Huluは12月12日、「ビンジウォッチャー」向けの新たな広告の仕組みを導入した。ビンジウォッチャーとは、お気に入りの番組のいくつかのエピソードを続けざまに観る人、イッキ見視聴者のことだ。今回導入する「ビンジウォッチャー広告」は、視聴者がビンジウォッチを始めるタイミングを機械学習技術で予測し、イッキ見が行われていることを認識して関連広告を流す。これは、視聴者が3つ目のエピソードを観ようとする盛り上がっているタイミングで行われ、次のエピソードが広告なしで視聴できること、もしくはブランドパートナーから視聴者個人に提供されたものだと表示される。
ビンジウォッチ広告のコンセプトは、5月に開催されたHuluの年次プレゼンNewFrontsで発表されていた。NewFrontsでは広告主に新しい番組や機能、広告フォーマットを紹介する。Huluは、あまり目立たない方法でストリーミング視聴者に提供する新しい広告フォーマットを定期的に実験している。例えば、視聴者が一時停止ボタンを押したときにだけ現れる「一時停止広告」(Pause Ads)はすでに提供されている。
「お気に入り番組のイッキ見はかなり一般的なものになっているため、ビンジウォッチャーをターゲットにするのは理にかなっている」とHuluは話す。現在では米国の消費者の75%がイッキ見する。特にHuluでは広告入り番組の視聴時間の50%近くがイッキ見によるものだ。Huluは、3エピソード以上を続けざまに視聴することを「ビンジ」と定義している。
今回の新しい広告フォーマットでは、Huluの立ち上げ専門エージェンシーパートナーであるPublicis Media経由で、Kellogg’s、Maker’s Mark、そしてGeorgia-Pacificが最初の広告主となる。
Kellogg’sはビンジウォッチ広告でスナック菓子のCheez-It Snap’dを、Georgia-PacificはペーパータオルのSparkleを宣伝する。もちろんMaker’s Markはバーボンだ。
「マラソンスタイルの視聴中に消費者にアピールしたり報いたりする方法となることから、新フォーマットに興味を持った」と広告主である3企業は話す。また、現代の消費者によるテレビの楽しみ方にもフィットするというのも理由だ。Netflixのような広告がない購読制ビデオサービスの盛り上がりを受けて、ユーザーは視聴を邪魔する広告に対して許容的ではなくなりつつある。実際、視聴中に繰り返し広告を流すブランドに嫌気さえ感じている。
それにひきかえ新フォーマットでは、広告なしでエピソードを視聴できるようにし、ブランドがそのスポンサーになる仕組みになっているので、ブランドに対するポジティブな印象を視聴者に与えることができる。
現代のテレビの見方に合う新たな広告フォーマットの開発にフォーカスすることで、Huluはライバルを出し抜くことができるかもしれない。動画ストリーミングサービスでは数多くの形態があるが、広告が入るプロダクトはその1つで、Roku Channel、AmazonのIMDb TV、Sinclair’s Stirr、ViacomのPluto TV、Tubi、YouTube、VuduのMovies on Us (Walmart)、Plexなどたくさんの無料サービスとの競争にさらされている。
画像クレジット:Lars Niki / Getty Images
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(翻訳:Mizoguchi)