AIトラベルサービス「atta」運営元が約3億円を調達、国内と東南アジアでのマーケ/PR強化へ

ビッグデータとAIを使った旅行アプリ「atta」(あった)を運営するatta は総額約3億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引受先は以下のとおり。同社は2018年3月にWithTravelとして設立されたトラベル関連事業を開発・運営するスタートアップ。

写真に向かって左から、社外監査役の杉浦 元氏(エリオス)、CDOの鄭 信雨氏、取締役兼CTOの兼平嵩之氏、代表取締役兼CEOの春山佳久氏、CAO大沢 慎氏、社外取締役の深山和彦氏(グローバル・ブレイン)

  • サンエイト インベストメント(サンエイト・PS1号投資事業組合)
  • 御室工房(サンエイトOK組合)
  • 三生キャピタル(三生6号投資事業有限責任組合)
  • 名古屋テレビ・ベンチャーズ
  • マイナビ
  • 三菱UFJキャピタル(三菱UFJキャピタル7号投資事業有限責任組合)
  • 三井不動産/グローバル・ブレイン(31VENTURES Global Innovation Fund 1号)

今回調達した資金は、エンジニア採用のほか、日本と東南アジアでのマーケティングやPR活動に投下される。なお同社は2019年3月にシンガポール100%子会社の現地法人を設立済みだ。事業会社として引受先に加わっているマイナビでは、同社のトラベル情報事業部とattaの連携も視野に入れているという。

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VRプラットフォーム運営のクラスターがKDDIやテレ朝から総額8.3億円を調達

VRを活用したイベントプラットフォーム「cluster」を運営するクラスターは1月6日、総額8.3億円の資金調達を発表した。第三者割当増資による調達で、引き受け先はKDDI(KDDI Open Innovation Fund 3号)、テレビ朝日ホールディングス、Wright Flyer Live Entertainment(WFLE)、三井不動産/グローバル・ブレイン(31VENTURES Global Innovation Fund 1号)、個人投資家となってる。また、テレビ朝日とWFLEの2社との業務提携も明らかにした。WFLEは、バーチャルアーティスト(バーチャルYouTuber)に特化したライブエンターテインメント事業を展開する2018年4月設立の企業。バーチャルアーティスト専用ライブ視聴・配信アプリ「REALITY」を開発・配布しているほか、バーチャルアーティスト専用スタジオ「REALITY Studio」を所有している。

clusterは、インターネット経由で音楽ライブ、カンファレンスなどのイベントを開催できるVRアプリ。VRデバイスのOculus Rift、HTC VIVE、HTC VIVE Proのほか、MacやWindowsマシンで利用・視聴できる。数千人と同時接続可能なのが特徴で、これまで開催した多数の有料イベントに大勢の観客が集まるなど人気のプラットフォームとなっている。今後テレビ朝日とは、バーチャルイベント事業や映像配信事業などで協力し、コンテンツの企画・開発を検討していくという。WFLEとは、REALITYのサービス上で作成したアバターをclusterで簡単に利用できる機能を共同開発する予定だ。

今回の注目はやはりテレビ朝日との業務提供だろう。すでにテレビ局では、関東、関西のキー局を中心に放送の一部でバーチャルなキャラクターを使った情報番組やバラエティ番組が放映されている。しかし、今回テレビ朝日がバーチャルアーティストのプロモーションや演出に長けたクラスターを組むことで、同局はもちろん、資本参加しているAbemaTVで、アナウンサーやキャスターのキャラクターに左右されない、天気予報やストレートニュースなどでもバーチャルアーティストが活躍するかもしれない。

たこ焼きロボ開発のコネクテッドロボティクスが8.5億円調達、イトーヨーカドー内へロボ設置も

写真に向かって前列の左から3人目がコネクテッドロボティクス代表取締役社長の沢登哲也氏

たこ焼きやソフトクリームなどの調理ロボットを開発しているコネクテッドロボティクスは7月3日、約8.5億円の資金調達を発表した。グローバル・ブレインをリードインベスターとしたシリーズA投資ラウンド1で、以下の企業を引受先とした第三者割当増資となる。

  • グローバル・ブレイン(グローバル・ブレイン7号投資事業有限責任組合)
  • ソニー(Sony Innovation Fund)
  • 東京大学協創プラットフォーム開発(協創プラットフォーム開発1号投資事業有限責任組合)
  • 500 Startups Japan(現・Coral Capital)
  • 三井不動産

なお同社はシードラウンド2ですでに約1億円を調達しており、調達総額は約9.5億円となる。同社は2014年2月設立のスタートアップ。代表取締役社長の沢登哲也氏は、東京大学でロボット工学を学んだあと、京都大学大学院に進学。卒業後に飲食店を立ち上げ、飲食業界のさまざまな問題点に直面したことがきっかけで、コネクテッドロボティクスを設立したという異色の経歴の持ち主だ。

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今回調達した資金により同社は、マーケティング強化による販路拡大と新ロボットおよび新ロボットサービスの開発を進める。具体的には、人材の採用と技術力の強化を計画しており、事業推進を大きく加速させさたいとしている。

同社のロボットといえば、テレビにもたびたび登場する長崎・ハウステンボス内にあるたこ焼きロボ「OctoChef」(オクトシェフ)とソフトクリームロボの「レイタ」があまりにも有名だ。

OctoChefは、ディープラーニングを活用して焼き具合を画像解析することで、適切な時間でたこ焼きをひっくり返すことができるアームロボ。生地の作成などの準備、タコや天かすなどの具材の生地への投入、ソースやマヨネーズなどをかけるといったトッピングには人の手が必要だが、鉄板への生地の流し込みから焼き上げ、焼き上がったたこ焼きの取り分けまでをOctoChefが担う。OctoChef1台で、1回あたりの生産量96個、約12人ぶんのたこ焼きを製造できる。

ソフトクリームロボのレイタは、注文から商品提供までに対応。タブレット端末などでメニューを選んだあと、ソフトクリームのコーンをロボットのアーム部分に差し込むと、あとは器用にアームを動かしてソフトクリームを作り上げていく。ソフトクリーム1個あたりの提供時間は30~40秒。

これらのロボットの特徴は、産業用のアームロボットを使っている点。同社がソフトウェアでチューニングを施すことで専用ロボ化しているのだ。特定用途向けに特注するロボットは導入コストが1000万円を超えるケースも多いが、大量生産される汎用ロボであれば導入コストを大幅に抑えられる。同社によると、これらのロボットシステムをサブスクリプション契約した場合の年間コストは、スタッフ1人の人件費よりも安価になるという。もちろん、休憩を取らせる必要もなく、8時間以上労働させてもまったく問題がないし、不平不満も言わない。ちなみに、OctoChefはユニバーサルロボット社のURS、レイタはDobot社のDobot Magicianがベースだ。

同社はこのほかにも、自動食洗機ロボットサービス「Dish Washing System」やコンビニ向け「Hot Snack Robot」、自動朝食調理ロボットサービス「Loraine」の開発も手がけている。今回の資金調達によりこれらの開発スピードがアップすることに期待したい。

  1. CR06

    自動食洗機ロボットサービス「Dish Washing System」
  2. CR04

    コンビニ向け「Hot Snack Robot」
  3. CR05

    自動朝食調理ロボットサービス「Loraine」

さらにコネクテッドロボティクスは本日、セブン&アイ・フードシステムズと提携し、関東近郊のイトーヨーカドー内に出店しているファストフード店「ポッポ」に、Octo Chefとレイタを展開することを発表した。

10月をメドに関東近郊の1店舗にまず導入し、その後他店舗に広げていく方針だ。具体的な店舗名にについては現時点では非公開となっている。

三井不動産が300億円規模のベンチャー投資事業、1社あたり数十億円規模の大型投資を予定

三井不動産は5月15日、主に日本国内において革新的な技術やサービスを持つグロースステージのスタートアップを対象とした、総額300億円の投資事業を開始することを明らかにした。本事業はベンチャーキャピタルのグローバル・ブレイン(GB)と共同で行い、1社あたり数十億円単位の大型投資を予定しているという。

三井不動産では2016年に50億円規模のCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)ファンドをGBと設立。アーリー期のスタートアップを中心に、これまで国内外十数社への投資をしてきた。今回設立した新ファンドは従来の活動理念を受け継いだ上で、さらにグロースステージのスタートアップを対象にしたものだ。

投資するのは不動産テックやIoTなど三井不動産のアセットを活用できる領域の企業で、投資決定や投資先の支援はGBと共同で実施する。出資をきっかけに三井不動産グループの人的リソースや事業ノウハウ、商圏、街づくりのフィールドを提供していくという。

近年では10億円を超える大型の資金調達を行うスタートアップも増えてきている一方で、大型出資が可能な投資機関は限られている。三井不動産としては300億円のファンドを通じてスタートアップ側の選択肢を増やし、日本のエコシステムの発展にも寄与したいという考えがあるようだ。

なお同ファンドの重点投資領域は以下の通り。

  • 不動産テック
  • IoT
  • サイバーセキュリティ
  • シェアリングエコノミー
  • Eコマース
  • フィンテック
  • 環境およびエネルギー
  • ロボティクス
  • AIおよびビッグデータ
  • ヘルスケア