N予備校が量子計算入門を9月15日19時開講、高校生以上からすべての者が量子コンピューターのアルゴリズムを無料で学べる

N予備校が「量子計算入門」を9月15日19時開講、高校生以上からすべての者が量子コンピューターのアルゴリズムを無料で学べる

ドワンゴは9月8日、教材・生授業・Q&Aをスマートフォンに最適化したオールインワン学習アプリ「N予備校」(Android版iOS版)において、「量子計算入門」を2021年9月15日に開講すると発表した。料金は無料。講師は、社会人のための数学教室「すうがくぶんか」の内場崇之氏。また監修を電気通信大学教授の西野哲朗氏が行っている。

受講の際は、N予備校にログイン後、ホームのサイドメニューの課外授業欄から
「数理科学」→「量子計算入門」→「量子計算入門」の順に選択する。

「量子計算入門」の特徴

  • 数学的側面を重視:量子コンピューターに関心があるものの、数学的な部分にハードルを感じて取り組めなかった人のために、生放送での授業や補講を通じ、数学的側面について、必要な部分を基礎的なところから丁寧に解説する。難しいものは具体的な例を挙げることで親しみを持てるようにするなど、数学に苦手意識がある人にも取り組めるような構成を採用
  • トピックを基本的な部分に限定:量子コンピューターについては多くの話題がある中で、代表的な話題に絞って基本的なトピックを解説
  • 電気通信大学の西野哲朗先生が監修:日本における量子コンピューター研究の先駆者の1人である西野哲朗教授が監修。また、生放送授業の初回と最終回には、特別ゲストとして登壇する

「量子計算入門」の授業スケジュール(授業は各回とも19時開始)

  • 初回特別講義(9月15日)
  • :「量子計算入門」ガイダンス(特別ゲスト:西野哲朗先生)
  • 第1講(9月22日): 量子ビットとは?
  • 第2講(9月29日):量子ゲートとは?その1
  • 第3講(10月6日):量子ゲートとは?その2
  • 第4講(10月13日):量子回路で足し算しよう
  • 第5講(10月20日):量子計算のテクニック(量子フーリエ変換)
  • 第6講(10月27日):15を素因数分解してみよう!その1
  • 第7講(11月10日):15を素因数分解してみよう!その2
  • 第8講(11月17日):量子機械学習に親しみを持とう
  • 第9講(11月24日):量子アニーリングとは?
  • 第10講(12月1日):量子アニーリングを使って最適化をしてみよう!
  • 最終回特別講義(12月8日):今後の展開について(特別ゲスト:西野哲朗先生)

従来のコンピューターでは計算量が多く解くことが難しかった問題を、短時間で解けるようになる可能性を秘めた次世代コンピュータとして、量子コンピュータの開発が世界各国で進んでいる。

量子コンピューターは、その計算原理に「量子力学」で扱われる微小な領域での物理現象を利用しており、現在のコンピューターの情報の最小単位である「ビット」とは異なる「量子ビット」と呼ばれる新しい情報単位を使って計算している。

2019年のGoogleの研究チームによる実証実験では、53量子ビットの量子コンピューターが用いられ、現在も実用化に向けたさまざまな取り組みが多くの企業や研究機関によって進行している。今回の「量子計算入門」では、このような量子コンピューターが実行するアルゴリズムの入門的な部分を、高校生でも取り組めるような形で提供する。

N予備校は、ドワンゴが独自開発した、授業、教材(問題集・参考書)、Q&Aシステムが1つになった学習アプリ。学費(料金)は、クレジットカード・キャリア決済の場合月額1100円(税込)。

インターネットを活用することで、いつでもどこでも学習を進めることが可能。ライブ配信の生授業では、コメント機能を使って挙手や質問が行えるなど双方向の参加型授業を受けることができる。またアーカイブされた映像授業では、ノートを取る時に一時停止したり、わからなかった所は何度も見返すことができたりと、自分のペースで学べるとしている。また大学受験の授業では、実力派予備校講師陣、プログラミングでは、現役エンジニアが講師を務めるという。

3Dアバター向け汎用規格「VRM」発表。「人格の許諾情報」や一人称視点に対応

eng-logo-2015ドワンゴが3Dアバター向けの汎用ファイルフォーマットVRMをオープンソースで公開しました。

VRMはいわゆる「VTuber」の配信やVRゲーム、チャットなどで使うアバターに特化した、プラットフォーム非依存のファイル形式。

3Dモデルとしてのテクスチャやボーンといった情報に加えて、視線設定など一人称で操作するアバターに必要な情報を扱えるようにし、環境により異なるスケールや座標系などを統一することで、アバターを作りやすく使いやすく、お気に入りのアバターを配信でもゲームでもプラットフォームを跨いで使えるようにすることを目指します。

人が操作して人格をまとわせるアバターの特性を考慮して、このアバターを演じて良いか(人格を与えることの許諾)、このアバターで暴力表現をしても良いか、性的表現は良いか、などの「人格に関する使用許諾」までをファイルに埋め込むことができるのも大きな特徴です。

VRChat や VTuber (バーチャルユーチューバー転じてVR配信者総称)界隈が恐ろしい勢いで進化し続け、「自分用のVRアバターを持つ」ことがSNSアカウントのアイコンを設定する程度のことに近づく気配すらある昨今ですが、アバター用のデータ形式はこれといった統一規格がなく、各アプリやサービスごとに汎用の3Dモデル形式を読み込んだのち、環境によって異なる機能や作法に応じて調整する必要があります。

ドワンゴが提案するVRMはこうした状況に対して、アバター特化の簡便なファイル形式をオープンソースで公開することで、プラットフォームを跨いだアバター利用や作成、配布を助けることを目指した規格です。

具体的には、OpenGL規格を策定するKhronosグループによる汎用3DフォーマットglTF2.0に、アバター用途に特化した独自拡張と、扱いやすくするための制約を加えたフォーマットになります。

主な特徴は視線や表情など、人が一人称操作するアバターに特化した情報に対応すること。また1ファイルにアバターのサムネイル画像、「アバターの人格に関する許諾」メタデータまでを含み扱いが容易なこと。

視線情報は、VRヘッドセットなどを使ってアバターをまとう際、どこが目なのか(どこから見えるのか)、一人称視点で視界を妨げないようどの部分を消すのか、また外から見た際の目線の動かし方など。

「アバターの人格に関する許諾」は、表示だけでなくそのアバターを演じることを許すのか拒否するのか、許す範囲を記述できるユニークなメタデータ。被って演じても良いけれど暴力表現はダメ、あるいは性的表現はダメ、というフラグもあります。

再配布や改変などについては、著者名表記や改変時の同一条件配布などを定めたCreative Commonsや、そのほかのライセンス形式を設定できます。

ドワンゴではVRMのドキュメンテーションと、Unity標準実装をMITライセンスで配付中。

先日開始したVRライブコミュニケーションサービス「バーチャルキャスト」のアバターでVRM形式を採用するほか、立体投稿共有サービス「ニコニ立体」でVRM形式の投稿を受け付けています。

「フォーマットが乱立してるから扱いやすいプラットフォーム非依存の新形式を考えました!」と宣言してマイナー方言を一つ増やしたあげく真っ先に消える例もままありますが、VRアバターに特化してオープン採用を目指すのは非常にユニークな動き。VRアバターによる表現やコミュニケーションの分野が猛烈な勢いで独自の進化を遂げつつある日本から、今そこにある不便を解消しつつ、将来と世界に向けたオープンフォーマットとして提案されるのは実に興味深いところです。

髪型を変えたり服を選ぶ感覚でアバターを持ち、コミュニケーションでもゲームでも同じ「自分」を維持できる将来像は確かに魅力ですが、成否は今後この動きに追従してVRMに対応するサービスやアプリケーションが増えるかどうかにかかってきます。多種多様な商用VRサービスが普及する将来に向けて、現在の閉じたゲーム世界ですら巨大市場になっている「アバターアイテム」の扱いがどうなってゆくかも注目です。

Engadget 日本版からの転載。