UPDATER(旧みんな電力)が総額37.2億円のシリーズC調達、独自トレーサビリティシステムの高速化などに投資

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電気が始動

再生可能エネルギー事業「みんな電力」などを手がけるUPDATER(2021年10月1日にみんな電力より社名変更)は10月29日、第三者割当増資などにより新たに総額10.7億円の資金調達を実施したと発表した。

これにより、プレシリーズCラウンド15億円、シリーズCラウンド ファーストクローズ11.5億円とあわせ、シリーズCラウンド総額37.2億円の資金調達を完了した。また今回の資金調達により、累計資金調達額は約52.2億円となった。

引受先および借入先は、以下の通り。
・TBSイノベーション・パートナーズ2号投資事業組合(TBSホールディングスCVCのTBSイノベーション・パートナーズ)
・TIS
・ヒューリック
・プロトベンチャーズ2号投資事業有限責任組合(プロトコーポレーションCVCのプロトベンチャーズ)
・SuMi TRUSTイノベーションファンド(三井住友信託銀行とSBIインベストメントが共同設立したプライベートファンド)
・みずほ成長支援第4号投資事業有限責任組合(みずほキャピタル)
・W ventures
・進和テック
・日本政策金融公庫

調達した資金および事業パートナーとの連携により、主に以下の分野に注力する。
・ブロックチェーン(Stellar)技術を活用した、同社独自のトレーサビリティシステム「ENECTION2020」の書き込み機能の高速化・低コスト化・各事業への最適化
・ウェルビーイングを実現するエアテック事業「みんなエアー」のサービス開発
・SDGsの達成をはじめとした社会課題解決のための新規事業創出
・人材採用の強化

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電力が始動

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電気が始動

みんな電力は4月15日、アーティストが再生可能エネルギーによる発電に参加でき、さらにアーティストの発電所で作った電気を購入できる「アーティスト電力」を開始した。ブロックチェーンを活用した同社独自のP2P電力トラッキングシステム「ENECTION2.0」を用いており、アーティストの発電所を指定して電気を購入できる取り組みは日本初(同社調べ)。

第1弾は、「アーティスト電力」発案者であり、同社の押しかけ課長・作家でクリエイターのいとうせいこう氏の太陽光発電所(いとうせいこう発電所)の電気契約を先着100名限定で受け付ける。

「アーティスト電力」の3つの特徴

  • アーティストの発電所で作った電気をみんなで購入できる
  • 電気を利用することで、コロナ禍のアーティストや音楽関係者を応援できる
  • 契約者限定ライブの開催

またみんな電力は、第1弾のいとうせいこう発電所を皮切りに、第2弾以降も順次検討しているという。これまで電気を消費する側だったアーティストが電気の生産者となる「アーティスト電力」を通じて、アーティストとファンが一緒に楽しみながら脱炭素アクションができる仕組みを広げるとともに、電気を自由に選ぶことができる楽しさを伝えるとしている。

いとうせいこう氏は、「いまは中央集権ではなく自律分散の時代であり、太陽光パネルを分割してみんなで持ち合うことでエネルギーも分散化できる」というアイデアを提案。「電気を面白く選ぶ体験を広めたい」と考える同社が共感し、ENECTION2.0を活用しこれからの電気のカタチを提案するプロジェクトを始動させたという。

同氏は、「電気料金の中にエンターテイメント代が入っていて、アーティストの支援にもつながる。そうやって、みんなで楽しく再生可能エネルギーの社会に変えていっちゃおうと。そしたらバタバタバタと僕らは新しい社会をつくれてしまっているかもしれないと思います」とコメントしている。

アーティストの発電所で作った電気をみんなで購入

アーティスト電力では、ENECTION2.0を通じ、発電量と需要量を30分ごとにマッチングを行う。これにより、アーティストの発電所で作った再エネ電力を購入できるという。

ブロックチェーンを活用してアーティストが作った電気をみんなで分け合うことになり、契約者専用のマイページで電力使用量におけるマッチング率を確認できる。第1弾として、いとうせいこう氏の太陽光発電所(福島県二本松市)の電力を先着100名限定で購入できる。

福島県にあるいとうせいこう発電所

福島県にあるいとうせいこう発電所

マイページでは、マッチングした電力量を確認できる

マイページでは、マッチングした電力量を確認できる

またこの電力供給においては、いとうせいこう発電所の総発電量の一部が提供され、残りの電力は太陽光、風力などの再エネ・FIT電気などを組み合わせて再エネ100%の電気を供給する。インバランス(電力の需要量・供給量の差分)発生時など再エネ比率が100%にならない場合があるものの、その際も証書によりCO2排出係数ゼロは維持される。

なおFIT電気とは、太陽光、風力などの再エネ電源を用いて発電され、固定価格買取制度によって電気事業者に買い取られた電気を指す。同社の調達費用の一部は、再生可能エネルギー発電促進賦課金によりまかなわれている。

電気を購入することで、コロナ禍のアーティストや音楽関係者を応援

アーティスト電力では、毎月の電気料金の一部をアーティストや音楽関係者に届けることができ、好きなアーティストを簡単かつ継続的に応援可能。1円単位で電気料金の支払先がわかる「超明細」にて、毎月の電気料金のうち、アーティストや音楽関係者にお届けする金額も確認できる。

日本初、アーティストの発電所から再エネ電気が買える「アーティスト電力」をみんな電気が始動

「アーティスト電力」契約者の「超明細」画面

「アーティスト電力」契約者の「超明細」画面

契約者限定ライブの開催

アーティスト電力に申し込んだ方のみを対象に、アーティストによるオンラインライブを開催。アーカイブ視聴もでき、電力をきっかけとしたアーティストとファンの接点を生み出すとしている。

関連記事
アップルが世界中の製造パートナー110社以上が製品製造に利用する電力を100%再生可能エネルギーに変更と発表
電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達
マイクロソフトが2030年までに事業展開地域で利用する以上の水を生態系に戻すことを宣言
グーグルが2030年までにカーボンフリーエネルギーのみを利用する目標を設定
アップルは製品とサプライチェーンを含む事業全体を2030年までにカーボンニュートラルにすると発表
みんな電力がブロックチェーン電力取引とトレーサビリティで特許取得、現在はStellarを採用
Amazon、2030年までに出荷の50%をカーボンニュートラルにすると宣言
野菜のように、顔の見える生産者から電気を買う「みんな電力」が11.8億円調達

カテゴリー:シェアリングエコノミー
タグ:再生可能エネルギー(用語)ブロックチェーン(用語)みんな電力(企業)日本(国・地域)

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする「みんな電力」が15億円を調達

電気の生産者や空気の「顔の見える化」で社会をアップデートする、みんな電力は10月26日、プレシリーズCラウンドにおいて、新株予約権付転換社債発行などで総額15億円の資金調達を実施したと発表した。引受先は、ディップのCVCであるDIP Labor Force Solution 投資事業有限責任組合、丸井グループ、日本政策金融公庫など。今回の資金調達により、現在まで累計調達額は約30億円となる。

調達した資金により、みんな電力は、気候変動など地球規模での問題解決に向けて、脱炭素社会の実現に貢献していく。

具体的には、再生可能エネルギー由来の電気の生産者と購入者をつなぎ、CO2削減アクションのひとつでもある「顔のみえる電力」の普及に努めるとともに、脱炭素化社会の実現を目指す様々な企業と積極的に連携することで、再エネ電気の利用を促進。

また、みんな電力独自のブロックチェーン技術を活用したトレーサビリティシステム「ENECTION2020」の書き込み機能の高速化、低コスト化をより一層進めることで、空気、リチウムイオンバッテリー、土、住居など電力以外の領域へ拡大を図り、「顔の見えるライフスタイル」の実現を目指す。

みんな電力は、大手印刷会社で新規事業を担当していた大石英司氏が、再生可能エネルギー事業会社として2011年に設立。2016年に発電者と生活者をつなぐ電力小売りサービス「顔の見える電力」を始めるなど、「納得感を持って選択する」という体験の提供にこだわり、2020年には清潔な空気環境の選択につながる空気環境改善事業「みんなエアー」を開始。今後もソーシャル・アップデート・カンパニーとして、独自のブロックチェーン技術を基盤とした「顔の見えるライフスタイル」の実現を目指す。

関連記事
みんな電力がブロックチェーン電力取引とトレーサビリティで特許取得、現在はStellarを採用
野菜のように、顔の見える生産者から電気を買う「みんな電力」が11.8億円調達

カテゴリー: シェアリングエコノミー
タグ: みんな電力
再生可能エネルギーブロックチェーン資金調達日本