1日に必要な栄養素の3分の1を1食で摂れるBASE FOOD提供のベースフードが20億円調達、新商品開発を加速

1日に必要な栄養素の1/3を1食で摂取できる「BASE FOOD」を提供するベースフードは2月23日、第三者割当増資10億円と融資契約10億円による総額20億円の資金調達を実施をしたと発表した。引受先は、シニフィアンとみずほキャピタルが共同運営するTHE FUND。借入先は三菱UFJ銀行、商工組合中央金庫、りそな銀行、三井住友銀行。調達した資金は、既存商品のアップデートと新商品開発の加速、人材採用の強化にあてる。

BASE FOODは、1食で1日に必要な栄養素の1/3を摂取できる「完全栄養食」(栄養素等表示基準値に基づき、脂質・飽和脂肪酸・n-6系脂肪酸・炭水化物・ナトリウム・熱量を除いて、すべての栄養素で1日分の基準値の1/3以上を含む)。全粒粉や大豆、チアシードなど10種類以上の原材料を使用しつつ、栄養バランスとおいしさを独自の配合と製法により実現。たんぱく質や食物繊維、26種類のビタミン・ミネラルなど1日に必要な33種類の栄養素を1食で摂れるという。

2016年4月設立のベースフードは「主食をイノベーションし、健康をあたりまえに」をミッションに掲げるフードテック領域のスタートアップ。2017年に完全栄養パスタ「BASE PASTA」をサブスクリプションサービスとして販売開始し、現在では完全栄養パン「BASE BREAD」、完全栄養クッキー「BASE Cookies」とラインナップを蓋している。2021年11月末にはシリーズ累計販売食数1500万食を突破し、2022年2月の月額定期購入者数は10万人を超えている。

消化器系の健康をサポートする機能性炭酸飲料Olipopが34億円調達、カミラ・カベロやグウィネス・パルトロウらが出資

Olipopの共同創業者ベン・グッドウィン氏とデイビッド・レスター氏(画像クレジット:Olipop)

健康に良い、あるいは機能的であるといった目的がある炭酸飲料は、380億ドル(約4兆3300億円)規模の米国のソフトドリンク業界を破壊する新しい波となっている。

3年の歴史を持つOlipop(オリポップ)というブランドの場合、消化器系の健康をサポートする炭酸飲料のラインナップで機能性を追求している。同社は、共同創業者のBen Goodwin(ベン・グッドウィン)氏とDavid Lester(デイビッド・レスター)氏にとって「機能性炭酸飲料」の分野で2番目のベンチャー企業だ。2人は10年近く一緒に仕事をしてきた。

レスター氏はTechCrunchに電子メールで、グッドウィン氏とともに機能性炭酸飲料のカテゴリーを築き上げ、Olipopが現在、このニッチな分野の売上高の3分の2を占めるに至ったと語った。同社の炭酸飲料は、植物由来の食物繊維、プレバイオティクス、その他の植物性原料を使っている。

Olipopが北カリフォルニアの45店舗で発売されて以来、この3年間で同ブランドの人気は高まっている。現在では、Kroger、Target、Whole Foods、Sprouts、Safeway、Wegmansなど、全米1万店以上の食料品店で販売されている。レスター氏は、同社の成功を「1981年にCoca-Cola(コカ・コーラ)がダイエットコークを発売して以来40年以上ぶりに、炭酸飲料カテゴリーに大きな破壊的イノベーションをもたらしました」とアピールする。

「機能性炭酸飲料の基本は2つです。消費者が楽しむカテゴリーで、妥協することなく、おいしい飲み物を提供すること、厳密な科学に裏付けられた最先端の健康効果が2つはあることです」とレスター氏は付け加えた。

画像クレジット:Olipop

チェリーバニラ、オレンジスクイーズ、ジンジャーレモンなど、競合他社もOlipopの味を真似しているが、CEOのグッドウィン氏は、過去16年間にわたるマイクロバイオームと発酵の知識を駆使して同氏が調合したOlipopの味にはかなわない、という。

「厳密な科学に裏打ち」されているという側面は、マイクロバイオームと消化器系の健康分野の研究者が率いる科学諮問委員会を導入したことに由来する。いずれ他の健康の問題にも拡大する予定だ。Olipopは2021年、ベイラー大学およびパデュー大学と試験管内での試験を成功させ、今はヒト臨床を行っている。2022年から2023年にかけて、研究や提携も増えていくとグッドウィン氏は語る。

Crunchbaseのデータによると、Olipopは2018年以降、約1350万ドル(約15億4000万円)を調達した後、2億ドル(約228億円)のバリュエーションに基づく3000万ドル(約34億円)のシリーズBを発表した。このラウンドはMonogram Capital Partnersがリードし、Camila Cabello(カミラ・カベロ)氏、Priyanka Chopra Jonas(プリヤンカー・チョープラー・ジョナス)氏、Nick Jonas(ニック・ジョナス)氏、Joe Jonas(ジョー・ジョナス)氏、Kevin Jonas(ケビン・ジョナス)氏、Mindy Kaling(ミンディ・カリング)氏、Logic(ロジック)氏、Gwyneth Paltrow(グウィネス・パルトロウ)氏といった豪華な投資家が名を連ねた。また、既存投資家からRocana Venture Partners、Raj Nooyi(ラジ・ヌーイ)氏、Pepsi(ペプシ)元CEOのIndra Nooyi(インドラ・ヌーイ)氏、A-Series Management & Investmentsの創業者であるAnjula Acharia(アンジュラ・アチャリア)氏、ClassPassの創業者であるPayal Kadakia(パヤル・カダキア)氏、Beautyconの共同創業者であるMoj Mahdara(モージ・マーダラ)氏、LANYのリードボーカルであるPaul Klein(ポール・クライン)氏が参加した。

Olipopは、2022年末までに1億ドル(約114億円)のランレート(年換算売上高)の達成を見込む。レスター氏によると、同社は2021年の成長目標を上回り、トップラインの売上高を3倍に伸ばした。同社はまだ黒字ではないが、そこに向かっているという。そのため、新たな資金調達は、同社が流通を迅速に拡大する際の新規雇用、マーケティング投資、製品在庫に充てられるとグッドウィン氏は付け加えた。現在、従業員数は約60人で、前年の30人から増加した。

パンデミックは同社にとって、一定程度追い風となった。消費者の消化器系の健康に対する関心が高まり、また、砂糖の摂取や、従業員と国の両方が緊張下におかれる中、会社がどう運営されるかについての懸念もあり、パンデミック初年度の3000%の成長につながった。

「パンデミックは、大きな挑戦であると同時にチャンスでもあると考えました」とグッドウィン氏は話す。「パンデミックは、顧客によりよいサービスを提供するための強固な消費者直結型プラットフォームを構築するという課題を私たちに与えました。リモート環境下で優れた文化を構築することに力を注がざるを得なかったのです。また、顧客との関係について良いデータを得ることができました。Olipopは、ストレスの多い時代に、健康を維持しながら喜びと安らぎを得ることができる製品であることがわかりました」。

次のステップとして、2021年テストしたメインストリームの流通とマーケティング戦略を拡大し、その急成長を支えるために必要なサプライチェーン構造も構築するとグッドウィン氏は付け加えた。加えて、新しいフレーバーの研究開発にも力を注ぐ予定だ。

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(文:Christine Hall、翻訳:Nariko Mizoguchi

おいしくてハードワークにも最適な次ぎの健康食品を開発、提供するPurely Elizabeth

Purely Elizabeth創設者兼CEOエリザベス・スタイン氏(画像クレジット:Purely Elizabeth)

Purely Elizabethの創業者Elizabeth Stein(エリザベス・スタイン)氏はこれまでの12年のキャリアを歩んできたが、同社の次の段階に進むための計画からするとそのキャリアはまだ始まったばかりのものだ。

ホリスティック栄養学のカウンセラーとしてキャリアをスタートさせたスタイン氏は、当時はまだ現在ほど普及していなかったスーパーフード食材や薬としての食品について学んだ後、2009年に会社を設立した。

「多くの人を助ける製品の市場にチャンスがあると感じました」と彼女はいう。「口に入れるものは、私たちにとって最も重要なものの1つです」。

CEOのスタイン氏は、顧客と仕事をするうちに、グルテンフリーなどの特殊な食品のニーズを感じ、サイドプロジェクトとして始めたブルーベリーマフィンミックスがPurely Elizabethのきっかけとなって、グラノーラに移行する前の最初の製品となり、現在に至っている。

その後、パンケーキ / ワッフルミックスやオートミールも加わり、同社は朝食カテゴリーのトップブランドの1つとなった。製品は非遺伝子組み換えで、古代穀物、ココナッツシュガー、プロバイオティクス(善玉菌を多く含む食品)、MCTオイルなどの原材料を含んでいる。

世界の健康食品の市場は2020年に7331億ドル(約84兆2820億円)ともいわれ、2026年には1兆ドル(約114兆9660億円)に達するという。同社も、ますます混雑してきたこの市場の一員だ。この分野に投資を惹きつける要素は、消費者の関心だ。先に報じたスムージーのKenckoはシリーズAで1000万ドル(約11億5000万円)を調達し、栄養ドリンクのAthletic Greensは12億ドル(約1380億円)の評価額で1億1500万ドル(約132億2000万円)の資金調達を発表した。

スタイン氏によると、市場は彼女がPurely Elizabethを立ち上げたころと比べて大きく変化している。彼女がトレードショーなどに初めて出た2010年には、原料のチアシードやココナッツシュガー、ココナッツオイルなどについて小売企業にいちいち説明しなければならなかった。しかし現在では、消費者の意識と知識が変化、増えたことで、そのような原料は一般の食料品店でも販売されるようになった。健康に良いという知識のためだけでなく、実際においしいからだ。

過去5年間同社は前年比成長率55%を維持し、2021年には1案5000社の小売業者に卸している。彼女によると、2018年には8000店だった。

同社の最初の資金調達は2016年の300万ドル(約3億4000万円)だったが、今回はSEMCAPの食品栄養部門がリードする5000万ドル(約57億5000万円)のシリーズBを完了した。実はこの部門は、この投資でもって立ち上がった部門だ。参加した投資家はSwander Pace CapitalとSEMCAPのパートナーであるFresh Del Monte(フレッシュ・デルモンテ)だ。同社の総調達額は、5300万ドル(約60億9000万円)となった。

スタイン氏は今回の資金で、社員数を現在の30名から2022年内に40名に増やす予定だ。また新製品によるイノベーションにも取り組み、特に2022年はオートミールを使った新しいカテゴリーを開発するという。また、デジタルマーケティングによりブランドイメージの向上にも取り組む。

「すばらしい成長を重ねてきましたが、現在、私たちは曲がり角にいると思います。次の成長の段階を探さなければなりません。それを加速するためには資本とパートナーが必要で、ブランドをさらに進化させて、より多くの消費者にとって楽しい要素を追加し、今後の進化を達成し、次のレベルに進まなければならなりません」とスタイン氏はいう。

以前はGeneral Millsに在籍し、現在はSEMCAPの食品栄養部門のマネージングパートナーであるJohn Haugen(ジョン・ホーゲン)氏は、General Millsのベンチャー部門301 Inc.の創業者でマネージングディレクターだったときにPurely Elizabethの取締役になり、同社への最初の投資をリードした。

そのホーゲン氏によると、スタイン氏の見解と同じく、現在の消費者はハードワークのための食料を求めているが、これからは、まずさを我慢してまで良質な原料を選ぶようなことはしない、という。

「Elizabethには、この新しい最先端のトレンド合わせて、どのような他社製品よりもおいしい健康食品を市場に導入するためのノウハウがあります」とホーゲン氏はいう。

画像クレジット:Purely Elizabeth/Elizabeth Stein, Purely Elizabethの創業者でCEO

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(文:Christine Hall、翻訳:Hiroshi Iwatani)