テルアビブ拠点のHailoがエッジデバイス用新AIモジュールでインテルやグーグルに挑戦

高性能なAIチップで知られているテルアビブのHailoは米国時間9月30日、AI処理を高度に加速させるM.2とMini PCIeのモジュールをローンチした。同社のHailo-8チップをベースとするこれらのモジュールは、スマートシティやスマートホーム、産業用アプリケーションなどでエッジデバイス用への利用が想定されている。

同社は本日の発表のほぼ半年前に、シリーズBで6000万ドル(約63億3500万円)を調達した。当時Hailoは「新たな資金は新しいAIチップの開発に投下する」とコメントしており、本日の発表はその約束の実現でもある。トータルで同社の調達額は8800万ドル(約93億円)になる。

HailoのCEOを務めるOrr Danon(オール・ダノン)氏は本日の発表で「あらゆる産業のメーカー企業が、エッジデバイスにAIを統合することの重要性を理解しています。すなわち、AIを欠いたソリューションにはもはや競争力がありません。新製品のHailo-8搭載のM.2とMini PCIeモジュールは世界中の企業に、強力で費用効率の高い革新的なAIベースの製品を短期間で市場に投入する力を与えます。しかもそれらの製品は、システムの熱制約内に収まります。Hailoのモジュールの高い効率と高性能は、エッジ市場の真のゲームチェンジャーなのです」とコメントしている。

開発者は従来同様、TensorFlowやONNXなどのフレームワークを使ってモデルを作れる。その後の工程は、HailoのDataflowコンパイラーが担当する。Hailoのチップが独特なのはそのアーキテクチャで、その上で動くニューラルネットワークのニーズに自動的に適応できる。

Hailoは、Intel(インテル)やGoogle(グーグル)、NVIDIA(エヌビディア)のような大物と比べられることを恐れない。同社のエッジモジュールは、毎秒26テラフロップスの演算能力と、3テラフロップス/ワット(TOPS/W)という電力効率を達成しており、インテルのMyriad-XやグーグルのEdge TPUよりもずっと多いフレーム数を毎秒分析できるという。しかも、すべてにおいてエネルギー効率が高いのも特徴だ。

同社はすでに台湾のFoxconn(フォクスコン)と提携しており、M.2モジュールをそのエッジコンピューティングプラットホーム「BOXiedge」に統合している。標準規格のM.2モジュールなので、フォクスコンはいかなる手直しもなく統合できた。Hailo-8 M.2のソリューションを使ったエッジコンピューティングのサーバーは、同時に20台のカメラのストリームを処理できる。

Foxconn Technology Groupの半導体小グループ担当副社長であるGene Liu(ジーン・リウ)博士は、「HailoのM.2およびMini PCIeモジュールと、性能の高いAIチップであるHailo-8を組み合わせることで、多くの産業が急速に進化している先進的な技術を極めて短期間で採用できます。結果、新世代の高性能低電力と、よりスマートなAIベースのソリューションを導入できるようになります」とコメントした。

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画像クレジット: Hailo

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(翻訳:iwatani、a.k.a. hiwa

Linuxエッジデバイスへの無線アップデート提供を狙うDeviceplane

Y Combinator Winter 2020クラスのメンバーであるDeviceplane(デバイスプレーン)は、エッジで運用されているLinuxデバイスの管理、監視、および更新を行うためのオープンソースツールセットを開発している。

「私たちは、ネットワークの接続性、SSHアクセス、リモートアップデートの調整と展開、ホスティング、アプリケーションの監視とアクセス、セキュリティ制御など、すべての企業が直面している難しいインフラストラクチャの問題を解決します。これは完全なオープンソースで、Apacheライセンスの下で利用可能です。自分でホストすることも、ホストされたバージョンを実行することも可能です」と、同社の創業者でCEOのJosh Curl(ジョシュ・カール)氏はTechCrunchに語った。

彼はこのシステムがロボット、家電、ドローン、自動運転車、さらには医療機器などの、さまざまなハードウェア上で動作することを期待している。

ソフトウェアエンジニアリングのバックグラウンドを持つカール氏は、興味を持ったあと、ほとんどの企業が自社開発のソリューションを採用していることに気がついた。そして彼は、この問題を調査した後、こうしたデバイスを管理、監視、そしてアップデートするために必要なインフラストラクチャ資源のセットは、業界を問わずそれほど変わらないことを発見したと述べた。

無線(Over-the-Air、OTA)アップデートは、エッジデバイスの主たる懸念事項であるデバイスを安全に保つことに対して、大きな部分を占める。「セキュリティは挑戦的であり、そのセキュリティの中核の1つは、ただアップデートできる能力があるか否かにかかっています。なので、動いているものに不具合を起こすことを恐れて企業としてアップデートをためらったり、アップデートを行うための正しいインフラストラクチャを持っていなかったりする場合には、ますますアップデートに対して慎重になってしまい、結果として開発スピードが遅くなってしまいます」とカール氏は語る。

顧客はDeviceplaneのAPIへ、Wi-Fi、携帯電話回線またはEthernet経由で接続することができる。他者がそれを悪用するのではという懸念に対しては、カール氏は彼らのソフトウェアが各デバイスになりすましが難しいユニークなIDを割り当てていると答えた。

「デバイスにはDeviceplaneからIDが割り当てられ、このIDがDeviceplaneのAPI呼び出しを行うことを許可します。このIDへのアクセスキーはデバイスにのみ保存されているため、このデバイスに物理的にアクセスしない限り、デバイスのなりすましを行うことはできません。

「仮に誰かがこのIDになりすますことができたとしても、彼らは悪意あるコードを対象デバイス上に展開することはできません。デバイスは、自身で実行しているソフトウェアを制御するためのアクセス権を決して持つことはありません。これは、開発者がデバイスへのアップデートをプッシュすることによってのみ行うことができるのです」とカール氏は説明した。

同社は、ホストされたバージョンとインストールされたバージョンのソフトウェアの両方をオープンソースとして提供する予定であり、彼はそれが重要だと考えている。彼は、より複雑なインストールを行う企業を支援することで収益を上げることを望んでいるが、ソフトウェアをオープンソースとして提供することで、開発者の関心を高め、プロジェクトを中心としたコミュニティの構築に役立つと考えている。

YCへの参加については、カール氏は過去にプログラムを経験した友人がいて、彼にも参加を勧めたのだと言う。カール氏は、そのコミュニティに参加することを、彼のビジネスを構築する手段の1つだと考えている。「YCネットワークに入ること、そして将来的にはそのネットワークを活用できることに興奮しています。YCは、これまでにDeviceplaneの顧客になることができる多くの企業に投資してきました、そのことは私たちの前進を加速してくれることでしょう」

カール氏はその時点での総ダウンロード数を把握していなかったが、まだ会社を設立しようとしている初期段階のスタートアップだ。同社は厄介な問題の解決を支援しながら、関心を引くためにオープンソースモデルを使用している。

トップ画像クレジット: Busakorn Pongparnit / Getty Images

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(翻訳:sako)