Tumblr、ブロガーが小遣い稼ぎできるTip Jar機能を開始

Tumblr(タンブラー)は米国時間2月9日、収益化機能で2度目の試みを開始する。米国で展開が始まり、そして間もなく全世界で利用できるようになるTumblr Tipsでは、ブロガーはサポーターから1回限りの支払いを受け取ることができる。

Tumblrは、こうしたチップから利益を得ることはないが、通常のクレジットカード手数料(2.9%+ 0.30ドル[約35円])が適用される。チップ機能はウェブ、iOS、Androidで利用できるものの、モバイルでのチップ促進はApple(アップル)とGoogle(グーグル)の内部課金システムに依存しないため、クリエーターが手数料によって余分に30%を失うことはない、とTumblrは説明した。

ユーザーは、クリエイターにチップを渡す際、メモを添えることができる。匿名でのチップも可能だが、その場合、メッセージを残すことはできない。チップは1回につき最大100ドル(約1万1500円)だ。

Tip Jarのようなこの機能は、Tumblrが2021年秋に開始したPost+に続くものだ。Post+ではユーザーは月額料金を支払って公開限定の投稿にアクセスできるようになったが、Post+はプラットフォーム上で大歓迎されたわけではなかった。Tumblrの人気クリエイターの多くは、外部のPatreonやKo-Fiアカウントにリンクしてコンテンツを収益化しているにもかかわらず、Tumblrに収益化機能を搭載するというアイデアにユーザーは反発した。Tumblrがユーザーにファンフィクションの収益化を促すことの合法性を心配する声もあれば、Post+のベータ版ではクリエイターが購読しているユーザーをブロックすることができず、安全性に問題がある可能性があると指摘する声もあった。Post+機能のテストに協力したあるブロガーは、殺害脅迫の標的にまでされ、Tumblrが介入して標的型攻撃を非難する事態になった。

関連記事
TumblrがZ世代のクリエイターのためのサブスクサービスPost+を開始
ファンの楽園に異変、Tumblrのベータサブスクリプション機能にユーザーが猛反発

このブロガーKaijunoは7月に「私はコンテンツにお金を払うオプションを提供することで医療費を払おうとしていましたが、TumblrがPost+を事前に発表せず、数人にしか提供しなかったため、私は非常に腹を立てているユーザーの矢面に立たされ、生贄のようになったと感じました」とTechCrunchに語った。「ユーザーはTumblrのあらゆる種類の変更を嫌うので、何らかの反発があることはわかっていましたが、反発の矛先はスタッフに向けられ、ベータテスターはそのほとんどから免れるだろうと考えていました」。

最初のPost+の発表後、一部のTumblrユーザーはTechCrunchに、Post+のようなサブスクリプション機能よりも、有料化したいコンテンツを作成した場合にのみ機能するTip Jar機能の方を好むと語った。当時、元Tumblr社員もTechCrunchに、Post+になった機能は最初はTip Jarとしてスタートしたと語っている。この情報源の人物は、コミュニティと直接仕事をしないTumblrの上層部が、このプロジェクトを有料のサブスクリプション製品を作る方へと方向転換させたと主張した。

つまり、Tumblrはクリエイターのフィードバックを受けて、最終的にTumblr Tipsを導入したようだ。しかし、Post+がベータ版として開始して以降、どの程度の成功を収めたかは不明だ。

「数字は開示しませんが、オープンベータ版ではより幅広いオーディエンスに扉を開放し、特に海外のクリエイターから多くの知見を得ました。新たに獲得したこうした知見は、2022年後半の本格的な展開に向けた準備に役立ちます」とTumblrのサブスクリプション製品責任者Bohdan Kit(ボフダン・キット)氏はTechCrunchに語った。

Tumblr Tipsは、Post+を補完する機能となることが意図されていて、Post+に取って代わるものではない。しかし、どちらかといえば、チップ機能はクリエイターとそのファンを購読サービスに取り込むのに役立つかもしれない。

Tumblrは2018年に重大なポルノ禁止令を出して以来、ユーザーベースの拡大に苦戦しているが、現在はTumblrがユーザーの48%を占めるとするZ世代向けのプラットフォームとして自らを宣伝している。今でもこのプラットフォームはミレニアル世代のノスタルジアの源であり続けている。基本的に他のすべての主要プラットフォームにはないものがTumblrにあるだろうか。エンゲージメントを最大化するためのアルゴリズムでシャッフルされていない逆時系列での投稿は、些細なものだろう。

画像クレジット:TechCrunch

原文へ

(文:Amanda Silberling、翻訳:Nariko Mizoguchi

AIコピーライティングツールのCopy.aiが2021年2回目の資金調達を完了

Twitter(ツイッター)でCopy.ai(コピーエーアイ)を発表してから1周年を迎えた同社が、再び資金調達ラウンドを確保した。Copy.aiは、GPT-3 AIを搭載し、ビジネス顧客向けにコピーライティングツールを生成するプラットフォームだ。

同社は1100万ドル(約12億5000万円)のシリーズAラウンドを引き寄せた。Wing Venture Capitalがリードし、既存投資家からCraft VenturesとSequoia、新規投資家としてTiger GlobalやElad Gilなどが参加した。3月に発表した290万ドル(約3億3000万円)のシードに続くラウンドとなった。資金調達総額は1390万ドル(約15億8000万円)に達した。

Copy.aiのソフトウェアは月額35ドル(約4000円)かかる。例えば、数行の文章をもとにブログ記事のアウトラインを用意したり、Facebook広告用のリンク説明文を作成したり、さらには会社のモットーを作り出すこともできる。

CEOのPaul Yacoubian(ポール・ヤコビアン)氏とChris Lu(クリス・ルー)氏が共同で創業してから1年、まだ利益は出ていないが、年間経常収益はゼロから240万ドル(約2億7000万円)に増えた。また、従業員も3人から13人になったと、ヤコビアン氏はTechCrunchに語った。

2021年初めに資金を調達したものの、ヤコビアン氏とルー氏はシリーズAの時期がきたと感じていた。チームを拡大し、新しい製品機能実現に向けエンジニアを増員するためだ。最近の機能としては、ユーザーがアプリ内で直接、考えを整理したり、アイデアを保存したり、メモを編集したりすることができる「Editor」がある。Copy.aiは、長編コンテンツ制作のための製品も開発している。

「AIはパターンマッチングに長けており、ビジネスに関する情報を多く与えると、そのビジネスが何なのかを推定することができます。そのため、私たちはチーム製品も開発しています。AIがより多くを学習すると、他のビジネスユーザーを招待して登録することができます」とヤコビアン氏は付け加えた。

同社は、新たな資本を採用に投入する。完全なリモートチームで、全国に従業員がいる。eBay、Nestlé、Ogilvyなど、すでに30万人以上のマーケターがCopy.aiのツールを利用している。シードラウンド以降、25万人以上が無料トライアルに登録し、5000人以上のプレミアム顧客を抱える。

ヤコビアン氏によると、Copy.aiはAIによる自然言語生成に早くから取り組んでいる。まだ表面的なものにすぎないため、今後もアプリのコアとなる体験や生成するテキストの質を向上させていくとのことだ。

創業者らは、Wing Venture CapitalのパートナーであるZach DeWitt(ザック・デウィット)氏とも意気投合した。ヤコビアン氏によると、デウィット氏は、Copy.aiのビジョンと人工知能がどれほどマーケターの役に立つかを理解しているという。

「AIのクリエイティブな能力を前にして、自動化が仕事を奪うという話はよく聞きますが、自分や自分の会社のために価値を生み出すという語り口はあまり聞きません」とヤコビアン氏は話す。「AIが進化すれば、エンパワーメントの源となり、無限の可能性を秘めたもう1つのツールとなるでしょう。人的資本を解放し、フルタイムの代理店を雇う余裕のない小規模な企業に対し、迅速でシンプルな問題解決ツールを提供できる点が興味深いと思います」。

デウィット氏は、デジタル化の進展とともに、顧客はオンラインへ移行する一方であり、企業はニュースレター、ブログ、ソーシャルメディア、電子メールなど、顧客が読むものに合わせて対応する必要があると述べた。

同氏は、Copy.aiを利用する中小企業の顧客と話をする中で、書かれたコンテンツの量に圧倒されている人がいること、また、マーケターや創業者が優れたコピーを書けるようにするには、AIを利用するのが最適であることを感じたという。

デウィット氏自身、この製品を使って、最初の社内向けのメールを作成した。また、毎週ブログを書き、Twitterでも活動しているため、ブログ記事のアイデアやコンテンツのフォーマットを考える際にCopy.aiの製品を重宝しているという。

さらにデウィット氏は、Wing Venture Capitalが出会った若い会社の中でも、Copy.aiは最も急速に成長している会社の1つだと付け加えた。また、ソーシャルメディアを活用し、Copy.aiの諸数値を公開している。それがロイヤリティを生むとともに、当初Wingがこの会社に惹かれた側面を他の人も公に知ることができる。

「今回のラウンドは大幅な申し込み超過でした。会社への関心の高さ、チームの質の高さ、勢いの強さを感じていただけると思います」とデウィット氏は付け加えた。「クリスとポールには、将来の成功のために投資家を選ぶ贅沢がありました」。

画像クレジット:Copy.ai

原文へ

(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi