肌診断を軸にカスタマイズした美容サプリをサブスク型で提供、「FUJIMI」運営が1.5億円を調達

肌診断を軸にしたカスタマイズサプリ「FUJIMI」を展開するトリコは10月23日、ポーラ・オルビスホールディングスとXTech Venturesを引受先とした第三者割当増資により1.5億円を調達したことを明らかにした。

同社では調達した資金を活用してFUJIMIのさらなる販売促進と認知拡大を目指していく計画。ポップアップストアやリアル店舗などオフラインチャネルの開設に加えて、新商品の開発やメディア事業にも力を入れていくという。

トリコは2018年4月の創業。今回の資金調達はプレシリーズAラウンドに当たるもので、今年4月にはXTech Venturesとバルクオム代表取締役の野口卓也氏から3000万円を調達している。

約20問の肌診断で、肌に合ったサプリをカスタマイズ処方

冒頭でも触れた通り、FUJIMIは肌診断の結果を基にユーザー1人1人の肌に合わせた美容サプリをカスタマイズ処方し、サブスクリプション形式で提供する。

使い方は簡単で、ユーザーはオンライン上で「ほおに触れた時の肌の感触は?」「化粧のノリは?」など約20問の質問に答えていくだけだ。FUJIMIではビタミンACE、ビタミンB、コラーゲン、プラセンタなど11種類のサプリを用意していて、肌診断の結果からユーザーごとに5種類をピックアップ。それを1袋5粒入りのパック(1日分)にして、30日分を1箱にまとめて届ける。

料金は1ヵ月分が6400円の定額モデル(単発で購入することも可能)。現時点でユーザー自身がサプリの内容を選ぶことはできないけれど、肌診断をやり直すことでその時々の肌の状態に合わせたサプリを購入することができる。

トリコ代表取締役社長の藤井香那氏によると「くすみや乾燥、ニキビ、シワ、シミなど人ごとに様々な肌の悩みを抱える中で、適切なアプローチができるようにサプリの開発や種類の絞り込みにはかなり時間をかけた」そうで、開発前には120人以上の女性にヒアリングして悩みを研究してきた。

その上で米国ISNFサプリメントアドバイザー資格を持ち、機能性表示食品検定協会の理事を務めるサプリメントの専門家をアドバイザーとして迎え、1万以上ある国内外の肌に関する研究論文などをもとにしながら11種類のサプリを調合。肌診断のアルゴリズムについても同様に専門家の知見を借りながら開発を進めてきたという。

現在のメインターゲットは美容に気を使う30〜40代の女性。年齢と共に肌の状況が変わり、スキンケアの方法もステップアップが必要になる中で「外側だけでなく内側からのケア」に意識を向けている層に訴求をしていく。

「そもそも何を飲めばいいかわからないという人にとっては、肌診断を通して自分の肌に合ったサプリが見つかるのが特徴。美容意識が高く自身でビタミンやミネラルなどのサプリを取っている場合でも、それぞれボトルが分かれているので毎回何箱も開けて飲むのは大変だし、自分に合うものを何種類も試しながら探すのは手間もかかる。FUJIMIでは必要な5粒のサプリを1日分ごとに包装しているので持ち運びやすいし、飲みやすい」(藤井氏)

診断を実施するとその結果に合わせた5つのサプリのほか、肌の状態を示したチャートやアドバイスなどが表示される

今年の4月からスタートしたサービスのためまだまだ認知度は限られるものの、実際に使ったユーザーの翌月継続率は90%以上。参考までに、これまで提供してきたサプリの数は累計で100万粒を超えているそうだ。

トリコではInstagramで12万人以上のフォロワーを抱えるメディア「SkieNa(スキーナ)」も展開していて、同メディアも強化しながらより多くのユーザーにアプローチしていくことを目指す。

今後は新商品の開発やオフライン展開を強化

FUJIMIのアイデアはもともとトリコで美容系のメディアを展開していた時に生まれたものだ。

藤井氏は学生時代に「ヘアラボ」などメディア事業を手がけるアラン・プロダクツ(当時の社名はゴロー、2016年にユナイテッドが子会社化)でインターンをした後、ユナイテッドにジョイン。同社の社内起業支援制度を活用して子会社の代表を務めた経験もある。

トリコのメンバー。前列左から2番目が代表取締役社長の藤井香那氏

自己資本で立ち上げたトリコでは化粧品やダイエット食品、健康食品などの情報を扱うWebメディアから事業をスタート。そのサイトでたくさんの商品の記事を書くうちに「美容への興味が高まる一方で、自分自身が本当に買いたいという商品があまりなかった」ことから、それならば自分で作ってしまおうとFUJIMIの構想が生まれた。

「スキンケアに関する商品は外側からつけるタイプのものが多いが、それだけでは0.02ミリの角質層までしか届かずケアとしては足りないのではないかと体感的に思っていた。ビタミンやオイルといった必要な美容成分を(サプリを通じて)内側から取れることを勉強して、『内側からのスキンケア』は市場としてもまだ空いているし、チャレンジできる余地があると考え開発を進めてきた」(藤井氏)

グローバルで見ると、サプリのパーソナライズD2Cとしてはゴールドマンサックスなどから累計で4000万ドル以上を調達している「Care/of」のようなプレイヤーも出てきていて、トリコでもベンチマークの1つとしているそうだ。

商材としてもパーソナライズ化やECでのサブスクリプションモデルとの相性が良いこともあり、現在のビジネスモデルを採用。構造はシンプルだが、その分プロダクトの設計やデザインにはかなりこだわりを持って作ってきた。

トリコは藤井氏を含めて3人の共同創業者が全員デザイナーで、プロダクトやWebサイトなどのクリエイティブは全て社内のメンバーが担当。「サプリメントについては『ダサい』『胡散臭い』などマイナスなイメージを持っている人もいるが、ビジュアルを変えて『持っているだけで女性のテンションが上がるようなもの』を目指している」(藤井氏)という。

まずは美容領域からスタートし、今後はFUJIMIブランドの商品ラインナップを増やしていく方針。すでに現在の肌診断結果を用いてサプリとは別の商品を提案するための準備も始めている。

またトリコではラインナップの拡大と合わせて、ポップアップストアやリアル店舗の出店などオフラインでの顧客との接点作りも進めながら、強固なブランドの確立を目指していく。

「OEMで工場にお願いして作ってもらっているので、他社が似たような商品を開発することもできる。そういう意味では中長期的に独自のブランドを確立させていくことが重要。今はまだブランドにもなっていないので、まずは今回調達した資金も活用しながらブランド化に繋がるような取り組みに力を入れていきたい」(藤井氏)

AI構築のサプリメント安全性データベースが無料で登場

栄養サプリメントは、役に立つかどうかの証拠が乏しいときがあっても、多くの人たちによって使われている。だが、他のサプリメントや薬物との間の有害な相互作用の可能性に関する文書も不足している。Supp.aiと呼ばれる新しいツールが、長年にわたる健康研究論文を調査して、他のどこにも記載されていないような潜在的な競合問題を抽出してくれる。

だが、それは恐怖を利用する反サプリメント運動のようなものではない。単純な事実としては、サプリメントは同じ規制でコントロールされておらず、厳密に研究されてもおらず、処方薬に比べて医学的な文書化が不足しているのだ。そのことは、あまり知られていないサプリメントが一般的に服用されていない薬物に対して持つ、危険な相互作用への扉を開けてしまうという恐ろしい状況につながる。

一部の人たちには知られているかもしれない、避けるべきひと握りの共通相互作用があっても、その多くは医療業界の有償情報として隠され、おそらくまったく報告もされていない。しかし、それらが簡単に報告として読めないからといって、そうしたものがかつて発見されなかったというわけではない。その情報は、手に入るおびただしい量の論文のどこかに埋もれているだけなのだ。それをどうやって見つければいいだろう?

幸いなことに、Allen Institute(アレン研究所)のAI部門(AI2)の研究者たちは、すでにその作業の大部分を、Semantic Scholar(セマンティ・スカラー、意味+学者)というシステムを開発することで済ませている。Semantic Scholarは膨大な数の論文を取り込み、キーワード、結果、その他の側面を特定する自然言語処理システムであり、それらを簡単に検索したり相互参照できるようにする。

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チームはこの成果の一部を再利用して、調整と拡張を行い、サプリメントと他の薬との間の相互作用の証拠を発見して、それを単一の検索可能なデータベースとしてまとめた。それがSupp.aiである。

「サプリメントと薬物はどちらも薬理学的実体です、その区別は機能の違いというよりもマーケティングと社会的圧力に由来するものです」と、新しいシステムについて説明した論文の研究者は述べている。「そして、そのやや恣意的な区別のために、サプリメントの情報は薬学実体に関するデータベースの中に十分に反映されていませんし、それらの相互作用に関する情報もあまり公にはされていません。私たちの仕事は、このギャップを埋めようとする試みなのです」。

例えば、糖尿病の人口の断面を見るいくつかの論文の奥深くには、グルコサミンのサプリメントを摂取している人は血流へのインシュリンの取り込みが遅くなっていることを示す文章があるかもしれない。実際、ツールの上でグリコサミンを検索したときに、私は数十件のそのような文章を発見した。

gluco suppai

Supp.AIは、検索用語とGlcNなどの略語を認識できるほど十分に賢く、証拠の文を柔軟に解釈するので、必要以上に文章を集めてしまう。インタラクションは大きいかもしれないし小さいかもしれない。あるいは有用かもしれないし有害かもしれない。だが大切なことはそれが文書化されていて、ユーザーがその文書を意識できるようなっていることだ。

断片が論文から抜き出されているが、その内容は自分の飲んでいるサプリメントに関する情報を探している一般人にとっては理解することが難しい。しかし、ここでの意図はこうした潜在的な相互作用への認識を高めて、ユーザーが医師に尋ねたり、心配される可能性のある特定の組み合わせを検索したりできるようにすることだ。

「現在、消費者がサプリメントが他の薬と相互作用するかどうかを判断するための、包括的なツールはありません。サプリメント企業がラベルにサプリメントと薬物の相互作用を明記することを義務付ける法律はないため、この情報は特に重要なのです」とハーバードのPieter Cohen(ピーター・コーエン)氏は述べている。彼はこの問題に以前取り組み、今回AI2がその論文のレビューを依頼した人物だ。

彼は、「Supp.aiが『消費者にとって不可欠なリソース』になることを示唆し、特定の相互作用をより深く掘り下げるために薬物=サプリメントまたはサプリメント=サプリメントのペアを選択できるようになることは自然な方向だ」と語った。

Supp.aiは無料で使用でき、新しい論文がデータベースに追加されるたびに「定期的に」新しい情報で更新されるはずだ。そしてサービスを構築するために使われたデータも自由に利用できることから、利用者が自分自身のバージョンを作成したり、コーパスを自身で調査したくなったりもするだろう。

画像クレジット:Palau (opens in a new window)Shutterstock

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(翻訳:sako)