思い立ったらすぐに活動開始、AIチャットボット「Pairsナビゲーター」が強力支援

恋愛・婚活マッチングサービスに興味はあっても、登録するのが面倒、どんな写真を投稿していいかわからないといったユーザーは多いはず。「Pairs」を運営するエウレカは3月13日、カラクリが提供するカスタマーサポート特化型AIチャットボット「KARAKURI」を「Pairsナビゲーター」として一部導入した。

エウレカによると、Pairsでは2018年2月にカスタマーケアを完全インハウス化。社内常駐のオペレーターが24時間365日、テキストや画像の投稿監視に加え、1日あたり約500件の機能や決済方法に関する問い合わせに対応しているとのこと。AIチャットボット「Pairsナビゲーター」の導入によって、1人あたりの課題解決時間を平均約30秒にすることを狙う。

Pairsナビゲーターのベースになっている「KARAKURI」は、東京大学大学院人工知能研究チームが開発した独自の深層学習アルゴリズムを活用することで、少ない教師データでAIの精度を向上させることを可能としたサービス。導入から運用までのプログラミングスキルが不要で、AIトレーニングを効率的に行えるのが特徴だ。

Pairsの累計会員数は2019年1月時点で1000万人超、年間約1.5倍ペースで成長を続けているという。同社としては、新規登録会員数の増加に伴う、機能などに関する問い合わせニーズに応えたいとしている。今後は、プロフィール作成やデート支援などの機能も追加していくそうだ。

マッチングサービス「Pairs」が会員数500万人突破 —— 今後はアジア5カ国でサービス展開

恋愛・婚活マッチングサービス「Pairs」(このタイミングでサービス名の表記がpairsからPairsに変更となった)、カップル専用コミュニケーションアプリ「Couples」を展開するエウレカ。同社は1月23日、Pairsが2016年内にユーザー数500万人、マッチング数3200万組(日本と台湾の合計)を突破したことを明らかにした。累計有料会員数は55万人だが、売上金額は非公表としている。

半年前、赤坂優氏から石橋準也氏へ代表取締役CEOが交代したニュースが記憶に新しいが、当時石橋氏が目標に掲げていた「2016年中のユーザー数500万人突破」は達成した形となる。

また、今回の発表に併せてインフォグラフィックスも公開されている。具体的な数値の推移に関しては、そちらをご覧いただきたい。

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Facebookページ上でのグロース施策が成長を牽引

会員数が500万人を突破したことについて、石橋氏は「台湾事業が好調だったことが大きな要因の一つ」と語っている。Pairsの台湾版は2013年10月にリリースされているが、本格的にグローバル展開を推し進めることにしたのは2016年のこと。

エウレカ代表取締役CEOの石橋準也氏

エウレカ代表取締役CEOの石橋準也氏

同年4月に台湾事業部を立ち上げ、グロース施策に力を入れていった結果、毎月のユーザー数が120%で成長。年内の達成に至ったそうだ。これまで広告出稿をメインに新規ユーザーの獲得を推し進めていた同社だが、具体的にどのようなグロース施策を行ったのだろうか?

「『生年月日をFacebookのコメント欄に投稿すると占いの結果を教えてくれる』といったbotを活用した施策やFacebookのライブ配信を活用した投票の施策を行うことで毎月数万人の新規ユーザーを獲得できた。この台湾で培ったグロース施策を国内にも展開することで、国内のユーザー数も順調に推移していったと思います」(石橋氏)。なお、サービス開始当初にあった診断系のFacebookページに「いいね!」を集めるマーケティングは実施していないという。

ユーザーの「男女比率」が強みに

Pairsはユーザー数だけでなく収益面でも好調だという。先週、App Annieが発表した調査レポート「2016年アプリ市場総括レポート」によると、PairsはiOSとGoogle Playの合計収益で国内6位にランクインしている。マッチングサービスが乱立する中でも収益を伸ばしていった理由の1つについて、ユーザー比率の良さを挙げる。

「一般的なマッチングサービスは男性が8割、女性が2割くらいの比率なのですが、Pairsは男性が6割、女性が4割くらい。すごくバランスがいいんです。売上ばかりを追っていってしまうと、男性ばかりが増えていき、サービスとして衰退していく。ただ、Pairsはオンラインデーティング黎明期からサービスをリリースし、国内ナンバーワンの立ち位置を築けているからこそ女性ユーザーの獲得に注力することができています」(石橋氏)

女性の新規ユーザーを獲得していくことで、男性ユーザーがアクティブに。その結果、Pairsの課金率(累計有料会員数55万人)、マッチング率(マッチング数3200万組)、継続率(平均186日)は業界で最も高い数値になっているとのこと。

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ちなみに、2016年アプリ市場総括レポートでPairsの下に「タップル誕生」がランクインしていることについて伺ってみると、「iOSとGoogle Playの収益は、Paris全体からすると一部でしかない」と石橋氏は答えた。

「Pairsは現在、ウェブ版(PC、スマートフォン)、iPhoneアプリ、Androidアプリの4デバイスでサービスを展開しているのですが、最も収益が高いのはウェブ版スマートフォンです。ネイティブアプリのインストール広告はごく一部しか出稿していないので、基本的な集客はWeb版スマートフォンへ流入するようになっています。きちんとWeb版スマートフォンでも使ってもらえるプロダクトになっているのは、他サービスとの差別化要因になっているのかなと」(石橋氏)

2017年内をめどに韓国・香港・シンガポールの3カ国でサービスを展開

国内のみならず、台湾版もトップシェアを争うほどの成長を見せているPairs。今後はオフライン広告にも積極的に投資を行っていく予定だという。

「現在、売上はナンバーワンにも関わらず全然知られていない。そんな状態になっているので、台湾国内での認知拡大を狙っていきたいですね。台湾のオフライン広告は費用対効果が高く、新規ユーザーの獲得、ブランドリフト効果もあるみたいなので積極的に投資していこうと思います」(石橋氏)

台湾での成功を皮切りに、今後Pairsのグローバル展開を本格化。2017年内(第3四半期めど)に韓国、香港、シンガポールでのサービス展開も予定しているという。具体的にはIAC/Matchグループのノウハウを強みに積極的な事業展開を行っていき、2018年にはアジア5カ国における会員数合計1000万人の獲得、フラッグシップのサービスになることを目指していくそうだ。

2016年12月に同じくIAC/Matchグループのマッチングサービス「Tinder」のカントリーマネージャー・日本支社長が就任しているが。競合になるのかというTechCrunchの質問に対しては、「Pairsはシリアスデーティング、Tinderはカジュアルデーティングと棲み分けができているので、直接的な競合に当たらない」と考えているとのこと。

国内に関しては、オンラインデーティング市場をニッチからマスに変えるべく、オンライン・オフライン双方の広告を通して、出会い系サイトとの違いの明確化、Pairsのブランドイメージの変化を狙っていくとしている。

エウレカがパパママ社員に優しい新人事制度、英会話全額負担や「pairs婚」手当ても

恋愛マッチングアプリ「pairs」を運営するエウレカが15日、福利厚生プログラム「baniera(バニエラ)」を導入した。これまでも一般的な福利厚生制度はあったが、結婚や出産、育児に関する支援を中心に充実させた。主な内容は以下の通りだ。

バニエラとは、古代ギリシャ語で「お風呂」の意味。アルキメデスが浮力の原理を見つけた場所で、そのとき「エウレカ!(わかったぞ!)」と叫んだと言われている。「エウレカでのひらめき・成長を支える場所」という意を込めて、バニエラと名付けたのだという

バニエラとは、古代ギリシャ語で「お風呂」の意味。アルキメデスが浮力の原理を見つけた場所で、そのとき「エウレカ!(わかったぞ!)」と叫んだと言われている。「エウレカでのひらめき・成長を支える場所」という意を込めて、バニエラと名付けたのだという

・オンライン英会話学習の全額負担
米国とのやり取りがある社員、月間受講日数が15日以上の社員にはレッスン受講料を全額負担する。

・海外カンファレンス参加費用負担
WWDC/Google IO/F8の参加者に飛行機代、ホテル代、カンファレンスチケット代を全額負担する。

・結婚祝い
5万円+上限20万円までの家電をプレゼント。乾燥機付き洗濯機やお掃除ロボットなどで、家事の負担を減らしたいという思いがあるという。

・Happy pairs婚
自社アプリ「pairs」を通じて結婚したメンバーには、結婚祝いに加えて5万円分のギフト券をプレゼントする。

・出産お祝い金
10万円を支給。男性社員には、出産時に家族に寄り添えるように3日間の「出産応援休暇」を付与する。

・育休中1on1/育休中でも会議出席
産休・育休中も月例の上長面談を継続。育休中でも全社会や重要会議に参加できる。どちらも復職を支援することが狙いで、Skypeでの参加も可能。

・banier for ペット
ペットを病院に連れて行く際、年3回の半休を取得可能。ペットが死亡した場合には2日間の休暇を付与する。

エウレカのオフィスでは創業当初から、副社長の西川順さんの愛犬が会社の成長を見守っているそうだ。

エウレカにはCDO(Chief Dog Officer)の「ジョブ」がいる。共同創業者・西川順さんの愛犬で、創業当初から会社の成長を見守っているそうだ。

メガベンチャーの福利厚生のいいとこ取り

エウレカは2008年11月に設立。日本と台湾で400万人が利用するpairs、350万ダウンロード超のカップル向けコミュニケーションアプリ「Couples」を運営する。2015年11月には、MatchやTinderなどのマッチングサービスを世界展開する米IACグループの傘下となった。

新人事制度は従業員が100人に達したことをきっかけに、安心して働ける仕組みを整えた。家族向け制度の内容を考案したのは、まもなく社内で育休取得第1号となる人事総務部の進真穂さん。「メガベンチャーの福利厚生のいいとこ取りをして、私が欲しいものを作りました」と語る。

「エウレカは平均年齢が28歳。出産や育児中の社員は少ないですが、30代で子供を持つ社員も増えましたし、これから必要な人も出てきます。充実した福利厚生があれば、社員が安心して働けるだけでなく、会社としてもアクセルを踏んで事業拡大しやすくなると思います」

バニエラではこのほか、有料セミナー参加費負担や自己負担200円の育児シッター制度、待機児童対策の引越し金援助などがあり、今後も社員の要望に応じて随時充実させる。現在は従業員の健康のために、営業時間中に社内でヨガを実施することを検討している。

スタートアップの福利厚生としては、フリマアプリのメルカリが産休・育休の8カ月間も給与100%を保障する「merci box」が話題になった。大企業に引けをとらないスタートアップの福利厚生は、これからも増えていきそうだ。

急成長カップルアプリ「Couples」がテレビCMを開始–今春めどにメディア化進める

エウレカが手がけるカップル向けアプリの「Couples」が好調だ。2014年5月にリリースし、8カ月後となる2015年1月末には150万ダウンロードを達成した。

Couplesはカップルに限定してメッセージを送信したり、写真や予定を共有できるいわば「2人専用SNS」といったアプリ。サービスで先行する韓国VCNCの「Between」は2014年5月時点で100万ダウンロード(国内のみ。世界では韓国を中心に900万ダウンロード超)、TIMERSの「Pairy」は2014年5月時点で数十万ダウンロードを達成している。エウレカが公開したグラフでは社名こそ出ていないものの、両者を超えるスピードで成長しているという。150万ダウンロードを達成するのと合わせる形で、2月9日よりテレビCMも開始した。(追記2月9日9時15分:VCNCによると、Betweenの国内ダウンロード数は1月末時点で170万件となっているとのこと)

Couplesは急増するダウンロード数もさることながら、WAU(週間アクティブユーザー)40万人、MAU(月間アクティブユーザー)50万人と高いアクティブ率が特徴だという。これまで8カ月で、約7億件のメッセージがやりとりされ、約3500万枚の写真がアップロードされている。月間のページビュー(PV)は4億PVに上る。ユーザーの年齢層は18歳未満が30%、19〜22歳が29%、23〜29歳が26%、30歳以上が15%となっている。Couplesのサイト上には、実際にサービスで出会ったというカップルが顔と実名を出して登場している。

TwitterでのプロモーションとASOでユーザー拡大

これまでのプロモーションはTwitterが中心。属性を見ても分かるとおりターゲットとなっているのは高校生や大学生が中心。彼らの世代にリーチする読者モデルやタレントなどとタイアップを行ってアプリを使ってもらい、その様子をプロモツイートなどを使って積極的に露出させてきた。

「正直うざいくらい広告が出ていたかも知れないが、その結果ポジティブな反応もネガティブな反応も来る。両方が集まれば集まるほどに、その世代のバズワードとして成長していく」(エウレカ 共同創業者 代表取締役CEOの赤坂優氏)——とらえようによっては少し強引に聞こえるかも知れない発言だが、その背景にはカップルアプリの認知度の低さがある。

エウレカ 共同創業者 代表取締役CEOの赤坂優氏

実はエウレカではサービス開始前に大規模なリサーチを実施したのだが、若者の情報発信の中心地である東京・渋谷でもその認知度は10%ほど。まずはカップル向けアプリというカテゴリ自体の認知、それと同時に「カップル向けアプリと言えばCouples」となるよう考えたという。そういえば昨年紹介した動画共有サービス「MixChannel」でも同じような話があった。

また同時に、ASO(アプリストア最適化)にも力を入れた。「グロースハックなんて当たり前のこと。ランキングが上がれば1日1000件単位でダウンロード数は変わってくる。登録ページの1タップごとの突破率をはじめ、細かい数字を1つずつ見ていった結果」(赤坂氏)。また、メッセージに使用できるスタンプについては学生に積極的なヒアリングを実施。さらにはLINEの自作スタンプマーケット「LINE Creators Market」の上位に入るクリエイターなどにもアプローチして、その種類を拡大しているという。僕はASOの話などからスマホゲームの運営を思い浮かべたのだが、事実ゲーム出身の開発陣も多いそうだ。

今春からはメディア化を進める

マネタイズは現在、スタンプによる課金のみだが、今後はユーザー課金を実施するほか、Couplesをメディア化し、そこでの広告収入を狙っていくという。

前述の通り写真のアップロード数は3500万枚以上。この写真のストレージや、メッセージのバックアップなどを含むプレミアムユーザーに対しての課金機能を検討するほか、3月末にもCouples内でデートやカップルに特化したメディアを展開するという。すでにライター陣を集めているそうで、今後はネイティブ広告やタイアップ、チャンネル販売(SmartNewsで言うところの「タブ」を売っていく)なども検討。年内に億単位の売上を目指す。

原動力はマッチングサービス「Pairs」

テレビCMやCouplesのメディア化など、様々な展開を予定するエウレカ。その原動力ともなっているのが、同社のマッチングサービス「Pairs」だ。Facebook認証による安全な出会いをうたうこのマッチングサービスは会員数180万人を突破。金額は非公開ということだったが、複数関係者にも聞いたところ、すでに月間で数億円の売上はあるようだ。

そう考えると、先行する2つのカップル向けアプリとまた違った資金力での勝負を展開できることになる(CrunchBaseによるとVCNCの調達額はこれまで770万ドル(DeNAからの調達分を除く)。TIMERSの調達額は1億円)。赤坂氏も「今の状況でテレビCMまでできることを考えれば、結論として資本が武器になっていると言える」と語る。