「人事労務freee」と「SmartHR」がAPI連携開始、労務手続きと給与計算をよりシームレスに

クラウド型の人事労務ソフト「人事労務freee」と「SmartHR」が、1月21日よりAPI連携を開始した。

経理・会計ソフトのfreeeが生んだ人事労務freeeは、給与計算機能に強みを持ち、勤怠管理・労務管理機能を持った統合プロダクト。一方、SmartHRは社会保険・雇用保険の電子申請機能など、行政手続きに対応。入社手続きや年末調整といった労務手続きに特化したプロダクトだ。

今回のAPI連携では、人事労務freee、またはSmartHRのいずれか一方に従業員情報が登録されていれば、もう一方に転記することなく、従業員情報が同期できるようになった。これにより、双方のサービスが得意とする機能をシームレスに活用することが可能となる。

SmartHRでは、2018年に外部サービスとの連携強化や拡張機能ストア公開など、プラットフォーム化構想を打ち出している。今回のAPI連携にあたり、SmartHRは「今後も外部連携の強化と、拡張機能が追加できる『Plusアプリ』の開発・提供により、SmartHRの設計を複雑にすることなく、多様化するユーザーのニーズにお応えし、SmartHRのプラットフォーム化を実現していく」としている。

freeeがHR Techに本格参入──「人事労務 freee」を2017年初夏に提供

日本でも盛り上がりを見せつつあるHR Tech業界。TechCrunch JapanでもHR Techに関するイベント「TechCrunch School」を開催したばかりだが、またひとつ、日本のHR Tech分野にビッグプレーヤーが参画してくることとなった。

会計クラウドサービスでおなじみのfreeeが3月22日、発表した新サービスは「人事労務 freee」。これまでfreeeが提供してきた「給与計算 freee」の機能を大幅に追加する形で、労務手続きや勤怠管理、従業員管理などの人事労務に関する業務をクラウド上で一気通貫できるサービスとなるという。サービス提供開始は2017年初夏を予定する。

長時間労働の是正や柔軟なワークスタイルの推進、生産性の向上など、人事労務部門が“本業”として時間をかけるべき業務はいわゆる「労務事務」ではないという話題はTechCrunch Schoolでも挙がっていた。freeeが企業の人事労務担当者に対して2月に実施した調査でも、同様の結果が出ている。

一方で人事労務の現場では、入退社や社会保険など労務手続き書類の作成と申請、従業員マスターの管理、勤怠管理や給与計算など、定型ではあるが複数の業務が複雑に絡み合う業務フローが存在し、そのフローをこなすことで手いっぱいとなっているのが実情だ。

しかも中小規模の企業では、それぞれの業務が集約されているシステムを利用しているケースはほとんどない。個々の業務システムを連携させて利用できていればまだよい方で、Excel社員マスターと給与計算システムとの間でコピー&ペーストしたり、紙の書類から入力し直す、なんてこともありがちで、それでは転記ミスも起こりうるし、効率が悪いのも当然だ。

人事労務 freeeでは、給与計算 freeeに一部含まれていた労務手続きの機能を強化、勤怠管理機能も拡充し、人事マスターとして利用できる機能が追加される予定だ。人事労務に関する従業員のデータの一元管理が可能になり、勤怠情報や従業員情報などを入力することで、人事労務業務の核となる計算作業を自動化できるようになる。また、入退社手続きなどの労務手続き書類も自動出力し、電子申請も可能になるという。

全機能が使える人事労務 freeeビジネスプランの利用料金は、従業員1人あたり月額600円から。現在の給与計算 freeeは、人事労務 freeeのライトプランとして、既存機能を引き続き提供する予定だ。

TechCrunch Schoolでは、労務管理クラウドサービスSmartHRを提供するKUFU代表取締役の宮田昇始氏が「1ブランドのサービスへの集約はユーザーにとっては理想だが、HRの全領域をカバーするのは無理。個別業務に必要な機能に対して“とがって”ちゃんと価値を提供しなければ」と話していた。給与計算から労務手続き、人事マスターまでカバーするというfreee 人事労務は、どこまできめ細かく機能を提供できるのか。