シャオミのIoTデバイスにeSIMを供給するShowmac Techが約15.4億円調達

スマートハードウェアによって管理され、形作られる未来にはコネクティビティ(接続性)が不可欠だ。中国拠点のスタートアップであるShowmac Techは、デバイスとその背後にあるサービスプロバイダ間のシームレスで安定した通信を実現するためのインフラソリューションとしてeSIMを提案している。

Xiaomi(シャオミ)はこの提案を受け入れ、2017年にShowmac Techのエンジェルラウンドに出資した。今回Showmacはより多くの投資家の注目を集め、Addor CapitalがリードするシリーズA+ラウンドで1億元(約15億4600万円)近くを調達した。このラウンドには、GGV CapitalとHongtai Aplusも参加している。

Showmacの創業者兼CEOのLily Liu(リリー・リュー)氏はTechCrunchとのインタビューで、「私たちは、セルラー通信がIoT時代の主流になると考えています。Wi-Fiは少数のデバイスに接続している場合に十分に機能しますが、その数が急増すると信頼性が低下します」と語る。

従来のSIMとは異なり、「サブスクライバIDモジュール」(加入者識別モジュール)の略であるeSIMは、取り外し可能なカード上にある必要がなく、デバイス上のSIMカードスロットも不要だ。むしろ、組み立て時にデバイスの集積チップに組み込まれ、異なるネットワークオペレーター似対応する。チップメーカーにとってShowmacのeSIMは、アプリケーションやソフトウェア開発キット(SDK)のように機能する」とリュー氏は説明する。

同社はeSIMをシャオミのコネクテッドデバイスのエコシステムに供給するパイロットプロジェクトとしてスタートさせ、ソリューションが実現可能であることが証明された時点で事業を立ち上げた。現在の主力製品には、IoTデバイス向けのeSIMカード、eSIM通信モジュール、ゲートウェイ、サービスとしての接続管理ソフトウェアなどがある。

現在までに1000万台以上のデバイスにeSIMを供給しており、そのうち約30%がシャオミだ。シャオミは社内開発と外部投資を通じて、OSと消費者にリーチするIoTパートナーの帝国を築いてきた。

顧客の大部分はの共有部品のサプライヤーで「所有権と使用権が分かれています」とリュー氏。同氏は中国の有名な華中科技大学(Huazhong University of Science and Technology)で経済学の博士号を取得した人物だ。

同社は世界的なeSIM分野の先駆者とは言い難いがシャオミとの結びつきにより「サプライチェーンのリソースのレベルでは競合他社はほとんどない」とリュー氏は考えている。

「研究開発志向の比較的若いチームとして、毎日何十万、何百万という規模の製品を生産する大規模な産業活動を経験できたことは、非常に幸運でした。シャオミオは私たちにこの貴重な機会を与えてくれました」と創業者の劉氏。北京と深圳に40~50人の従業員を擁するこのスタートアップは、現在は中国市場に注力しているが長期的には海外展開を計画している。

リュー氏は「我々は世界で初めてeSIMを作ったわけではありませんが、世界の電子機器製造の中心地である中国にいることで、物事を成し遂げるのに有利な立場にあります」と語る。

5Gの到来は、スタートアップにとっての恩恵だと同氏は信じている。「5Gはより多くのIoTデバイスやアプリケーションを駆逐し、キャリアや地域を超えた機能を持つIoTデバイス]の必要性を生み出します」と述べた。

同社は今回調達した資金を、統合型eSIMモジュールの量産、研究開発、事業開発に充てるとしている。

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(翻訳:TechCrunch Japan)

シャオミの第2四半期売上高は3.1%増、新型コロナでインドでのスマホ生産減の影響も

中国スマホメーカーであるXiaomi(シャオミ)の2020年4〜6月期の売上高は昨年同期比3.1%増の77億7000万ドル(約8235億円)だった。海外マーケットの大半で復調し、前四半期比では7.7%増だった。

今週新たなCFOに前クレディ・スイスAPACシニアエグゼクティブのAlain Lam(アライン・ラム)氏を指名した同社は、第2四半期の利益が6億5000万ドル(約688億円)で前年同期比129.8%、前四半期比108%となったと明らかにした。

同社の売上高の大半を占めるスマートフォンの販売はほとんどの海外マーケットで回復がみられた。「インドを除くマーケットでの1日あたりのスマホアクティベーション平均数は2020年1月に記録したパンデミック前の水準の120%に達した」とも述べた。

ただ、中国外で最大のマーケットであるインドでは状況は異なる。インド政府は3月下旬に全土ロックダウンを発令し、その結果、国中のほとんどの店が閉鎖された。オンラインで注文された「必要不可欠でない」アイテムの小包配達もまた数週間制限された(未訳記事)。

シャオミは過去12四半期でインドでスマホ販売台数トップだ。インドがロックダウンを緩和(未訳記事)して数カ月がたつが、それでも1日あたりのスマホアクティベーション数は「先月の時点で、2020年1月に比べて72%だった」と同社は決算会見で述べた。

主な原因はインド国内での生産にあるとし、「生産能力がまだ標準レベルに戻っていないため、販売は生産減の影響を受けている」と説明した。

同社は欧州に希望の光を見出した。調査会社Canalys(カナリス)によると、2020年第2四半期に欧州におけるシャオミのスマホ出荷台数は前年同期比で64.9%増え、マーケットシェアは16.8%になった。

西欧では同社のスマホ出荷台数は前年同期比115.9%で、マーケットシェアは12.4%だった。そしてスペインでは出荷台数トップとなり、フランスでは第2位、ドイツとイタリアでは第4位だった。

シャオミは、販売価格が300ユーロ(約3万8000円)超のプレミアムスマホの出荷が国際マーケットで99.2%伸びたと話した。「中〜高価格のスマホの割合が増えたことで、スマホの平均販売価格が前年同期から11.8%増え、前四半期に比べても7.5%増となった」と付け加えた。

広告事業の成長にも力を入れいてるシャオミは、同社のモバイル端末向けファームウェアMIUIのユーザーが6月30日時点で3億4350万人で、前年に比べ23.3%増えたと述べた。MIUIは同社が展開しているスマホの大半で駆動する独自のAndroidオペレーティングシステムだ。もちろん同社は、純正Androidバージョンのスマホもいくつか展開している。

同社のスマホの使用ベースが増えるにつれ、広告の売上高も伸びている。第2四半期の広告売上高は前年同期比23.2%増の4億5000万ドル(約477億円)だった。

画像クレジット: Budrul Chukrut / SOPA Images / LightRocket / Getty Images

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(翻訳:Mizoguchi

シャオミのコスパモンスターなミドルレンジスマホ「Redmi Note 9S」を試す

中国・北京に本社を置くXiaomi(シャオミ)は、2019年12月9日に世界で初めて1億800万画素の5眼カメラを搭載した「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」の2製品を引っさげて日本市場に参入した。今回紹介する「Redmi Note 9S」は、2020年6月2日に日本発売が発表されたミドルレンジクラスのAndroidスマートフォン。メモリー4GB+ストレージ64GBのモデルが2万4800円、6GB+ストレージのモデル128GBが2万9800円と低価格ながら、4800万画素のメインカメラを含む4眼カメラを搭載した高コスパモデルだ。

Redmi Note 9Sは、メモリー4GB+ストレージ64GBのモデルが2万4800円、6GB+128GBモデルが2万9800円

プロセッサーはミドル級、リアカメラは広角・超広角・マクロ・深度の4眼構成

Redmi Note 9Sは、プロセッサーに「Qualcom Snapdragon 720G」(8コア、最大2.3GHz)を採用。メモリーとストレージは、4GB+64GBまたは6GB+128GBを搭載している。なおmicroSDメモリーカードスロットでストレージを最大512GBに増量可能だ。

ディスプレイは6.67インチFHD+(2400×1800ドット)で、輝度は450cd/平方m、色域はNTSCカバー率84%、コントラスト比は1500:1。HDR規格はHDR10に対応。ディスプレイ面、背面ともに強化ガラス「Corning Gorilla Glass 5」で保護されている。

リア4眼カメラとフロントカメラの構成は下記のとおり。

  • 4800万画素広角(1/2型、0.8μm/1.6μm、f/1.79、視野角79度、AF)
  • 800万画素超広角(1.12μm、f/2.2、視野角119度)
  • 500万画素マクロ(1.12μm、f/2.4、AF:2~10cm)
  • 200万画素深度センサー(1.75μm、f/2.4)
  • 1600万画素セルフィー(1.0μm、f/2.48)

4800万画素広角カメラのピクセルサイズは0.8μmだが、通常の「写真」モードでは4つの画素を混合する「4-in-1スーパーピクセル」により1.6μm相当と大きくなるので、感度が上がり、ダイナミックレンジも広くなる。

通信機能は、DSDV(デュアルSIMデュアルVoLTE)、Wi-Fi 5(11ac)、Bluetooth 5.0に対応。ネットワークは、GSM:B2/3/5/8、WCDMA:B1/2/4/5/6/8/19、TDD LTE:B38/40/41、FDD LTE:B1/2/3/4/5/7/8/18/19/20/26/28をサポートする。

本体サイズは高さ165.75×幅76.68×厚さ8.8mm、重さは209g。バッテリーは5020mAhを内蔵。バッテリー駆動時間は「ユーザーが休みなく使用しても、1日中フルパワーを維持できます」と謳われている。

22.5W有線充電器、USBケーブル、ケース、SIMピン、説明書が付属する

カラーはこのオーロラブルーのほかに、インターステラーグレー、グレイシャーホワイトが用意

上面には赤外線発光部、マイク、下面にはスピーカー、マイク、USB Type-C、3.5mmヘッドフォンジャックを配置

右側面にはボリュームボタン、指紋認証センサー一体型電源ボタン、左側面にはSIMカードスロットが配されている

左上が800万画素超広角、右上が4800万画素広角、左下が500万画素マクロ、右下が200万画素深度センサー

1600万画素セルフィーカメラはパンチホールディスプレイに内蔵

カードトレイはnanoSIMカード×2、microSDメモリーカード×1という構成

Redmi Note 9S自体は防水・防塵性能を備えていないが、付属のTPU製ソフトケースはUSB Type-C端子をカバーするフタが付いている

高負荷な処理を実行しなければ実用上十分なパフォーマンス

処理性能を定番ベンチマーク3本で計測してみたが、総合ベンチマーク「AnTuTu Benchmark」の総合スコアが277825、CPUベンチマーク「Geekbench 5」のMulti-Core Scoreが1788、3Dベンチマーク「3DMark」の「Sling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1」が2517という結果になった。AnTuTu Benchmarkの記事執筆時点のランキングを参照してみるとトップが「OPPO Find X2 Pro」で、スコアが604805だ。つまりRedmi Note 9Sは最新ハイエンドスマホの約46%のパフォーマンスということになる。

とはいえ、ブラウジング、動画視聴したり、3Dゲームをデフォルト設定でプレイしたりする限りパフォーマンス不足は感じない。3Dゲームを最高画質でプレイするなど高負荷をかけなければ、実用上十分な処理能力を備えている。

AnTuTu Benchmarkの総合スコアが277825、Geekbench 5のMulti-Core Scoreが1788、3DMarkの「Sling Shot Extreme – OpenGL ES 3.1」が2517

カメラ画質は好ましいが、48Mモードの解像感は改善を期待

カメラ性能に特に注力しているシャオミの端末だけに、Redmi Note 9Sの写真画質は基本的に良好。見たままの景色を色鮮やかに記録してくれ、今回試用したかぎりは極端に色が転ぶこともなかった。

ただし、4800万画素広角カメラの「48M」モードで撮影してみたが、正直通常モードより解像感が向上していると感じられない。むしろコントラストが低下しているため、ディテールがぼんやりしている。48Mモードの解像感については、アップデートで改善されることに期待したい。

左上から超広角、広角、2倍デジタルズーム、10倍デジタルズーム。光学望遠カメラを搭載していないので10倍デジタルズームの画質は塗り絵的だ

左が通常の「写真」モード、右が「48M」モードで撮影した写真。48Mモードで撮影した写真の多くで、コントラストが低下する傾向が見られた

夜景モードも上位の「Mi Note 10」、「Mi Note 10 Pro」と比べると見劣りするというのが率直な感想。カメラのハードウェア的なスペックは決して低くないので、ソフトウェア処理をチューニングして、より明るく、白飛びを抑えた夜景を撮影できるようにしてほしい。

「Mi Note 10」「Mi Note 10 Pro」ならもっと明るく夜景を撮影可能だ

一方、使い勝手がよかったのがマクロカメラ。オートフォーカス(AF)が搭載されているので、マクロ撮影でしっかりピントが合う。花や昆虫などの接写に重宝するはずだ。

マクロ撮影時のAFは2~10cmの範囲で合焦する

Redmi Note 9Sはコストパフォーマンスモンスター

Redmi Note 9Sで驚かされるのはやはりその価格。4GB+64GBで2万4800円、6GB+128GBが2万9800円というのは驚異的なコスパだ。最も安価な64GB版iPhone SEでも税込み4万9280円。iPhone SEにはハイエンドと同等のプロセッサー、FeliCa、防水防塵対応などの優位性が多々あるが、価格で太刀打ちできないことは間違いない。

カメラ性能でいくつか不満を述べたが、一般的なシチュエーションで支障はほぼない。コスパを最重要視するなら、Redmi Note 9Sは最右翼の存在と言える。