Oculus創設者が立ち上げたAndurilが国境の仮想壁となるスマートなドローンを発表

国境の壁を仮想的に作る(米関税国境警備局記事)企業がステルスで高速飛行が可能なドローンの新バージョンを開発し、それを利用する米税関国境警備局(CBP)との新たな契約を勝ち取った。Oculus(オキュラス)の創設者が立ち上げた若い防衛系テック企Anduril(アンデュリル)は、2020年9月にCBPから(US Spendingレポート)、AI駆動の自動監視塔計画のための3600万ドル(約38億円)の資金(Twitter投稿)を調達した。

Andurilは、この短いトランプ政権の時代に(Daily Beast記事)大きく成長し、創設からわずか3年の企業でありながら、防衛当局から驚くほどの期待を集めた。2020年7月、CBPはこれまで建設された監視塔群のために2500万ドル(約26億5000万円)をAndurilに授与している。同局は現在のAndurilとの契約を維持しつつ、さらに200基を2022年までに建設(CBP記事)する予定だ。その予算規模は2億ドル(約210億円)を超える(The Washington Post記事)。

ハードウェアのイノベーションを高速に繰り返すこの突出した企業が、一般消費者向けVRシステムをOculusを通じていち早く世に送り出した問題多き人物(未訳記事)であるPalmer Luckey(パルマー・ラッキー)氏の会社だと思えば納得もいく。彼は、テック界の強力なトランプ支持者(未訳記事)であり、新たなベンチャーに打って出たとき、現在はFacebook(フェイスブック)傘下となったVR企業Oculusから多くの才能を引き抜いた。また、Peter Thiel(ピーター・ティール)氏が創設し、米連邦政府との契約で成長し株式公開の準備中であるPalantir(パランティア)の元従業員も大量に集めている。

関連記事:Border wall bill draws on Palmer Luckey’s new defense company(未訳記事)

創設当初は完全に隠密状態であった同社だが、特に2019年は、そのドローンの性能を公表するようになった。これまでAndurilは、同社がAnvil(アンビル、金床)と呼ぶ、無人航空機を特定し撃ち落とす機能を備えてた(同社は「攻撃ドローン」と呼ばれることを嫌う)対無人航空機ドローン(The Verge記事)の登場を、しきりにメディアに売り込んでいた。そして今、Andurilは、小型で非常に静かでいくつかの新機能を備えた、第四世代のGhost(ゴースト)型ドローンを発表した。

Ghostは、長時間飛行が可能で、見たものをAI駆動の中枢神経系に送る能力を有する。それはAndurilの監視塔やその他のあらゆるハードウェアとデータを共有し、同社のLattice(ラティス)ソフトウェアプラットフォームに中継すると、気になるものを監視対象として特定する。CBPの場合は、米国境を越えた人物を自動的に特定し、国境警備隊員に警報を発するということになるのだろう。

Anduril Industries「Ghost 4を発表します。最もインテリジェントなVTOLです。軍事用小型無人航空機として、戦場の通常作戦でリアルタイムの情報提供を行い、戦闘員の状況判断を助けます」。

Ghost 4はGhost型ドローンの最新バージョンであり、飛行時間は100分、「ほぼ無音の音響特性」を誇る発見されにくい機種だ。さらに同機は、AndurilのLattice AIソフトウェアを内蔵していると思われる。それにより、通信状態の悪い場所や「紛争」地域での運用や目標の特定が可能になる。この新型Ghostは、複数のGhostで形成された群を1人で操作でき、さまざまな機器を用いてデータ収集が行える。

同社によると、Ghost 4は「空中諜報活動、監視と偵察、物資配達、浸入防止、シギント、電子戦」など、さまざまなタイプの任務に対応できるという。モジュラー式システムでカスタマイズが可能なデザインになっているため、Andurilはさらに応用範囲を広げることもできるのだが、今は境界地域と国境の監視のための契約の獲得に集中している。

同社は、CBPとともに2018年からテキサスとサンディエゴで業務を開始している。その翌年までに、Andurilはアメリカ南部の国境地区との関係を正式化し、CBPのサンディエゴ地区では数多くの監視塔の運用に当たり、テキサスではさらに多くの監視塔建設を受注し、寒冷地仕様のハードウェアのための新しい運用試験をモンタナ州とバーモント州の国境地区で実施(The Daily Beast記事)した。

2020年7月、Andurilは2億ドル(約21億円)の投資をAndreessen Horowitzとティール氏のFounders Fundから受けたことを発表し、評価額はこの3年間でおよそ20億ドル(約210億円)に達した(The Washington Post記事)。「私たちがAndurilを創設したのは、シリコンバレーのテック企業が国防総省と手を結ぶことの価値を信じているからです」と、AndurilのCEOであるBrian Schimpf(ブライアン・シンプ)氏は設立当初に語っていた。

米国防総省は、前バージョンのGhostの使用事例を模索しおり、Andurilは、その生まれて間もないビジネスの拡大を望んでいることは明らかだ。それはそう遠い先のことではない。Andurilは2019年にアリゾナ、日本、ハワイの海兵隊基地を「仮想デジタル要塞」で囲む1350万ドル(約14億円)の契約(海兵隊資料)を決め、軍との連携を専門とする人材(Defensnews記事)を雇い入れた。現在、同社の仕事は、母国である米国の防衛予算の一項目(Fedscoop記事)としての地位を確保している。さらに実入りの大きな防衛関連事業の契約につながる扉が、Andurilの前には開かれている。

関連記事:Palmer Luckey’s new defense company Anduril looks interested in AR and VR on the battlefield(未訳記事)

画像クレジット:Anduril

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(翻訳:金井哲)

国境の壁の必要性を全否定するシンプルな調査結果

[著者:Ken Miller]
Omidyar Networkの技術パートナー。以前はPaypalとIntuitの役員、Squareの顧問を務めた。

目的のためには手段を選ばない人がいるが、それがまったく正当化されないときもある。しかしこの珍妙な世界、つまり今のアメリカの政治的状況下では、手段が目的化してしまうことがある。

この現象の立役者は、あの悪名高き国境の壁だ。トランプ大統領は壁が必要だと強調している。もちろん、民主党は必要ないと言っている。

ここで問われるべきは、国境の壁の最終目的はいったいどこにあるのか? ということだ。その壁は、どのような問題を解決することになっていて、実際にその効果はあるのか? 不法移民に関するトランプ大統領の攻撃的な発言や選挙キャンペーンで繰り返されるスローガンを聞けば、アメリカに流れ込んできた悪質な不法移民、つまりトランプ大統領が呼ぶところの「Bad Hombres」(訳注:悪いやつらといいう意味だが、悪質なメキシコ人を暗示している)によって増大している犯罪や麻薬の問題に対処するために壁を建てなければならない、というのが回答のようだ。

アメリカへの不法侵入は大変に深刻な問題で、行政サービスをストップするに値する危機なのだと私たちは大統領から聞かされてきた。そのおかげで、アメリカの80万世帯がこのチキンレースの政治的なコマに使われている。しかし、アメリカの国境突破を目論む犯罪予備軍による前代未聞の攻撃など、本当にあるのだろうか?

先日、メキシコとの国境に接するテキサス州リオグランデを旅していたとき、大統領は、国境警備隊による逮捕者が、「歴史上経験のない」ほど多くなっていると述べていた。幸いなことに、私たちに付き添ってくれた国境警備隊員は、偶然にも行政サービスの停止による給料未払いの被害者だったのだ、大統領が言っていることはまったく事実と違うと話していた。

米国土安全保障省の実際の逮捕記録を見れば、大統領がいかにいい加減な発言をしているかがわかる。それどころか不法入国による逮捕者数は、ピークに達した2000年の167万人から76パーセントも激減しているのだ。実際、ここ数年の逮捕者は、この50年間で類見ないほど大幅に減っている。

国境警備隊の年間逮捕者数(1970〜2018) グラフの赤いところ:これなら危機と言えるかも。

逮捕者数が激減して1970年のレベルにまで低下した陰には、次のような改革があった。(1)国境警備隊の職員を90年代の6000〜7000人態勢から1万9000人を超える規模に増やした。(2)モバイルまたは固定型の監視技術(レーダー、ドローン、センサー、モバイルおよび固定型カメラ、暗視ゴーグルなど)を導入した「バーチャルフェンス」に資金を投じた。隊員たちはこれで「潮目が変わった」と話している。(3)Scure Fence Act(安全フェンス法)に基づくターゲットを絞った柵の建設。これらの投資は(メキシコの経済が改善されたこともあるが)、狙いどおりの効果をもたらしたと言える。カオス状態だったピーク時から、劇的に逮捕者数を減らせたのだから。

国境警備隊の年間逮捕者数(1970〜2018) 黒い折れ線グラフは国境警備隊の職員の数を示したもの。矢印の時期に国境監視システムの導入、特定箇所の柵の建設が実施されている。

だが、逮捕者が減ったということは、それだけ不法移民が国境をすり抜けたことだとは解釈できないだろうか? 逮捕者が減ったことが、すなわち不法移民の「侵入」が減ったことを意味するのはなぜか? まあそれは、直感と、米税関国境警備局(CBP)が我々にそう言ったからなのだが。CBPのウェブサイト(国土安全保障省の一部)にはこう書かれている。「感覚的に納得がいかないかも知れませが、逮捕者数の増加は、入国を阻止する物理的または認識可能な障害物がほとんどないアメリカの国境が、制御不能の状態になっていることを意味します。逮捕者数が多いことは、アメリカでの違法行為の抑止力が低下していることと見なされます」

国境警備隊員1人あたりの年間逮捕者数を調べると、さらに確証を深めることができる。もし、職員の数を2倍や3倍に増やしても、1990年代から2000年代の初めにかけての比率を圧倒するようであれば、本当の国家的危機と言えるだろう。ところが、1993年の国境警備隊員1人あたりの年間逮捕者数は313人だったのに対して、2017年には隊員1人あたりの逮捕者数は16人にまで落ち込んでいる。95パーセントもの減少なのだが、一旦立ち止まってそこに目をやったり、これまでに行われた投資との関係に着目する人は少ないようだ。

国境警備隊員1人あたりの逮捕者数

逮捕者数のデータが不法入国活動を測る合理的な指標となり、ここ数年間の不法入国活動は大幅に減っていると言えるなら、すでにアメリカ国内に居住している不法滞在者の増加が抑えられることも期待できる。ピュー研究所の最新のデータ(一般にこの件に関してもっとも信頼性が高いとされている)は、まさにそれを裏付けている。それは、アメリカに滞在する不法移民の数は2007年にピークに達したこと、そしてそこから減少に転じ、122万人から107万人に減っていることを示唆している。上の逮捕者数のグラフと見比べると納得できる。

アメリカに不法滞在する移民の数は、この10年間で減少している。

しかし、不法移民が大幅に減り、アメリカの不法滞在者の総数も減少してはいるが、国境の壁の最終目的は、大統領が私たちに再三警告するように、危機的なまでに犯罪率を高める大量の殺人者やレイプ魔や麻薬密売人が国境からなだれ込んで来るのを阻止することにある。しかしその根拠もまた、事実ではない。アメリカに住むヘロインやその他の合成麻薬の乱用者の多くが、メキシコ出身であることは事実だが、大統領の管轄下にある司法省も、2018年に発表した164ページにのぼる報告書で、合法的な通関手続地(つまり合法的な移民による持ち込み)以外で摘発された麻薬の割合はわずかであり、大部分は合法的な通関手続地から個人所有の車両やトラックによって持ち込まれていることを認めている。通常は、合法的な荷物に紛れ込ませてアメリカ国内に持ち込まれている。

同時に2018年、ケイトー研究所(民主党的な考え方を擁護しないことで知られる)も、テキサス州の移民の状況について調査している。その結果、不法移民が逮捕され有罪が確定した割合は、アメリカ出身者の場合よりも明白に低いことがわかった。下の表は、不法移民による犯罪(殺人、性犯罪、窃盗を含む)の有罪確定の割合を示したものだが、アメリカ出身の有罪確定者の割合よりも5割ほど低い(それぞれの人口に対する比率)。

テキサス州における不法移民の犯罪有罪確定率
各部分母集団の10万人あたり(2015年)
左から、アメリカ出身者、不法移民、全移民、合法移民
出典:テキサス州公安局、米国勢調査、移民研究センターのデータから著者が分析。

有罪確定数ではなく逮捕者数に着目しても、同等の結果が得られる。同じ犯罪での不法移民の逮捕者総数は、アメリカ出身者の総数よりも4割少ない。

各部分母集団の10万人あたり(2015年)
左から全逮捕者数、殺人による逮捕者、性犯罪による逮捕者、窃盗による逮捕者
上からアメリカ出身者、不法移民、全移民、合法移民
出典:テキサス州公安局、米国勢調査、移民研究センターのデータから著者が分析。

ネットで話が拡散する今の世の中では、大勢の保守派の人たちが、何かと言えば「All lives matter」(訳注:Black Lives Matter、黒人の命を尊重せよという運動に対抗してトランプ支持者が訴える「すべての命が大切だ」とのスローガン)と主張するが、この社会に暮らす、実際には驚くほど安全と思われる住民を重大犯罪者であるかのように言い立てる根拠に乏しい説に固執するあまり、その主張が脇に追いやられているのは皮肉なことだ。

数十年前、たしかに国境は危機的状態にあった。不法移民が国境からなだれ込み、国境警備隊は必死に対処しようとしたがその数に圧倒されてしまった。しかし、その後は減少を続け、1970年代前半のレベルにまで落とすことができた。これは、行政機関が問題にうまく対処できた稀有な例だろう。

さて、政府が言う最終目的が、たとえば、不法移民の数をできる限りゼロに近づけることであり、そうしなければ国は不必要な経済的負担を強いられ、合法的に入国しようとする人たちを不公平に使うことになると主張するならば、選挙キャンペーンでのスローガンよりも、よっぽど説得力のある票集めの宣伝になる。だが、ホワイトハウスからそんな話は聞こえてこない。おそらくそれは、炎上を誘発する一言サイズの選挙スローガンにしにくいからだろう。「国境警備隊による年間逮捕者数を16から0に減らすために壁を作ろう!」では内容が難しすぎる。まったく浅薄さがない。

もし、不法入国が危機的状態でないのなら、またアメリカに暮らす不法滞在者の数が減少傾向にあり、とても安全な人々なのだとすると、壁を作る目的は、単に選挙公約を守るためだけなのか? どうも、答えはイエスのようだ。

結果として、18年以上前に実際にあった国境警備上の危機から180度方向転換すべきだと私たちが訴える今の状況を、押し付けられたままでいる。「壁を作る」必要性を売り歩く行商はまだ続く。しかし、壁の建設は、明確な目的のための合理的な方法であるとはまったく思えない。むしろ、それ自体が目的化されてしまっている。これはその行商人を、無知と不誠実に挟まれた細い尾根の上を、落ちないように永遠に歩かせることになる。

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(翻訳:金井哲夫)

トランプの国境の壁を支援する民間人によるクラウドファンディングは何が問題なのか?

フロリダの人間は、大蛇ワニレストランの珍事件など、奇妙な事件に遭遇することが多いようだ。 それは、2013年、Twitterのパロディーアカウント「フロリダマン」が登場してからのことで、たちまち大人気になった。

だが、5日前にクラウドファンディング・プラットフォームGoFundMeでフロリダマンが開始した、ドナルド・トランプが推進するメキシコ国境の壁の建設資金を集めるためのキャンペーンは、どうもジョークにしか思えない。10億ドル(約111億円)という強気な目標を立てて先週の日曜日にローンチしてばかりだが、すでに20万人以上の個人から1300万ドル(約14億5000万円)もの資金を調達した。GoFundMeのキャンペーンには締切がない。

その増え続ける巨額の現金の山がどこへ行くのか、そこに疑問がわく。このキャンペーンを立ち上げたBrain Kolfageという男性は、以前、10月にFacebookによって削除されたRight Wing News(右翼ニュース)というFacebookページと共に、陰謀説を唱えるウェブサイトを運営していた。

イラクに派遣されて両足と片腕を失ったアメリカ退役軍人のKolfageは、GoFundMeのページで自身の行動の公共性について長々と話している。また彼は、Fox Newsに「何度も登場している。(だから)自分が信頼できる実在の人物であることがわかる」だろうと言っている。その一方で彼は、寄付しようと思っている人の気持ちを「邪魔したくない」と昨日(現地時間21日)のNBC Newsで語り、これまでのメディアでの問題発言については言及しなかった。

それより心配なのが、寄付の100パーセントが「トランプ・ウォール」に使われるとKolfageはGoFundMeのページに書いているが、今の時点では、その資金を政府に提供できる制度がない。それを実現するためには、そのための法案が議会を通過しなければならない。Kolfageはこう言っている。「この資金を、適切な場所にどのように届けるか? 私たちはトランプ政権と連絡をとり、調達が完了した時点で資金を送る先について確認をしています。この情報が確定し次第、お知らせします。すでに私たちは、非常に高度なレベルで複数のコンタクトをとり、支援を得ています」

このページでは、また、Carlyle Groupの共同創設者David Rubensteinが750万ドル(約8億3400万円)をワシントン記念塔のてっぺん近くにできたひび割れの修繕費用として寄付した2012年の話を例にあげて、アメリカ政府が過去に個人の投資家から巨額の寄付を受け取っている事実を伝えている。しかし、彼のGoFundMeキャンペーンでは、米国議会がその活動の背後にあり、750万ドルの寄付が、それに同額を上乗せする条件(マッチングギフト)で修繕に使用されたのかどうかは明らかにしていない。

たしかに、National Endowment for the Humanities(全米人文科学基金)などのいくつもの政府機関が、マッチングギフト制度のもとで個人の寄付を受け取っている。しかしこの考え方は、寄付金で政府主導の活動に大きな力を与えるものであり、自分たちには決定権のない寄付を募ることになる。バージニア州選出の共和党下院議員で下院司法委員会の議長を務めるBob Goodlatteは、昨日、New York Postにこう述べている。「市民が資金を集めて『政府がこういう目的で私の金を使う』と宣言することなど、とうてい許されない」

アメリカ人有権者のおよそ3分の1が共和党支持者で、その3分の2がトランプが推し進める国境の壁の建設を支持していると考えると、Kolfageの10億ドルの目標が突拍子もない額だとは言い切れない。キャンペーンにはすでに、5万ドル(約560万円)を寄付した人が1人現れている。さらに勢いがつけば、他の人たちも、これが財政的政治的な力を動かす単純で直接的な方法だと思うようになる。

このまま勢いが高まれば、ある時点でこのキャンペーンには、Kolfageに寄付することが賢い方法なのか否かという疑問とは別に、いろいろな問題が浮かび上がってくる。なかでも、紐付きの寄付を政府が受け取ることは法律に反するわけだが、アメリカの一般市民がGoFundMeなどの資金調達プラットフォームを通して団結すれば、ロビイスト・グループのような大きな力を振るうようになるかも知れないという心配がある。KolfageのGoFundMeキャンペーンにどれだけ金が集まっても、政府は壁を作る責任を負うわけではないが、共和党議員たちはすでに、壁の建設のための寄付を財務省が国民から受け取れるようにする法案の準備を進めている。来月、民主党が下院の過半数を占めるようになれば、この法案が通る見通しは消えるが、将来の政権に筋道を付ける可能性は残る。

では、Kolfageが集めた数百万ドルの資金はどこへ行くのか。それを見るのは興味深い。昨日のNew York Postの記事にも書かれているが、GoFundMeでは、「明記された用途以外に資金を使ってはいけない」という規定がある。そのため、政府がKolfageと協力する道が絶たれれば、Kolfageは寄付者に寄付金を返金しなければならなくなる。または、少くともGoFundMeは(我々の質問への返答はないが)、そうする責任を負うことになるだろう。

GoFundMeは、以前にも寄付者に返金をしたことがある。

つい先月のことだ。ニュージャージーの夫婦と1人のホームレスの男性が、GoFundMeを使って作り話で40万ドル(約4450万円)以上を集めた罪で告発された。彼らはその金を、車や旅行や高級ハンドバッグやカジノなどに使っていた。その夫婦と男性は、不正行為による窃盗を犯したことから、詐欺と共謀による第二級窃盗罪に問われている。GoFundMeは、キャンペーンに寄付をした1万4000人の寄付者に全額を返金すると話している。

おかしなことに、GoFundMeは、自社がどれだけの資金を調達しているかは公表していない。同社に投資をしているのは、Iconiq、Stripes Group、Accel、TCV、Greylock、Meritech Capitalなどだ。GoFundMeが最初に外部からのラウンド投資を受けたのは4年前。同社は2010年に設立されている。

上の写真:コロラド州キャッスルロックにある小規模ショッピングセンター。ここでKolfageのGoFundMeキャンペーンへの寄付が呼びかけられていた。

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(翻訳:金井哲夫)