建物の信頼性を調査するホームインスペクション(住宅診断)アプリ「インスペ」や全国対応のホームインスペクション比較サイト「インスペマート」を展開するNon Brokersが新たに戸建て買取専門のマッチングサイト「インスペ買取」をリリースした。
売主は、インスペ買取上で売物件情報を入力。約3日後、運営から複数の買取会社からの仮査定額をまとめた情報が届く。仮査定額が届くと、Non Brokersは無料でインスペクションを行う。インスペクション後、その結果は買取会社に公開され、売主は正式な入札を待つことになる。額を確認し、売却の意思が固まれば売却交渉する買取会社を決定する。
Non Brokersいわく、仲介業者を介した一般的な不動産売却方法の場合、戸建ての売却期間は買主が見つかるまで半年から1年ほどかかると言われており、売れない場合もある。売れなかった場合、買取会社への「業者買取」となるのが一般的だが、このタイミングでは売主の立場が弱くなり、安く買い叩かれる可能性がある。
そして、仲介業者を介した売却の場合、売主は仲介業者に手数料(物件価格の3%)を支払う必要がある。仲介で売れず、買取業者の紹介を依頼する際にも3%の支払いが必要だ。一方、インスペ買取では、Non Brokersは買取会社より成約手数料として物件価格の1.5%を受け取るが、売主は手数料を支払う必要はない。
日本には840万戸もの空き家が存在する。そのため、Non Brokersは「インスペクションを通じて物件情報を透明化することで、中古戸建ての流通活性化を実現」することを目指す。具体的には、インスペクションにより建物の状態の透明化を推進することで、「戸建て買取には時間がかかる」、「買取は安い」という常識を覆すことを目標としている。そのミッションの実現に向け、フェーズ1となるインスペとインスペマートが土台となり、今回、フェーズ2となるインスペ買取がリリースされた。
Non Brokers代表取締役の東峯一真氏によると、インスペ買取ではインスペクションを行なっている物件を扱っているため、買取業者は「思い切った入札ができる」。
Non Brokersいわく、インスペ買取の次のフェーズでは、区分マンション、一棟収益物件、リバースモーゲージ、リースバックなど、取扱い領域を拡げていく予定であり、買取が難しい物件に関しては民泊や定期借家、駐車場、倉庫などの利活用提案に関わるプラットフォームも構築していく。そして現在、登録済みの買取会社の年間買取予算額は741.9億円となっているが、年間で買取予算額1兆円規模の買取プラットフォームを目指していく。
東峯氏は2020年4月には改正民法が施行される予定であり、これまで以上に売主の責任が拡大される見込みだと説明。売主に対し、今以上に住宅の劣化状況を買主に告知する必要が発生するため、Non Brokersではインスペクションを軸とした事業を展開してきた。