絶えず変化するモバイルアプリ開発を支援、特化するBitriseが約68億円調達

世界中でますます多くの人々が、スマートフォンからあらゆることを行うようになっているため、それに合わせて、より優れたアプリをiOSおよびAndroid向けに構築する能力も必要とされている。Bitrise(ビットライズ)は、このような人々のモバイルに対する需要と、企業がアプリを迅速に提供する能力との間にあるギャップを解消し、すべての調整要素と複雑さのバランスをとるために役立つ最適な企業となることを目指している。

モバイルDevOps(デブオプス)企業のBitriseは、米国時間11月23日、シリーズCラウンドで6000万ドル(約68億円)の資金を調達したことを発表した。このラウンドは、Insight Partners(インサイト・パートナーズ)が主導し、既存投資家のPartech(パーテック)、Open Ocean(オープン・オーシャン)、Zobito(ゾビト)、Fiedler Capital(フィードラー・キャピタル)、Y Combinator(Yコンビネータ)などが参加した。

このリモートファーストの会社は、2014年10月にBarnabas Birmacher(バルナバ・バーマチャー)氏、Daniel Balla(ダニエル・バッラ)氏、Viktor Benei(ヴィクター・ベネイ)氏が共同で設立した。2017年に320万ドル(約3億6000万円)のシリーズAラウンドを実施し、2019年にはシリーズBで2000万ドル(約22億7000万円)の資金を調達している。今回の新たな調達は数週間で計画・実行され、Bitriseの資金調達総額は1億ドル(約113億円)近くになったと、CEOのバーマチャー氏はTechCrunchに語った。

ブダペストに本社を置くBitriseは、2年前にY CombinatorのGrowth Program(グロース・プログラム)を経て会社の規模を拡大。現在では従業員を3倍に増やし、ロンドン、サンフランシスコ、ボストン、大阪にオフィスを開設している。

「モバイルは、この12カ月で2年分も3年分も進歩しました」と、バーマチャー氏はいう。「このことは、企業が競争力を維持するために、モバイルを利用しなければならないことを意味します。しかし、モバイルの開発はますます複雑になっています」。

開発者はプロセスの実行に追われ、顧客のために新しい価値を創造することに十分に集中できないと、同氏は付け加えた。

Bitriseが目指しているのは、モバイル開発のためのエンド・ツー・エンドのプラットフォームを構築することだ。このプラットフォームは、中核となるワークフローを自動化して、リリースサイクルを短縮し、新しいコードの部分が、実行中のアプリにどのような影響を与えるかをリリース前に把握できるようにすることで、企業が次のビッグリリースを顧客に提供することに集中できるようにする。

現在までに、6000以上のモバイル企業から、10万人以上の開発者がBitriseを利用している。同社の収益は前年比で倍増しており、エンジニアリング、プロダクト、セールス、グロースの各チームで働く従業員を、現在の160人から300人に増やすことを計画している。

新たに調達した資金を使って、Bitriseは人材の採用に加え、開発者が継続的インテグレーションとデリバリーの領域で、より容易に業務を行うことができるように、また、DevOpsのライフサイクル全体で可観測性を高められるように、製品を拡大していく予定だ。

今回の投資の一環として、Insight PartnersのバイスプレジデントであるJosh Zelman(ジョシュ・ゼルマン)氏がBitriseの取締役に就任し、同じくInsight PartnersのバイスプレジデントであるMatt Koran(マット・コラン)氏が取締役会のオブザーバーとして参加する。

「Bitriseは、8年前に設立されて以来、モバイルにおける現在の状況に向けて事業を築き上げてきました」と、ゼルマン氏は書面による声明の中で述べている。「モバイルは、世界中の人々にとって、コミュニケーション、エンターテインメント、商取引の主要な手段となっています。そしてBitriseは、企業がかつてないほどのペースでモバイルのイノベーションに対応していくことを可能にしてきました。Bitriseはモバイルのために設立された企業であり、同社はモバイルDevOps分野のリーダーとなっています」。

画像クレジット:Anna Lukina / Getty Images

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(文:Christine Hall、翻訳:Hirokazu Kusakabe)

ハンガリー生まれのネット詐欺防止プラットフォームSeonが13億円のシリーズAを調達

Seonは、フェイクアカウントなどの詐欺と戦うプラットフォームだ。同社はこのほど、Creandumがリードし、OTP Bankの一部であるPortfoLionが参加したシリーズAのラウンドで1200万ドル(約13億円)を調達した。この投資は、これまでハンガリーで行われたシリーズAの中では相当大きいものとなる。

Seonは詐欺を検出するスタートアップで、顧客の「デジタルフットプリント」から偽のアカウントを見つけて取り除き、偽の取引などの犯行を防ぐ。クライアントにはPatreon、AirFrance、Rivalry、Ladbrokesなどがいる。ローンチは2017年で、同社によると2019年末には黒字になった。ネオバンクやeスポーツ、ゲーム、外為、そしてパンデミックがもたらした急速なデジタル化の中で、仮想通貨の取引などが成長したためだ。

SeonのCEOで共同創業者のTamas Kadar(タマス・カーダー)氏は、声明で次のように述べている。「Creandumが率いる最新の投資ラウンドが完了したことと、Creandumのエキサイティングなテクノロジーポートフォリオに当社が加わったことをとても喜んでいる。私たちは、同じ心を持ち、ともに仕事ができる投資家を見つけたと感じており、今後の密接な協働により、私たちのビジネスのグローバルで有意義な機会を追求し、詐欺との戦いを広く普及させたい」。

CreandumのゼネラルパートナーであるSimon Schmincke(サイモン・シュミンケ)氏は「Creandumで私たちは、サイバー犯罪が21世紀の最も深刻な脅威だと信じている。Seonに私たちが見つけたものは、効果的で安価で柔軟性があり直感的な詐欺撃退ソリューションであり、それは明らかに、そのROIを証明している」と述べている。

PortfoLion Capital PartnersのパートナーであるGábor Pozsonyi(ガーボル・ブラチスラバ)氏は「Seonは基本的に有益なブランドだ。デジタル化の最大のチャレンジに対するソリューションを提供し、そのパートナーのために数億ユーロを救うだけでなく、インターネットを安全な場所にしてくれる」と付け加える。

SeonはEmailageやIovation、Threatmetrixなどと競合しているように思える。しかしながらSeonは、ソーシャルメディアは正当なユーザーとボットやフェイクの詐欺師たちという構造のプロキシであり、同社はソーシャルのアカウントをあくまでも重視して、詐欺師たちの雑草退治をしたいという。

今回の投資ラウンドの一環としてSeonは、株主としての次の投資家たちを取締役会に招聘した。N26の創業者Maximilian Tayenthal(マクシミリアン・タイエンタール)氏とValentin Stalf(バレンティン・スタルフ)氏、SumUpの創業者Stefan Jeschonnek(ステファン・ジェションネック)氏とJan Deepen(ヤン・ディーペン)氏、TideのCEOであるLaurence Krieger(ローレンス・クリーガー)氏、Revolutの元CFOであるPeter O’Higgins(ピーター・オヒギンズ)氏、iZettleの元プロダクト最高責任者Leo Nilsson(レオ・ニルソン)氏、Onfidoの共同創業者Eamon Jubawy(イーモン・ジュバウィ)氏、そしてComplyAdvantageの創業者Charlie Delingpole(チャーリー・デリングポール)氏。

カテゴリー:セキュリティ
タグ:Seon資金調達ハンガリー

画像クレジット:Seon

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(文:Mike Butcher、翻訳:Hiroshi Iwatani)