bad Lip Reading」を抑えて、我が家の一番人気となった。子どもたちは、あの動画のゆっくりで一定したペースに心を奪われていた。私は、レゴを買うよりずいぶんお金が節約できるという考えに心を奪われた。

コピー商品に関するモラルや法的問題に敏感になる方もいるだろうが、わかって欲しいのは、私はレゴの価格はそれ相応のものだと理解しているということだ。レピンのセットを組み立てたあと、レゴがどれだけ丁寧に作られていて、製品としての満足度が高いことを思い知らされた。レゴなら、飛行中に分解することはない。とは言え、これはひとつの実験だ。この大胆にも完全コピーされた製品が、普通の茶封筒に入って送られて来たことに驚いた。不要品交換会で買ったルイスやロレックスの偽物とは違い、レピンのキットは、ひとつひとつのブロックがオリジナルのコピーになっている。しかし、いくつかの大きな問題があった。

私はAlibaba でタイファイターのキットを購入した。これは、私のノスタルジアのど真ん中のボタンを押し、子どもたちの興奮のボタンを押した精密だが高価で買うのを諦めたモデルのコピー版だ。私はこのタイファイターを組み立てる。科学のためだ。

キットは価格が約5200円、送料は約1300円で、2週間後に届いた。茶色いクッション入りの封筒の中に、説明書と小さな袋に小分けされたブロックが入っていた。わかりやすい分類がされているわけではなく、大きなブロックが一塊になり、小さなブロックが、いくつかの小袋に詰め込まれている。袋に順番などは書かれておらず、説明書にも、どれを先に開けろとは書かれていない。とにかく、全部いっぺんに開けてしまって、作り始めるのがよさそうだ。

まず目に付くのは、射出成形の痕跡がやや凹んでいる出っ張りの先端が、まったく滑らかになっていることだ。そこには「Lego」の刻印がなく、不安になるほどツルツルだ。本物のレゴの表面をサンドブラストで磨いたような感じだ。ミニフィギュアにもちょっと問題がある。顔はレゴのものに比べると、シャキッとしない。アクセサリーも同様だ。たとえば、パイロットのヘルメットから出ているホースが、変な風につながっている。こういうところでコストを削減しているのだろうが、簡単に外れて、すぐに紛失してしまいそうだ。

ブロックの整理をしたら、いよいよ組み立てだ。ここでまた、コスト削減による問題に突き当たる。説明書では、使用するブロックだけがカラーで示され、あとはグレーで薄く印刷されている。だから、組み立て中に、それがどのような形になるのかがわからない。内部を組み立てるときは、とくにわかりづらい。さらに、説明書のステップ数がやたら多い。レゴの説明書では、1ページに1つか2つのステップというペースにレイアウトされているが、こちらはぎゅーぎゅー詰めなので、混乱してしまう。

組み立てには2日かかった。息子がほとんどを組み立てたが、最後は私が介入した。私もやってみたかったし、息子は飽きてしまったからだ。そしてその直後、私たちはレピンの致命的欠陥に気づくことになる。モデルが崩壊してしまうのだ。

私の義父は、射出成形でオモチャを作っていた。彼はよくレゴのことを褒めていた。レゴは頻繁に型を壊して新しく作り直している。だから、どのブロックもきっちりしてて、きれいで、真っ直ぐなのだと、ことあるごとに聞かされきた。製造工程において、型はもっとも高価なものだ。作るのに何千何万ドルもかかる。レゴのような複雑な型ともなれば、製作にはかなりのコストがかかる。プラスティックの知識から見る限りでは、レゴ社はそこに金を惜しんでいないということだ。

レピンは違う。

組み立てを始めると、真っ直ぐなはずのブロックが歪んでいたりする。ヒンジはきっちりはまらない。大きな板はサイズが合わない。組み立てながら、本当にこれらはひとつの塊でいてくれるのか心配になってくる。最後にはバラバラになるのではないかと。たとえば、このモデルでは、翼に埋め込まれた4本のバーをつなげるために、小さなU字型のクランプが4つ、両サイドに飛び出る形になるのだが、このクランプがきちんと入ることもあれば、入らないこともあり、入らないときは翼が分解してしまう。組み立て直すのに10分かかる。乱暴に扱うような遊びには使えない(というか、どんな遊び方でも無理だろう)。パイロットを乗せるためのハッチは、完全に閉じると外れてしまう。あのデンマーク製の愛すべきレゴ

の許容差は、ここにはない。棚の上に飾っておくしかなさそうだ。

もし、あなたもあなたのお子さんも、あまりよく見えない高い棚の上に置いて眺めるだけで満足できるなら、このレゴのコピー製品を試してみるといい。ただし、ガッカリすることは覚悟しなければならない。これは実物に近いクローンではあるが、小さな違いが積み重なって、やがて大きな問題に発展する。このタイファイターは、今はヤドカリの檻の隣に、触らないようにして置かれている。ポー・ダメロンのXウィングファイターがストームトルーパーに定期的に攻撃を加え、他のレゴたちは、基地や家やマインクラフトの冒険などに作り変えられている中、遊ばれない唯一のオモチャが、レピンのキットだ。

いい勉強になった。たしかに金は節約できるが、その必要はあるのだろうか? レゴは高すぎるし、子どもたちも、あまり強くレゴで遊びたいと言わないで欲しいとは思う。しかしそれでは、子どもたちに手で触れるもので遊ぶことの価値や、組み立てブロックで物を作ることの意味を教えることができない。私は、自分でタイファイターを買って、自分で組み立てる力があるなら、レゴで遊びたいという子どもを制止したりはしない。結局、レゴは最強なのだ。ミニフィギュアには叶わない。

レピンを買うべきだろうか? 私の中のブランドの熱狂的な擁護者は「ノー」と言っている。しかし、経費を節約して、子どもにコピー商品を組み立てさせたいと考えるなら(それを使って遊ぶことはできないが)、このC-3POまがいの世迷い言は忘れて欲しい。あなたの選択に、フォースがともにあらんことを。

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(翻訳:金井哲夫)