シンガポール拠点の電動スクーターシェアBeamが28億円調達、韓国や豪州で事業拡大

電動キックスクーターのシェアリングサービスを提供しているシンガポールのマイクロモビリティ・スタートアップであるBeam(ビーム)が2600万ドル(約28億円)を調達した。韓国、オーストラリア、マレーシア、ニュージーランド、台湾で事業を拡大する計画だ。

Sequoia IndiaとHana Venturesが創業2年半のBeamのシリーズAラウンドをリードし、RTP Global、AppWorks、Right Click、Cherubic、RedBadge Pacificといったアジア太平洋地域の投資家も参加した。Beamの広報担当がTechCrunchに語ったところでは、同社がこれまでに調達した資金は累計3240万ドル(約35億円)だ。

インドのBounce(バウンス)とYulu(ユル)のように(未訳記事)、Beamも前述の5つのマーケットで電動キックスクーターのシェアリングを展開している。人々は素早く動き回ることができ、かつコストもさほどかからない交通手段を求めていて、アジアでは電動スクーターとガソリンで走るスクーターが人気を集めている国もある。

スクーターのシェアリングはいくつかのマーケットで展開されているが、往々にしてスクーターは通りに無造作に乗り捨てられる。だがほかのスタートアップと違ってBeamはアプリを通じてあらかじめ決められた場所に駐車するよう動機付けをしている。

「新しいテクノロジーを使って、街の中にスクーターが散乱するのを減らすことができることをうれしく思う。これにより、業界でもトップのスクーター保持率をさらに高め、運営コストを減らすことができる。そして何よりも、通りを美しく保てることでコミュニティに貢献できる」とBeamの共同創業者でCEOのAlan Jiang(アラン・チアン)氏は話した。

どれくらいのユーザーを引きつけているのか明らかにしなかったが、Beamは今回調達した資金をサービスエリア拡大やエンジニアリングに注ぎ、また既存マーケットでのさらなる成長にも活用する、としている。加えて、第3世代の電動キックスクーター「Beam Saturn」の展開を“加速”させる。Saturnはバッテリー交換式で、構造が改良されているとのことだ。

Sequoia Capital Indiaのマネジングディレクターを務めるAbheek Anand(アブヒーク・アナンド)氏は「当局との協力関係、テクノロジー、交通分野における知見により、Beamはアジア太平洋地域で優位に立っている」と述べた。

今回の資金調達は、アジアの多くの若い企業、特に交通分野の企業が資金確保に苦戦している中でのものとなる。Beamはライダーの懸念を和らげるべく、新型コロナウイルスの感染を抑制するための徹底したクリーニングやオペレーションを実施している、と話した。

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(翻訳:Mizoguchi

アトランタ郊外の電動スクーターを2700km離れたメキシコシティーから遠隔操作する実証実験が始まる

米国南東部にあるアトランタの郊外でのシェアリング電動スクーターの確保や回収は、およそ2700km離れたメキシコシティーから遠隔操作で行われている。

アトランタ郊外の都市Peachtree Corner(ピーチツリー・コーナーズ)では、今週からサービスが開始されるアプリを使って、遠隔操作のスタートアップTortoise(トータス)の技術を搭載したGo X(ゴーエックス)の電動スクーターを呼べるようになる。Go Xが開発した「Apollo」(アポロ)アプリを使えば、電動スクーターは利用者が乗りたい場所まで自動的に走ってきてくれる。目的地に到着したら、電動スクーターは安全な駐車所まで自分で帰っていく。そこでGo Xのスタッフは、スクーターを充電・消毒し、適切に消毒されたことを証明するステッカーを貼る。

しかしこの電動スクーターは、本当の意味での自動運転車ではない。Tortoiseのオペレーターが遠隔操縦しているのだ。Tortoiseのオペレーティングシステムと、スクーターに追加された特別な装置、例えば簡単に操縦できるように取り付けられた補助輪などによって可能になる。

この取り組みは、Go XとTortoise、そして地元の技術インキュベーターのCuriosity Labs(キュリオシティー・ラブズ)が共同で実施する6カ月間の試験運用で、米国の公道を初めて走行できる遠隔操作電動スクーターとなる。

画像提供:Tortoise

公共交通機関とシェアリング・マイクロモビリティーを一掃してしまった新型コロナウイルス(COVID-19)のパンデミックによって、Tortoiseの共同創業者で社長のDmitry Shevelenko(ドミトリー・シェビレンコ)氏は、以前にも増してスクーターの遠隔操作に確信を抱き、強気になったという。

「ユニットエコノミーに対する圧力は新型コロナウイルス前よりも強くなっています」と同氏。「車両を1日中消毒された状態にしておくという使用事例は、これまで考えてもみなかったものですが、今では非常に重要なことに思えます」。

従来のシェアリング電動スクーターのビジネスモデルは、ギグワーカーによる車両の回収に依存していた。常に人を乗せることで、スクーターの消耗が早くなる。しかも、使うたびに消毒などできない。

「私たちにとって重要なゴールは、このピーチツリー・コーナーズで世界初の効率的で組織化され高度化されたマイクロモビリティーを構築しつつ、利用者が電動スクーターの利便性を享受することでした」と、ピーチツリー・コーナーズ市政担当官を務めるBrian Johnson(ブライアン・ジョンソン)氏は語る。

この試験運用で、Tortoiseはちょっとだけ得をした。ピーチツリー・コーナーズは、すべてのシェアリング・マイクロモビリティー用車両に、自動的に再配置できる機能を義務付ける条例を通過させたのだ。ほかの街のように、乗り捨てられたドックレス方式のスクーターが固まって歩道をふさいでしまわないようにするのが目的だ。「私たちから要求したわけではありません。街が独自に決めたことです」とシェビレンコ氏は言う。

こうした条例は、行政がスクーターの展開の管理を強化するにつれて一般的なものになるだろう。例えば、シアトルとベルビューがあるワシントン州のキング郡では「遠隔再配置は運営企業がそれを導入すれば、認可を与える企業を決めるための採点制度で得点が稼げる技術だ」と名指しで呼び込んでいる。

「そのため、この技術が成熟するに従い、街がこれを正しく受け入れてくれることをとても喜ばしく思っています」とシェビレンコ氏は話していた。

画像クレジット:Tortoise

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(翻訳:金井哲夫)

スクーターシェアのBirdがパリで1000人雇用へ

スクータースタートアップのBirdがフランスのマーケットに意味深長な方法で将来を賭けている。パリに欧州最大のオフィスを設ける計画で、2021年半ばまでにBirdは1000人を雇用する。この1000というのは同社にとってここ数年意味のある数字だ。

パリというのは、Bird、そして一般にすべてのスクータースタートアップにとって重要なマーケットだ。パリは比較的小さな街で、面積でいえばサンフランシスコよりも小さい。しかし人口密度の高い街でもある。そしてもちろん、わずか数日のためにパリにやって来る観光客が大勢いる。

だからこそ、12社もの企業がスクーターシェアリングサービスをパリで展開している(そう、12社もだ)。しかしつい最近、Les Échosはそうした企業の多くがパリをすでに離れたと報じた。Lime、Bird、Circ、Dott、Jump、そしてB-Mobilityはまだ展開している。

この業界は資金が豊富で、Birdは競争を勝ち抜くためにかなりの額をすでに調達している。しかし資金は1つの要素にすぎない。

パリにオフィスを設置するというのは、Birdがパリというマーケットに真剣であることを市当局に示すのに重要な意味を持つ。先月、パリ市はパリでサービスを展開するスクーター企業数を制限すると発表した。市は事業許可を2、3社に絞るつもりだ。もちろんBirdはそのうちの1社になることを狙っている。

Birdはまた、安全性についてユーザーを教育するのにパリに置くハブを活用する。安全トレーニングセッションに参加した人には無料のヘルメットを提供する計画だ。

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(翻訳:Mizoguchi)

スマートスクーターの台湾GogoroがシェアリングプラットフォームGoShareを発表

2011年創業のGogoroは、拠点を置く台湾で最も売れている電動スクーターのメーカーだ。しかしGogoroはこれまで常に自らをエンド・ツー・エンドのプラットフォームデベロッパーだとみなしてきた。そして米国時間7月6日、新たなスクーターシェアリングシステムを発表し、大きなマイルストーンを達成した。GoShareという名称のプログラムは、パートナー企業に提供する前に来月、台湾の桃園市においてGogoroスマートスクーター1000台でパイロット事業を開始する。

スクーターからバッテリー、ソフトウェア、テレマティクスコントロールユニット、バックエンドサーバーに至るまで全てを開発したGogoroは、GoShareを「初の完全モビリティシェアリングプラットフォームとソリューション」と形容する。共同創業者でCEOのHorace Luke(ホレイス・ルーク)氏は、Gogoroはパートナーとともに来年、欧州、オーストラリア、アジアでGoShareを展開したいと考えているとTechCrunchに対し語った。彼はまた、特徴的なバッテリー交換システムを含む全プラットフォームの構築により、GogoroはUberやLyft、Lime、Bird、Coupといった企業のシェアリングプログラムよりも進んでいると付け加えた。というのもGogoroはスクーターのパフォーマンスの追跡、システムの微調整、フィードバックの新デザインへの反映などができるからだ。

Gogoroスクーターの最大のウリの1つはバッテリーだ。靴の箱ほどのサイズで、スクーターと充電キオスクに入れたり取り出したりできる。台湾では、ガソリンスタンドにあるキオスクと、小売店やカフェを含む突飛なロケーションでバッテリーを交換できる。個人が所有するGogoroスクーターと同様に、GoShareのスクーターも同じキオスクを利用できる。つまり利用者は必要に応じてバッテリーを交換しながら同じスクーターを1日中使っていられる(Gogoroスクーターはバッテリーフル充電で平均80km走行できる)。そして利用が終われば、スクーターの駐輪が法的に認められているところであればどこにでも放置できる。

「我々はプラットフォームであり、未来型の交通を提供するため、ハードウェアやソフトウェア、サーバーテクノロジーを創造し、街をクリーンでヘルシーにできる方法を展開する。スクーターを所有してバッテリーを家で充電する方式、スクーターを購入して我々が提供するシステムでバッテリーを交換する方式があるが、今回はスクーターを購入せずにシェアできるものだ」とルーク氏は話す。

サインアップするには、ユーザーはiOSまたはAndroidアプリをダウンロードし、運転免許証をアップロードする。そして支払い情報に移る前に、GogoroはAIベースの顔スキャンソフトウェアを使って運転免許証の写真とユーザーの顔が合致するかを確かめる。登録が終われば、アプリでスクーターの場所を確かめたり予約したりできるようになる。GoShareの利用料金体系はまだ発表されていないが、ルーク氏によると公共交通機関と競える設定になるとのことだ。公害や交通渋滞を減らすために、Gogoroは桃園市と一緒になって無料駐輪といったインセンティブを提供しようと取り組んでいる。

報道機関向けの発表で、桃園市の鄭文燦(ていぶんさん)市長は「Gogoroとの提携は車両排気ガスによる大気汚染を大幅に減らすのに貢献し、また桃園市をスマートで活気がある街になるのを促進すると確信している」と話した。

他の車両シェアリングシステムについて、ルーク氏は「車両が自由に動き回り、マネジメントが自動であればいうことはない。しかしそうしたシステムは自動ではない」と指摘する。「バッテリー切れだったり、バッテリー残量が少なくて運転途中にバッテリー切れになるのをユーザーが恐れたりするため、車両のほとんどは1日に2、3回しか利用されない。だからこそGogoroには強みがある。人々が好きなだけ長く車両を使用できるようにするネットワークを我々は持っている」。

現在、台湾には1200台の充電キオスクがある。うち200台が桃園市にあり、スクーター20万台にパワーを供給している。創業8年目にしてGogoroは今や台湾で毎月販売される電動スクーターの97%のシェアを握っている、とルーク氏は語る。ガスで動くものも含めた車両マーケットにおいて、Gogoroのシェアは17%だ。

Gogoroのパイロットマーケットである台湾ではスクーターがかなり人気だが、それが大気汚染につながっているとLuke氏は指摘する。同社はつい最近Gogoro 3をローンチし、バッテリーで走るスクーターの開発でヤマハやAeon、PGOと提携したと発表した。

Gogoroのエンド・ツー・エンドのシステムの最終的な目標は、世界中のパートナー向けにすぐに使えるソリューションとしてパッケージにすることだ、とルーク氏は話す。「あちこち見て回らなくても、展開したいシェアリングプログラムをGogoroに持参して、『これを使えるようにしたい』と言うだけでいい」。

イメージクレジット: Gogoro

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(翻訳:Mizoguchi)