GunosyとAnyPayは本日7月12日、ブロックチェーン関連事業を行う合弁会社「LayerX(レイヤーエックス)」の設立について合意したと発表した。
同社の代表取締役社長はGunosy代表取締役 最高経営責任者の福島良典氏、代表取締役副社長はAnyPay取締役の日向諒氏、資本金は5000万円(株主構成はGunosy:50%、AnyPay:50%)となっており、設立は2018年8月1日を予定しているという。
新会社LayerXではブロックチェーン技術に特化したコンサルティングや開発、自社サービスの運営を軸に展開する方針。具体的にはトークンの設計コンサルティングや開発、ハッキングを防ぐコード監査、そして仮想通貨マイニングに関する事業などを検討しているそうだ。
これまでAnyPayではICOコンサルティング事業を展開。一方のGunosyでも2018年5月よりシェアオフィスなどの運営を手がけるツクルバと、ブロックチェーン技術の不動産領域への活用にむけた共同研究を開始している。
日向氏はTechCrunch Japanの取材に対し、「AnyPayがビジネス面、Gunosyが開発面でのサポート。合弁にして一緒にやっていくことで相乗効果が出てくる」と意気込んだ。
IDC Japanは2017年6月に発表した調査で「国内ブロックチェーン関連ソリューション市場の市場規模は今後急速に拡大し、2021年には298億円、2016年~2021年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は133.0%になる」と予測している。
そのような状況が背景にある中、福島氏は「おそらくこのブロックチェーンによる変化は数十年に一回あるか無いかの変化。ここに専念するというのが会社としての流れだ」と語った。
Gunosyは役割の明確化のために、代表取締役を2名体制から1名に変更。代表取締役 最高経営責任者は⽵⾕祐哉氏が勤め、福島氏はGunosy取締役 ファウンダー、そしてLayerX 代表取締役を兼任することになる。この異動は2018年8月24日に正式に決定される予定だ。
「代表である僕が新会社に専念する形になる。それだけ本気でこの領域を立ち上げる」(福島氏)
新会社LayerXはICO市場で技術的に⾼度で専⾨的なサポートへの需要が⾼まっていくと予測し、設立される。
コード監査事業に関しては、福島氏の話だと「スマートコントラクトでは一度コードをすると契約が自動的に執行されるため、性質上バグが入り込んでしまっても容易に修正できない。海外の大きなプロジェクトではプロフェッショナルに事前のコードチェックが当然のようにやられている」そう。今後日本でもブロックチェーンのアプリケーションが増えていく中で、同じような需要が増えていくことを見据えた事業になるという。
また、マイニングに関する事業に関して、「課題としては今、中国がマイニングのシェアの7割以上に到達している。この状態は仮想通貨・ブロックチェーンの未来を考えると良い状況ではない」と説明した上で、「日本の電気代とかだとなかなかマイニングするのが難しく、そもそもマイニング自体の専門的な知識も必要だ。たとえば僕たちが海外の良い場所を探してきてお客さんに提供できないか、といったことを検討している」と語った。
福島氏はGunosyの今後の方針に関して、「Gunosyはニュースアプリや、”LUCRA”のような女性向けメディアなどの”メディアの会社”としてやってきたが、本当の強みは裏側のアルゴリズムなどのテクノロジーの部分だ。メディアカンパニーというところから、テクノロジーの総合カンパニーに移行していく」と語った。
なお、Gunosyは同日、技術革新や規制緩和が期待できる領域のスタートアップに対する投資育成を行うコーポレートベンチャーキャピタル「Gunosy Capital」を設立することを発表した。「主にブロックチェーン/シェアリングエコノミー/AI 等のデジタル領域等、今 後規制緩和や技術革新が期待できる領域に対する投資育成」を目的としているという。設立は2018年9月1日を予定している。