恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」(このタイミングでサービス名の表記がpairsからPairsに変更となった)、カップル専用コミュニケーションアプリ「Couples」を展開するエウレカ。同社は1月23日、Pairsが2016年内にユーザー数500万人、マッチング数3200万組(日本と台湾の合計)を突破したことを明らかにした。累計有料会員数は55万人だが、売上金額は非公表としている。
半年前、赤坂優氏から石橋準也氏へ代表取締役CEOが交代したニュースが記憶に新しいが、当時石橋氏が目標に掲げていた「2016年中のユーザー数500万人突破」は達成した形となる。
また、今回の発表に併せてインフォグラフィックスも公開されている。具体的な数値の推移に関しては、そちらをご覧いただきたい。
Facebookページ上でのグロース施策が成長を牽引
会員数が500万人を突破したことについて、石橋氏は「台湾事業が好調だったことが大きな要因の一つ」と語っている。Pairsの台湾版は2013年10月にリリースされているが、本格的にグローバル展開を推し進めることにしたのは2016年のこと。
同年4月に台湾事業部を立ち上げ、グロース施策に力を入れていった結果、毎月のユーザー数が120%で成長。年内の達成に至ったそうだ。これまで広告出稿をメインに新規ユーザーの獲得を推し進めていた同社だが、具体的にどのようなグロース施策を行ったのだろうか?
「『生年月日をFacebookのコメント欄に投稿すると占いの結果を教えてくれる』といったbotを活用した施策やFacebookのライブ配信を活用した投票の施策を行うことで毎月数万人の新規ユーザーを獲得できた。この台湾で培ったグロース施策を国内にも展開することで、国内のユーザー数も順調に推移していったと思います」(石橋氏)。なお、サービス開始当初にあった診断系のFacebookページに「いいね!」を集めるマーケティングは実施していないという。
ユーザーの「男女比率」が強みに
Pairsはユーザー数だけでなく収益面でも好調だという。先週、App Annieが発表した調査レポート「2016年アプリ市場総括レポート」によると、PairsはiOSとGoogle Playの合計収益で国内6位にランクインしている。マッチングサービスが乱立する中でも収益を伸ばしていった理由の1つについて、ユーザー比率の良さを挙げる。
「一般的なマッチングサービスは男性が8割、女性が2割くらいの比率なのですが、Pairsは男性が6割、女性が4割くらい。すごくバランスがいいんです。売上ばかりを追っていってしまうと、男性ばかりが増えていき、サービスとして衰退していく。ただ、Pairsはオンラインデーティング黎明期からサービスをリリースし、国内ナンバーワンの立ち位置を築けているからこそ女性ユーザーの獲得に注力することができています」(石橋氏)
女性の新規ユーザーを獲得していくことで、男性ユーザーがアクティブに。その結果、Pairsの課金率(累計有料会員数55万人)、マッチング率(マッチング数3200万組)、継続率(平均186日)は業界で最も高い数値になっているとのこと。
ちなみに、2016年アプリ市場総括レポートでPairsの下に「タップル誕生」がランクインしていることについて伺ってみると、「iOSとGoogle Playの収益は、Paris全体からすると一部でしかない」と石橋氏は答えた。
「Pairsは現在、ウェブ版(PC、スマートフォン)、iPhoneアプリ、Androidアプリの4デバイスでサービスを展開しているのですが、最も収益が高いのはウェブ版スマートフォンです。ネイティブアプリのインストール広告はごく一部しか出稿していないので、基本的な集客はWeb版スマートフォンへ流入するようになっています。きちんとWeb版スマートフォンでも使ってもらえるプロダクトになっているのは、他サービスとの差別化要因になっているのかなと」(石橋氏)
2017年内をめどに韓国・香港・シンガポールの3カ国でサービスを展開
国内のみならず、台湾版もトップシェアを争うほどの成長を見せているPairs。今後はオフライン広告にも積極的に投資を行っていく予定だという。
「現在、売上はナンバーワンにも関わらず全然知られていない。そんな状態になっているので、台湾国内での認知拡大を狙っていきたいですね。台湾のオフライン広告は費用対効果が高く、新規ユーザーの獲得、ブランドリフト効果もあるみたいなので積極的に投資していこうと思います」(石橋氏)
台湾での成功を皮切りに、今後Pairsのグローバル展開を本格化。2017年内(第3四半期めど)に韓国、香港、シンガポールでのサービス展開も予定しているという。具体的にはIAC/Matchグループのノウハウを強みに積極的な事業展開を行っていき、2018年にはアジア5カ国における会員数合計1000万人の獲得、フラッグシップのサービスになることを目指していくそうだ。
2016年12月に同じくIAC/Matchグループのマッチングサービス「Tinder」のカントリーマネージャー・日本支社長が就任しているが。競合になるのかというTechCrunchの質問に対しては、「Pairsはシリアスデーティング、Tinderはカジュアルデーティングと棲み分けができているので、直接的な競合に当たらない」と考えているとのこと。
国内に関しては、オンラインデーティング市場をニッチからマスに変えるべく、オンライン・オフライン双方の広告を通して、出会い系サイトとの違いの明確化、Pairsのブランドイメージの変化を狙っていくとしている。