ライドシェアLyftがレンタカー参入、Uberは撤退済み

ライドシェアの登場により、金をかけて車を所有する必要性は減ってきた。だが、遠くまで行く際などにはライドシェア以外の選択肢が必要なこともあるだろう。米ライドシェア大手のLyftは、レンタカーでそのようなニーズを満たすことを目指す。Lyftは12月12日、サンフランシスコ、オークランドとロサンゼルスでレンタカーサービスの「Lyft Rentals」を、まずは一部ユーザーを対象に提供開始した。

Lyft Rentalsでは、ユーザーはLyftのアプリから予約などの手続きができ、同社いわく、並ぶことなく車両をピックアップすることが可能だ。それ以外の強みは、Lyftいわく、想定外の追加料金が発生しない点。走行可能な距離は無制限で、期間は最長で2週間。ガソリンを入れずに返却しても、地域の市場価格に基づいたガソリン料金が請求されるだけで済む。

車をピックアップする場所への移動、そして返却後の移動に関しては、各移動に対しLyftが最大20ドル分のライドシェア料金を負担するため、同社は「ドア・ツー・ドア」のサービスであることを売りにしている。車をピックアップする際にはLyftのコンシェルジュから鍵を受け取る必要がある。ここに関しては、スマホで車両を探し鍵を開ける個人間カーシェアリングのGetaroundが持つようなコネクテッドカー技術による利便性は今のところ見られない。車の返却時には、鍵を専用のボックスに投函する。

車種は、サンフランシスコとオークランドではVolkswagen PassatとVolkswagen Atlas、ロサンゼルスではMazda3とMazda CX-5が利用可能となっており、今後はハイブリッド車も追加される予定だ。ペットの乗車も可となっている。Lyftは、Lyft Rentalsで提供する車両をライドシェア目的でドライバーが利用することは今のところは不可としている。

Quartzいわく、Uberは前述のGetaroundと共にレンタカー事業の「Uber Rent」を展開していたものの、提供を開始した2018年内に、わずか6ヵ月ほどでサービスを終了している。ローンチ時にGetaroundの創業者でCEOのSam Zaid氏が、ライドシェアによる短距離移動、そしてカーシェアリングによる長距離移動のコンビネーションにより、ほぼ全ての人たちの移動のニーズを満たすことができる、と綴っていたのにも関わらずだ。同氏は「車の所有を所有しないことを洗濯した人たちにとって完璧なコンビネーションになる」ともコメントしていた。

Quartz記者のAlison Griswold氏によると、Uberの担当者、Kaitlin Durkosh氏は「Uberアプリを通じてレンタカーを提供する上での最適な手段を模索したい」とメールでコメントするのみで、詳細を説明しなかった。Griswold氏は、Uber Rentがあまり使われていなかったため、電動キックボードや電動自転車のようなマイクロモビリティ領域に注力した可能性、そしてUberの出資先である電動キックボードのLimeがレンタカーを開始する予定であったことを指摘している。なお、TechCrunchによると、2018年11月にシアトルで開始したLimeのレンタカー事業「LimePod」は今年中に終了する予定だ。

Uberみたいにシームレスなパリのレンタカーサービス「Virtuo」

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パリを拠点にするVirtuoはカーレンタルを扱う新しいスタートアップで、空港や駅で車を借りることをより簡便化しようとしている。指先のタップひとつで車を呼びつけることに慣れた、いわゆる「Uber世代」をターゲットに、同社はテクノロジーと自社の所有するメルセデスを組み合わせることで、既存のカーレンタル大手のAvis、EuropcarやHertzなどに挑戦している。

「電車の駅や空港で車を借りるのはたいへん骨が折れスムーズには行かないし、カーレンタルの大手は新しい世代の旅行客の要求に応えられていない」と、Virtuoの共同設立者であるKarim Kaddouraは述べ、モバイルファーストとUberの様な切れ目のないユーザー体験を挙げた。

この目的のためにVirtuoのモバイル用アプリは登録が5分で完了することを謳い文句にしている。登録にはアカウントの作成、クレジットカード情報入力からIDカードと運転免許のスキャンが含まれる。後者に関してはアプリ内で顔認識技術が使われており身分詐称を未然に防ぐようになっている。

screen322x572key加えて、同アプリはVirtuoの車がある駐車場まであなたを誘導してくれる。そこでスマホに「デジタル鍵」をダウンロードし、アプリ経由で車を解錠することになる。

実際に走り出す前には、車を点検して、もし車に既に傷などが付いていれば、損傷箇所の報告書を確認する必要がある。もし報告書にない凹みがあれば、アプリ経由で写真を撮ってアップロードする。

おそらくこのセルフサービスの部分でVirtuoは経費の削減が可能で、既存の大手のようにチェックインデスクを構え人員を配備する必要がなくなる。

「我々はスマホだけで100パーセント物事が完結する、手間要らずなカーレンタルの仕組みを構築しました。登録から車の施錠と解錠まで、すべての過程がアプリで出来、ユーザーはカウンターで行っていた手続きを省略してほんの数分で走り出すことができるのです」とKaddouraは説明する。

「加えて、我々の提供する車はメルセデスのAクラスのみなので、顧客は期待通りの車に乗ることができ、それらの車には高水準の装備が施されています。すべての車はナビ、Bluetooth、自動変速装置が標準です」

値段は1日€49からで、ドライバーの追加は無料でできる。Virtuoのアプリは車することで走行距離と消費燃料もモニターする。そして、もしVirtuoのスタッフと話をする必要があれば、アプリ内蔵のチャット機能を使う。

ローンチに当たって、Virtuoはパリ内の複数の駅 (パリ北駅、リヨン駅、モンパルナス駅)と、フランスの首都の中心にあるシャルルドゴール空港とマドレーヌ寺院で利用可能だ。数週間内にさらに2つの空港、パリ=オルリー空港とコート・ダジュール空港が加わる予定だ。

「この市場は何十年にも渡って寡占が続き、既存の大手が業態を再考する必要はなかったのです。文化的には、カーレンタル業は高度な技術を必要とするわけではなく革新的な問題解決の手法を見つけ出すのが上手ではありません。というのもビジネスモデルがカウンターや代理店に過度に依存しており、具体的にはより高いサービスを顧客に勧められるかにかかっているのです」と、Kaddouraは付け加えた。

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(翻訳:Tsubouchi)