AI OCRや特化型音声認識技術開発のシナモンが約13億円を調達

AIソリューションを開発・提供するシナモンは4月23日、シリーズCラウンドで総額約13億円の資金調達を発表した。調達方法は、既存投資家であるD4Vが運用するファンド(D4V1号投資事業有限責任組合)と米ペガサス・テック・ベンチャーズが運用するファンドを主要株主とする第三者割当増資のほか、三井住友銀行と日本政策金融公庫、商工組合中央金庫からの融資デットファイナンス)となる。

今回の資金調達の目的は、海外展開を見据えた人材採用、株主体制の強化、基盤技術・ユーザーインターフェースの強化、日本とベトナム、台湾での組織体制強化、人工知能プロダクトの新領域開発へのR&D投資など。なお新規株主には、ギークピクチュアズと夏野剛氏も加わっている。具体的な人工知能プロダクトの新規領域としては、音声認識や自然言語処理などを予定している。

同社は人工知能研究所をベトナムのハノイとホーチミン、台湾に設立し、現地で多くのAI技術者が開発業務に従事している。主力サービスは、AIを活用したOCR「Flax Scanner」。PDFやWordなどのデジタルデータはもちろん、印字や手書きなどの紙文書などをAIによってテキストデータ化できるサービス。現在は、金融・保険業界や、製造業、物流業をはじめとした、多数の大手企業へエンジン提供している。

また、特化型音声認識技術「Rossa Voice」(ロッサ・ボイス)も大手企業を中心に販売に販売を開始している。これは各社特有の録音環境や専門用語、文脈をチューニングすることで、高精度な音声認識を実現する技術。自然言語処理技術を組み合わせることで、情報抽出や要約、分析などの後工程の処理までを提供しており、社内システムとの連携も可能だ。

シナモンはこれまで「ホワイトカラーの生産性向上」をミッションに、AIプラットフォームを開発・提供してきた。新型コロナウイルスによる外出自粛要請が続く中での企業のさらなる業務効率化、AIプロダクトの提供を通じた企業の競争力を支援・強化する取り組みを推進していきたいとしている。

AIスタートアップのシナモンが15億円調達、サントリー代表の新浪氏がアドバイザーに

文書読み取りエンジン「Flax Scanner」などを展開するシナモンは1月28日、SBIインベストメント、未来創生ファンドなどから15億円を調達したと発表した(融資含む)。また、2月1日よりサントリーホールディングス代表取締役の新浪剛史氏がアドバイザーに就任することも併せて発表された。今回のラウンドに参加した投資家は以下の通り。

  • SBIインベストメント
  • FFGベンチャービジネスパートナーズ
  • 伊藤忠テクノソリューションズ
  • Sony Innovation Fund
  • TIS
  • 未来創生ファンド
  • 野村ホールディングス
  • 住友商事
  • SMBCベンチャーキャピタル
  • 千本倖生氏
  • 石黒不二代氏

シリアルアントレプレナーの平野未来氏が率いるシナモンは、AIによってホワイトカラーの生産性を向上させることを目指すスタートアップだ。文書を読み取るOCRサービスのFlax Scanner、チャットボットの「Scuro Bot」、レコメンデーションエンジンの「Lapis Engine」などを展開している。また、直近では音声認識技術の「Rossa Voice」をプレローンチし、実証実験を開始している。

なかでも、同社の主力プロダクトであるFlax Scannerは読み取り精度が実データで95〜98%と高精度であることが特徴。独自にデータベースを構築することで、読み取りデータを自動補正するなどの機能もある。保険証や免許証のようにフォーマットが国単位で統一されている場合は、機械学習によって記載された文字を読み取ることは技術的なハードルは低い。しかし、Flax Scannerでは、例えばアンケート用紙などのように、統一されていないフォーマットでも高い精度で読み取りが可能だ。

今回の資金調達は2018年6月に実施したシリーズBに次ぐもの。同社は今回の資金調達により、海外におけるAI人材の獲得、AIプロダクトの基盤技術やプロダクトUIの強化などを進める。加えて、2018年12月に設立が完了したアメリカ法人を拠点に、今年から海外進出を本格化させていく構えだ。

AI文書読み取りエンジンでホワイトカラーの生産性向上へ、シナモンが約9億円を調達

不定形のドキュメントでも読み取ることのできるAIエンジン「Flax Scanner」などを展開するシナモン。同社は6月1日、SBIインベストメントの運用するファンドなどを引受先とする第三者割当増資と、みずほ銀行、三井住友銀行からの融資により総額9億円の資金調達を実施したことを明らかにした。

今回の投資家リストは以下の通り。内訳は第三者割当増資による調達額が約8億円、融資による調達額が約1億円となる。

  • FinTechビジネスイノベーション投資事業有限責任組合(SBIインベストメントの運営ファンド)
  • SBIベンチャー投資促進税制投資事業有限責任組合(SBIインベストメントの運営ファンド)
  • FFGベンチャー投資事業有限責任組合第1号
  • 伊藤忠テクノソリューションズ
  • Sony Innovation Fund
  • TIS

今回のラウンドはシナモンにとってシリーズBにあたるもの。同社では本ラウンドで第三者割当増資により総額10億円の調達を予定していて、2018年8月末日を最終クローズ予定日に追加の調達を進めるという。

なお同社は2018年2月にもMTパートナーズ、マネックスエジソン、ベクトル、RPAホールディングス、複数の個人投資家から資金調達を実施している。

シナモンの主要株主

独自開発のAIエンジンでホワイトカラーの生産性向上へ

シナモンは2016年10月の設立。代表取締役CEOの平野未来氏は2011年にmixiの子会社となったネイキッドテクノロジーの創業者でもある、シリアルアントレプレナーだ。

同社ではホワイトカラーの生産性向上をテーマに、文書を読み取るAI OCRサービスのFlax Scannerのほか、AIチャットボット「Scuro Bot(スクロ・ボット)」、レコメンデーションエンジン「Lapis Engine(ラピス・エンジン)」など独自のAIエンジンを軸にした複数のプロダクトを展開している。

主力サービスであるFlax Scannerは、PDFやWord、手書きの文書などを情報を抜き出し、データベースに自動で取り込めるというもの。手書き文字の読み込み精度が実データで95〜98%と高いことに加え、不定形のドキュメントにも対応しているのが特徴だ。

「たとえば運転免許証のように共通のフォーマットがあるものであれば、そこに記載されている氏名や生年月日といった情報をAIが抽出することはできていた。一方で住民票のように自治体ごとにフォーマットが異なる場合、同じような情報であっても既存のAIでは自動で抽出することが難しかった」(平野氏)

Flax Scannerの場合はディープラーニングを利用して文書を読み取り、テキスト情報がどの情報に属したものなのかを分類(これは「住所」、これは「名前」といったように)。整理をした上でシステムに自動で入力する。

契約書から要点を抽出する、請求書の情報を登録する、手書きの文書をデータ化するといったシーンを中心に、幅広い用途で利用可能。現在は金融・保険業界での利用が多く、特にデータ入力業務におけるニーズが高いという。

平野氏の話では、大手企業の場合データ入力に毎月1億円ほどのコストがかかっているケースも珍しくないそう。今までは人力で頑張っていた作業を人工知能が肩代わりできれば、コスト削減や業務スピード改善を実現しうるだけでなく、人間が本来やるべき仕事に時間を使えるようにもなる。

また直近では特化型の音声認識プロダクト「Rossa Voice(ロッサ・ボイス)」の開発にも着手。これは「コールセンターのやりとりや会議の議事録を自動で書きおこす」システムだ。

「一般的に音声認識というとGoogleを始めIT業界の巨人がやっているイメージが強いが、これらは汎用型の音声認識技術。一方でシナモンで開発を進めているのは、特定のシーンで使える特化型のもの。実際に企業で使うシーンを想定すると、業界ごとの専門用語などを正確に認識できる必要があるので汎用型では難しい面もある」(平野氏)

現在は実証実験を実施している段階。正式なローンチ時期は未定だが秋頃を目標にしている。

2022年までにAIエンジニア500人体制目指す

ベトナムに構える人工知能ラボの様子

シナモンでは今回調達した資金をもとに各プロダクトの基盤技術を強化するほか、人材採用を進める方針。プロダクトのラインナップもふやしていく計画で、大企業以外でも導入しやすいようなパッケージの開発や、新規プロダクトのR&Dにも取り組む。

なお同社はベトナムに人工知能ラボを構えており、大量のAIエンジニア(シナモンにおいてはディープラーニングをゼロから組める人のことを指すそう)を採用できる仕組みを構築。同社には現在40名ほどのAIエンジニアが在籍しているが、2022年までに「AIエンジニア500人構想」の達成を目指すという。

AIを駆使したOCRツールやチャットボットを開発するシナモンが資金調達

人工知能を利用した文書読み取りエンジンなどを開発するシナモンは2月26日、MTパートナーズ、マネックスグループのマネックスエジソンベクトルRPAホールディングス、および島田亨氏ら複数の個人投資家を引受先とした第三者割当増資を実施した。また、これまで既存株主(名称非公開)が所有していた同社株がD4Vへと譲渡されたことにより、D4Vがシナモンの投資家に加わったことも併せて明らかとなった。

シナモンはOCRツールの「Flax Scanner」やチャットボットの「Scuro Bot」など、自然言語処理を中心とした人工知能関連技術を駆使するスタートアップだ。

同社が主力プロダクトと呼ぶFlax Scannerは、さまざまなビジネス文書から情報を抜き出してデータベース化するためのOCRツール。PDF、Wordファイル、印字・手書きの紙文書などさまざまなフォーマットに対応しており、手書き文字の読み込み精度は95〜98%(本番導入後の実績値)と高い。

Flax Scannerは金融や保険業界を中心に導入されている。導入社数は非公開だが、「数社」程度だという(シナモン COOの家田佳明氏)。また、選択式の会話ではなく、自然言語による会話に対応したScuro Botは、企業の問い合わせ対応や面接時間の設定などの用途で導入されているようだ。

シナモンは今回の資金調達をもとに、AIプロダクトの基盤技術およびUIの強化、組織体制の強化などに注力する。今後の展開について同社は、「『ホワイトカラーの業務効率化』をテーマに、AIプラットフォームとしてのさらなる基盤を築き、業務改善を推進する様々なプロダクトの開発に取り組む。また、シナモンのプロダクトの提供を拡大するパートナー企業と協同することで、より多くの顧客へサービス提供を推進していく」と述べている。

代表取締役の平野未来氏は、東京大学大学院に在学中、携帯電話向けのアプリ開発プラットフォーム「Colors」などの開発で知られるネイキッドテクノロジーを創業。平野氏は2011年に同社をmixiに売却後、2016年10月にシナモンを創業したシリアルアントレプレナーだ。