アマゾンが米国でのプライムデーの遅れを認める、インドでは8月に開催すると発表

Amazon(アマゾン)の年に一度の大型セールイベント、プライムデーはこれまで世界中で開催されてきた。規模が大きく、アマゾンの販売サイトが落ちることもしばしばだった。しかし今年は新型コロナウイルス感染拡大によって、アマゾンの計画は混乱している。米国時間7月20日、アマゾンは米国でのプライムデーの開催が2020年内のいずれかの時点まで遅れるという報道を正式に認めた。また、インドでは8月6日〜7日にプライムデーを開催する。

プライムデーの対象となっているすべての市場で同一日程の開催にならないのは、今年が初めてだ。アマゾンはプライムデーの対象を米国以外にも年々広げてきた。

プライムデーは米国、英国、スペイン、シンガポール、オランダ、メキシコ、ルクセンブルク、日本、イタリア、インド、ドイツ、フランス、中国、カナダ、ベルギー、オーストリア、オーストラリアで開催され、2019年には新たにアラブ首長国連邦が加わった。

プライムデーの開催が遅れていることはすでに明らかだ。2019年のイベントは7月15日〜17日で、それ以前も同じ時期に開催されていた。

新型コロナウイルス感染拡大によってアマゾンの関心がシフトしたのは、驚くようなことではない。売り上げが低迷する夏にスペシャルイベントを開催してテコ入れする必要はなくなった。米国政府がロックダウンを実施したことでオンラインの注文が殺到し、当初は家庭用品や医療用品など注文の多い商品の需要に応えるために一部の商品の発送を制限せざるを得なかった(未訳記事)。またアマゾンは4月30日に、需要の増加に対応するためにフルフィルメントと配送ネットワークの業務にあたる従業員を新たに17万5000人以上雇用した(Amazonブログ)と発表していた。

パンデミックの影響でeコマース市場全体が急成長している。eMarketerによると、eコマースの売上は2020年は18%増えて7097億8000万ドル(約76兆174億円)に達し、米国の小売全体の14.5%を占める見込みだという。アマゾンは2020年に市場シェアを38%にまで伸ばすとeMarketerは予測している。

つまりアマゾンは今年、プライムデーを開催する必要がないのだ。順調にやっています、ありがとうございます。

プライムデーの遅れに関するニュースは、ここ数カ月間繰り返されてきた。

4月にはロイターが、プライムデーは新型コロナウイルスの影響で早くても8月になるだろうと報じた。7月にはCNBCが、プライムデーは10月に延期されると伝えた。

アマゾンは米国のプライムデーを今年も開催する意向であるとしているが、時期は明らかにしていない。また米国以外の市場でこれまでのように米国と同時に開催するかどうか、あるいはインドのようにそれぞれの市場で独自にプライムデーを開催するかどうかも発表していない。

インドのプライムデーは8月6日午前0時に開始し、8月7日まで開催される。エンターテインメントも含めた特別なサービスや割引を提供するとアマゾンは述べている。

アマゾンの広報は日程に関する発表の中で「過去5年間以上にわたってプライムデーは特別なお祝いで、プライム会員にとっては自分自身や友達、家族のために驚くほどお得に買い物ができる期間となった。我々も毎年楽しみにしていた」と述べた。そして「今年のプライムデーは従業員の安全を確保しお客様と販売パートナーを支援しながら、例年よりも遅く開催する。インドのプライム会員には8月6日〜7日にセールを実施し、世界中のプライム会員に対しても年内にプライムデーを開催することを楽しみにしている。詳しくは近々お知らせしたいと思っている」と付け加えた。

画像クレジット:Smith Collection/Gado / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

プライムデーの月曜日はアマゾン以外の大手小売業者の売上も64%アップ

Amazon(アマゾン)プライムデーは、もはやAmazonの一人勝ちの日ではない。実はここ数年、すでにそうなっていた。ほかの大手小売業者はAmazonの年に一度のセールイベントに便乗して自社の売上を増やせることに気づき、それを実行してきた。米国時間7月16日に公表されたAdobe Analyticsの最新データによると、7月15日のプライムデーの月曜日に、米国のeコマースにおいて大手小売業者の売上は、月曜日の平均に対して64%と大幅に増えていた。

Adobe(アドビ)のレポートによると、昨年の大手小売業者(年間売上が10億ドル、約1080億円以上)の売上は54%アップで、今年はさらに増加した。

それより小規模の業者も成果を上げた。年間売上が500万ドル(約5億4000万円)未満の小売業者は、月曜日のオンラインでの売上が30%増加した。

Adobeは、2019年のAmazonプライムデーには米国のeコマースの売上が20億ドル(約2160億円)を超えると予測していた。これを達成すれば、年末のホリデー商戦の時期を除くと、2018年9月のレイバー・デーと2019年5月のメモリアル・デーに続く3度目の20億ドル超えとなる。

Amazon以外のサイトでの売上には訪問者のトラフィックが増えたことが大きく影響しており、これが売上の増加の66%を占めている。ほかには、27%がコンバージョンの増加、7%が購入品目の増加によるものとみられる。

Adobeは、月曜日にAmazon以外のサイトで最も割引されたのは電化製品であったことも指摘している。特にスマートウォッチ(12%オフ)、スマートTV(10%オフ)、スマートホーム製品(9%オフ)などのスマートデバイスが割引された。

Adobeのデータは同社の分析事業によるもので、4500以上の小売サイトと5500万のSKUに対する1兆回の訪問の分析に基づいている。Adobeは米国のeコマースのトップ100社のうち80社のトランザクションを測定している。

Amazonは月曜日のプライムデーの成功を報告したが、売上の詳細は公表していない。顧客は米国で「膨大な金額」を節約できたとしている。Alexa対応音声認識リモコン付属の「Fire TV Stick」と「Echo Dot」はトップセールスを記録した。

画像:Emanuele Cremaschi / Getty Images

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(翻訳:Kaori Koyama)

プライムデー初日にアマゾン労働者と人権団体が抗議

Amazonの1年で最大のセールスイベントの初日、Amazonの労働者と活動家たちは抗議活動を行なっている。抗議はサンフランシスコ、ミネソタ、ニューヨーク、シアトル、そして欧州のいくつかの都市で展開される。

従業員主導の最大のデモは、Amazonの倉庫労働者が労働条件や賃金、福利厚生、企業カルチャー全般について抗議しているミネソタ州シャコピーで展開されている。

「主にイスラム教徒で、東アフリカからの移民であるそうした労働者は、怪我を少なくするための人間らしい労働環境や、臨時雇用ではなくフルタイム雇用、昇進に関する平等な機会を求めている」とクライメートジャスティスを代弁しているAmazon従業員のグループは数日前にMediumに書いた。「こうしたFC労働者は我々Amazon Employees for Climate Justice(AECJ)にサポートを求めている」。

ミネソタの倉庫の労働者が組織を結成するのはこれが初めてではない。3月に労働者は労働条件の改善を求めて3時間のストを行なった。昨年は祈りのための時間と、ラマダンで絶食している間のノルマの緩和を要求した。

「Amazonの労働者は、このプライムデーにJeff Bezosに向けて強力なメッセージを発信している。人よりも利益を重視するのをやめるときだ」と国際食品・商業労組のトップMarc Perroneは今日の発表文で述べた。「プライムの翌日配達を促進する最近の動きにより、Amazonの労働者は危険なスピードで不可能な需要をこなすことを強制されている」。

しかしながら、そうした批判は“彼らの都合よく働くためのトリックだ”とAmazonの広報は話した。Amazonは、すでに組合が求めていることは全て提供している、としている。昨年10月、Amazonは米国内の労働者を対象に、全ての倉庫労働者の最低賃金を時間15ドルに上げたが、多くの人は十分でない、と語った。

「今日のイベントに参加しようとしている人たちは単に知らされていないだけとしか考えられない」と広報は話した。「企業として我々は、米国内Amazonの全施設で働く25万人もの臨時雇用者に安全で質の高い労働環境を提供しようと懸命に努力している」。

そして広報は、いかにそうした従業員がオペレーションにとって重要か、またいかに彼らが友人や家族にAmazonで働くよう勧めているかについても語った。

「我々の支払いや福利厚生、職場を、米国中の他のメジャーな企業と比較することを勧める」。

サンフランシスコでは、Bay Resistancneのオーガナイザー、San Francisco Rising、そしてJobs with Justiceが移民税関捜査局(ICE)とのつながりを断つよう求めて市内にあるAmazonのオフィスの外で抗議した。グループはまた、顔認証テクノロジーRekognitionの法執行機関やICEへの提供をやめるよう求めた。この目的は、米国中で摘発を行なっているICEとのつながりを断つことをAmazonに求めた27万人の署名が入った請願書を届けることにある。一部の人は抗議のために集まったが、Amazonがオフィスに入れさせなかったために請願書を届けることができなかった、と主催者は語った。

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「これまで繰り返し言ってきたし、今後もそうあると固く信じているが、企業や政府機関は既存の技術、そして新しい技術を責任持って合法的に使用する必要がある」とAmazonの広報は話した。「許容されるAIの使用や誤使用の派生的な影響について、政府により明確に示してもらう必要があり、我々はこの件について法制化のフレームワークを提案した。政府にさらなる明確化と法制化を望んでいて、今後も我々の考えを示し、提案していきたい」。

Amazon労働者との連帯を示すために、一部の活動家は大衆にAmazonボイコットを呼びかけている。これにはAmazon.com、Amazon Prime Video、Whole Foods、Kindle、Audible、Book Depository、Twitch、IMDb、AWS、GoodreadsそしてComixologyが含まれる。

この記事はサンフランシスコでの抗議についての情報がアップデートされた。

イメージクレジット: TechCrunch/MRD

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(翻訳:Mizoguchi)

Amazonプライムデーコンサートにテイラー・スウィフトが出演、日本時間7月11日午前10時

今年のAmazonプライムデーも楽しみだ。人気のセールが2日間開催されるだけではない。テイラー・スウィフトをメインゲストに迎え、プライム会員だけが視聴できるプライムデーコンサートを実施する。この模様はプライムビデオで日本時間7月11日午前10時から世界に配信される。デュア・リパ、シザ、ベッキー・ジーも出演する。

このコンサートにはいくつかの目的がある。プライムデーの認知度を上げ、プライム会員だけの特典にすることに加え、Amazon Music Unlimitedの加速も狙っている。現在、プライム会員がAmazon Music Unlimitedに新規登録する場合、4カ月99円で利用できる。プライム会員はPrime Musicで200万曲にアクセスできるが、Amazon Music Unlimitedに加入すれば広告なしで5000万曲を楽しめる。

さらにAmazonはコンサートの配信中に、これから公開されるAmazon Originalシリーズの番組を宣伝するつもりだ。オーランド・ブルームとカーラ・デルヴィーニュが出演する「Carnival Row」、ニューヨーク・タイムスの同名コラムが原作の「Modern Love」、エミ一賞受賞の「マーベラス・ミセス・メイゼル」、「トム・クランシー/CIA分析官 ジャック・ライアン」、スーパーヒーロードラマの「The Boys」、アニメの新シリーズ「Undone」などの配信が今後予定されている。

7月15日のプライムデー開始に先立ってコンサートが開催されることにも注目だ。イベントを事前に実施することで、Amazonは新規にプライム会員になる人がプライムデー当日ではなく前もって登録し、会員限定の特典にアクセスするよう仕掛けている。

Amazonのサイトは日頃から大量の処理を扱っているが、プライムデーには必ずトラブルが起きている。例えば昨年は、プライムデー開始時にAmazonが落ちた。プライムデーのランディングページが壊れ、エラーページが多発し、支払いができなくなった。

コンサートは200以上の国と地域にライブ配信され、翌日からは期間限定でオンデマンド視聴ができる予定だ。プライム会員はどのプラットフォームでもプライムビデオでコンサートを視聴できる。Fire TVやEcho Showに「アレクサ、プライムデーコンサートをかけて」または「アレクサ、プライムデーコンサートを見せて」と話しかけて再生することもできる。

Amazonがプライムデーコンサートを開催するのは今回が初めてではない。昨年はアリアナ・グランデを招いてイベントを開催した

Amazon MusicバイスプレジデントのSteve Boom氏は発表の中で次のように述べている。「世界中のプライム会員の皆さまに向けてプライムデーを開催することができ、大変嬉しく思います。プライムデーコンサートは、忘れられないパフォーマンス満載の特別な一夜になると信じています。お買い物とエンターテインメント両方の特典を楽しめるプライムデーを祝うために、様々なジャンルのアーティストたちをこのライブの為に特別にラインアップしました。プライムデーに相応しいこの一夜限りのイベントをお客様とともに祝えることを楽しみにしています」。

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(翻訳:Kaori Koyama)