コロンビアのクラウドキッチンFoodologyが約17億円調達、中南米全体へサービス拡大

FoodologyのCEOで共同創業者のダニエラ・イスキエルド氏と共同創業者フアン・ギレルモ・アズエロ(画像クレジット:Foodology)

Foodologyはクラウドキッチンとバーチャルレストランをベースとするレストランブランドで、2019年以降、コロンビアとメキシコで急伸している。今回新たな資金を得たことにより、ラテンアメリカ全体に拡大することを希望している。

ボゴタを拠点とする同社はこのほど、Andreessen HorowitzとBase PartnersがリードするシリーズAのラウンドで1500万ドル(約17億円)を調達した。これまでの投資家であるKayyak VenturesとJaguar Ventures(今はWollef)も参加し、またInstacartの社長Nilam Ganenthiran(ニラム・ガネンティラン)氏やKavakのCEOであるCarlos Garcia(カルロス・ガルシア)氏、UaláのCEOであるPierpaolo Barbieri(ピエルパオロ・バルビエリ)氏、Burger Kingの元会長Dick Boyce(ディック・ボイス)氏、そしてMeramaのCEOであるSujay Tyle(スジェイ・タイル)氏らのエンジェルたちも投資に加わった。これでFoodologyの調達総額は2000万ドル(約22億7000万円)を超えた。

同社を創業したCEOのDaniela Izquierdo(ダニエラ・イスキエルド)氏とJuan Guillermo Azuero(フアン・ギレルモ・アズエロ)氏は、ハーバード・ビジネス・スクールのレストラン産業コースで出会った。イスキエルド氏は、元々料理が大好きだったので、それをビジネスにしたいと願った。

「リスクの多い業界で、破産や閉店が頻繁に起こります。小さな店でさえ、開店までに相当の資本が必要です。私たちはテクノロジーとデータの力をもっと効率的に利用して、来たるべきバーチャルの世界に備えたいと考えています。バーチャルレストランを、フードデリバリーが支える。これまでは、デリバリーの顧客に奉仕するために、レストランはまったく何も変化しませんでした」という。

さらにアズエロ氏は「フードデリバリーは顧客にとってまあまあの体験であり、すばらしい食体験ではありませんでした」という。食べ物のパッケージングも、あまり良いものではない。Foodologyは、それを変えようとしている。彼らが作ったモデルであれば、レストランのラテンアメリカ全域への規模拡大が短期間ででき、また顧客が喜ぶ食事を配達できる。

そのためにまずFoodologyは、ユーザーの好みに関するデータを収集する。そしてそれを近隣の食べ物の既存の選択肢と対照し、オリジナルの料理を作り、そしてデリバリーに載せる。

イスキエルド氏によると、同社のクラウドキッチンを通常は7つから10のレストランが利用し、各自がよく売れる料理を研究開発し、シェフたちのチームとともにメニューを創造する。

Foodologyのキッチンは現在、コロンビアの6都市に計20、メキシコに10あり、企業従業員は60名、キッチンの労働者は300名を超えている。コロンビアでは、毎月のオーダーが10万件で、総オーダー数は100万のマイルストーンを超えたばかりだ。イスキエルド氏の計画ではさらに6つのキッチンを開き、また今回の資金で2022年にブラジルとペルーにも進出したい。

ラテンアメリカのフードサービス業界は2020年の推計値で2640億ドル(約29兆9820億円)という規模だ。その成長に乗り遅れないためにはキッチンの数を増やすとともに、製品開発にも投資して売上を月額で50%上げたい。そのためにはメキシコでその数を増やすこと、そして新市場の開拓が重要だ。アズエロ氏によると、目標は500のキッチンをサポートすることだ。

「現在、は多くの人にバーチャルレストラン求められているが、この地域では大きなモデルがまだほとんどありません。ラテンアメリカでは私たちが、圧倒的に最大のプレイヤーなのです」とイスキエルド氏はいう。

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)

ブロードバンドを欠く中南米で遠隔医療を実現するコロンビアの「1Doc3」が約3.3億円調達

パンデミックの影響で米国ではビデオ診察による遠隔医療がほぼ当たり前になっているが、ブロードバンドが普及していないラテンアメリカでは、1Doc3がテキストとチャットを使って医療サービスを提供している。現地時間4月16日、コロンビアを拠点とする同社は、MatterScale VenturesとKayyak Venturesが主導する300万ドル(約3億3000万円)のプレシリーズAラウンドを発表した。

1Doc3の共同創業者兼CEOであるJavier Cardona(ハビエル・カルドナ)氏はこう語る。「私はこのインタビューのためにいいMacBookを使っていますが、中南米のほとんどの人はこうはいきません」。1Doc3という社名は、スペイン語の1、2、3の発音をもじったものだ。

体調が悪いときにかかりつけ医と連絡を取るのは、今日ますます難しくなっている。1Doc3はAIを搭載した遠隔医療プラットフォームを提供し、患者を医師に取り次ぐ前に症状評価、トリアージ、事前診断を行うことで、ラテンアメリカにおけるこの問題の解決を目指している。

「当社が受ける相談の97%は、数分で医師につながります」とカルドナ氏。

患者は医師の診察を受けた後、1Doc3を通じて自宅に処方箋を届けてもらうこともできる。同スタートアップは、この分野の他の企業と同様に、患者が家から出ることなく迅速に治療を受けられるよう、ループを閉じようとしている。

コロンビアに加えてすでにメキシコでも事業を展開している同社は、今回の資金調達の一部を同地域でのさらなる事業拡大と、これまでなかったマーケティング・営業チームの構築に充てる予定だ。

1Doc3はコンシューマーに直接リーチする他、企業とのパートナーシップを構築し、それらの企業が従業員の医療費を同社を通じて支払うことで顧客を獲得している。カルドナ氏の目標の1つは、単価を下げて、中小企業でも1Doc3を利用できるようにすることだ。現在は企業の場合、従業員1人あたり月額3〜4ドル(約330〜440円)を請求している。

「大企業にとってお金は問題ではありませんが、この地域は中小企業により成り立っています」とカルドナ氏。

2013年に設立され、2018年にはTechCrunchの「Latin American Battlefield」でファイナリストに選ばれた同社は、2020年に急成長を遂げ、2020年2月から12月までの間に月に2500件だった相談件数が3万5000件に増え、2020年はキャッシュフローが黒字になった。2021年3月には、MRR(月間経常収益)が12万ドル(約1300万円)になっている。

多くのスタートアップ企業がそうであるように、1Doc3を設立したきっかけは、創業者が直面した個人的な経験だった。

「タンザニアに滞在していたときに治療が必要になったのですが、タンザニアの医師に行く気はありませんでしたし、米国も含めオンラインで医師と連絡を取ることができず、それからこの問題を解決することにとらわれていました」と、当時、中東・アフリカで活動していたカルドナ氏は語った。

今回のラウンドにより、1Doc3の調達額は合計500万ドル(約5億4000万円)に達した。このラウンドに参加した他の投資家には、Swanhill Capital、Simma Capital、そして既存投資家であるThe Venture City、EWA capital(旧Mountain Nazca Colombia)、Startup Healthが含まれる。

カテゴリー:ヘルステック
タグ:1Doc3コロンビア遠隔医療資金調達ラテンアメリカ

画像クレジット:Luis Alvarez / Getty Images

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(文:Marcella McCarthy、翻訳:Aya Nakazato)

ソーシャルコマースによる副収入を支援するElenasが6.5億円調達、ラテンアメリカ全域に拡大計画

コロンビアのスタートアップElenasによれば、同社はオンラインで商品を販売できるようにすることで、何万人もの女性が収入を得るのを支援しているという。同社は米国時間3月4日、シリーズAの資金調達で600万ドル(約6億5000万円)を調達したと発表した。

これは同社が2020年秋に発表した、200万ドル(約2億2000万円)のシードラウンドに加えての資金調達だ。創業者兼CEOのZach Oschin(ザック・オズチン)氏は、パンデミックで消費者が対面ショッピングに対して神経質になる状態が続く中、(特に女性の間で)高い失業率に後押しされ、需要は伸び続けていると述べている。

「当社はこれまで数万人の女性に、副収入を得る機会を提供してきました」とオズチン氏は語る。

同氏は、Elenasは基本的に、ラテンアメリカ全域で1100万人の女性が関与している直販・カタログ販売モデルを改革したものだという。独立した売り手 / 起業家(必ずしもそうではないが、多くの場合、女性)は、250以上の代理店やブランドから、美容、パーソナルケア、電子機器のようなカテゴリの製品のカタログを、割引された卸売価格で閲覧できるようになっている。そして何を売りたいか、利益を含めた価格をいくらにするか決めて、WhatsAppやFacebookなどのソーシャルチャンネルで製品を宣伝する仕組みだ。

デジタルに重点を置いていることに加え、リスクが少ないため、Elenasのモデルはリセラーにとってより優れているとオズチン氏は語る。「これは従来の直販とは大きく異なり、起業家が在庫を抱えないモデルです。また、支払いの回収や配送などは、Elenasとその代理店パートナーがすべて処理するため、起業家は関与する必要がありません」。

「当社の目標は、女性が店舗を運営するために必要なものをすべて提供するバックエンドのオペレーティングシステムを提供することです」と同氏は付け加えた。

Elenasはリセラーのために自動化されたオンボーディングプロセスを提供しているが、その後アプリ内でも「どうしたら売れるか、販売方法のトレーニングを多く行っています」とオズチン氏は語った。

ElenasのCEOザック・オズチン氏(画像クレジット:Elenas)

(2018年にTechCrunchのラテンアメリカStartup Battlefieldに参加した)同社はこれまでに、リセラーに対し700万ドル(約7億6000万円)以上を支払っているという。性別で参加を制限しているわけではないが、オズチン氏の推定によれば、リセラーの95%以上が女性で、そのうち80%が30歳以下、そして約3分の1はこれ以前に直販の経験がないという。

今回の新たな資金調達はLeo Capital,、FJ Labs、Alpha4 Ventures、そしてMeeshoからの出資による。オズチン氏によると、同社の投資家は6つの大陸にまたがっており、国際的なビジョンを反映しているという。実際、同社の次なるステップの1つは、メキシコそしてペルーを皮切りにラテンアメリカ各国に拡大することだ。

Leo Capitalの共同設立者であるShwetank Verma(シュウェタンク・ヴェルマ)氏は声明の中で次のように述べた。「インドと中国でのソーシャルコマースの急成長を見てきて、今回この地域に適した製品と運営モデルを体現してきたElenasとパートナーを組むことに興奮しています。Elenasのチームは包括的でインパクトのあるソリューションを構築しており、これから飛躍的な成長を見込める立場にあります」。

カテゴリー:ネットサービス
タグ:Elenasラテンアメリカeコマース資金調達副業コロンビア

画像クレジット:Elenas

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(文:Anthony Ha、翻訳:Aya Nakazato)

モビリティスタートアップTrafiがコロンビアのボゴタを皮切りにラテンアメリカにサービス展開

Trafiはユーザーが都市内で移動する際に各種の交通手段を確保して予約や支払ができるプラットフォームを作っている。同社はヨーロッパ市場を超えて世界で最も混雑した都市の1つにサービスを拡大しようとしている。

Trafiはリトアニアに本拠を置くスタートアップだが、コロンビアのボゴタ市とMaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)提供することで合意したことを発表した 。

Trafiのプラットフォームはいわゆるホワイトラベルで、世界各地の都市やサービス提供者が利用できる。同社はすでにヨーロッパの7つの都市で事業を展開しており、チューリッヒのYuomov、ベルリンのJelbi、ミュンヘンのMVGなどがこのテクノロジーを利用している。システムは交通データを収集し、ユーザーはリアルタイムで移動ルートを計画できるというもので、同時に支払も処理できる点がライバルに対するセールスポイントとなっている。

Trafiは市当局と契約するだけではない。同社の技術はGoogle、Lyft、Gojekにも提供されている。

ボゴタでは、このプラットフォームがバスや路面電車だけでなく、地元のタクシーや電気自転車を含むあらゆる公共交通機関を統合する。ユーザーはTrafiの支払システムだけですべての交通手段の予約、支払いを行うことができる。Trafアプリにはユーザーの所在地でのリアルタイムの運行情報、その場所で利用可能なすべてのモビリティオプションが表示される。ニアバイ機能を利用してバス、タクシー、電動自転車など最大3つの異なる移動手段の比較、組み合わせを表示する「インターモーダル経路提案」も含まれている。

画像クレジット:Trafi

ボゴタは世界へのサービス拡大の手はじめだという。Trafiの共同ファウンダーCEOであるMartynas Gudonavičius(マルティナス・グドナヴィチウス)はTechCrunchの取材に対して、同社は他の中南米都市へもプラットフォームを拡大していく計画だと語った。はまずブラジルのサンパウロなど大都市や首都をターゲットにする。グドナヴィチウス氏は、Trafiはこの地域の中小都市との契約も視野も入れている。スクーター、自転車、バス、配車サービスなどの移動手段に加えてデジタルチケットなどサービスも展開されている都市はTrafiのサービス提供に適しているという。グドナヴィチウス氏はこう述べた。

ラテンアメリカは、サービスとしてのモビリティが本当に効果を発揮できるすばらしい例です。これが我々がボゴタに進出した理由です。ダイナミックで、急成長している都市は現在の交通網をサービスとしてのモビリティにアップグレードするのに適しており、我々はその移行を支援します。

Trafiは、この地域における事業の責任者を採用中だ。2021年はすべての部門で多数の社員を採用する予定だという。また、2021年後半にはアジアへの拡大も視野に入れている。グドナヴィチウス氏は具体的に明かすことは避けたが、すでに参入を計画している都市は絞り込んでいると語った。Trafiは特に、ある日本の都市への進出を計画しているという。

カテゴリー:モビリティ
タグ:Trafiコロンビア

画像クレジット:John Coletti / Getty Images

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(文:Kirsten Korosec、翻訳:滑川海彦@Facebook

中南米の零細企業向け財務アプリのTreintaが約5200万円を調達

Y Combinator(Yコンビネーター)2021年冬期生Treinta(トレインタ)は、同社のラテンアメリカ小企業向け帳簿・在庫管理ソフトウェアのために50万ドル(約5200万円)以上の資金を調達したことを米国時間2月11日に発表した。

発表された調達資金は友人・家族の小さなラウンドにY Combinatorからの出資、および2021年初めに調達した22万ドル(約2300万円)からなる。

コロンビア、ボゴタ市拠点の同社は、現在13人のチームからなり、零細企業、特に個人経営の小さな商店にデジタル変革をもたらそうとしている。

デジタル変革の推進は、伝統的なワークフローやプロセスをソフトウェアベースのシステムに転換することであり、大企業だけのためのものではない。大企業のデジタル変革への取り組みの話はよく耳にするが、Treintaは零細企業も大企業と同じく仕事のやり方を変える必要を感じていることに賭けている。

ラテンアメリカの零細企業に取引や勘定や在庫を管理する能力をもたらすというTreintaのコンセプトは、急成長のアイデアであることが証明されつつある。共同ファウンダーのLluís Cañadell(ルイス・カニャデル)氏によると、Treintaの月間アクティブユーザーは2020年8月31日の開業後数カ月間に400%に成長した。本誌が初めて話をしたとき、同社は1月の成長率300%と月間アクティブユーザー3万人を予想していた。カニャデル氏は今週TecnCrunchにメールで最新情報を送り、1月に3万5000ユーザーを達成したという。

また同氏は、今後数カ月間会社が毎月100%前後のペースで成長すると期待していることも語った。そしてTreintaは、総取引金額(アプリに記録された取引高)2500万ドル(約26億2000万円)を数週間前に超えた。このスタートアップは、いいところに目をつけた。

なぜここまで早く成長したのか?コロンビアの都市封鎖は、多くの中小企業に事業のオンライン化を強いた。多くのユーザーにとって「初めて」のデジタルツールを提供することで、Treintaはたくさんの小企業の生き残りを助けている。

Treintaは、同社のユーザー基盤である中小企業オーナー向けに、さらにデジタル決済などのサービスを提供する予定だ。信用調査はカニャデル氏が本誌に語ったもう1つの可能性だ。

このスタートアップには2021年夏の終わりまでの運転資金があり、雄大な計画をもある。カニャデル氏はTechCrunchに、ラテンアメリカ(Treintaがまだ進出していないブラジルを含む)には5000万の「マイクロビジネス」があり、その90%が商取引の記録にまだ紙を使っていると語った。同社によるとコロンビアのスマートフォン普及率は80%を超えており、Treintaには大きな成長の余地がある。

私は同社に、Y Combinatorのデモデーに参加するかどうか尋ねた。カニャデル氏は、投資家とは喜んで話をするが、デモデーの予定はまだわからないと語った。TechCrunchはもちろんその場にいる予定だ。

カテゴリー:フィンテック
タグ:Treinta資金調達ラテンアメリカコロンビア

画像クレジット:Daniel Garzón Herazo / EyeEm / Getty Images

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(文:Alex Wilhelm、翻訳:Nob Takahashi / facebook