内閣府「ワクチン・検査パッケージ」対応、playgroundが有観客イベントの感染対策をワンストップで支援するサービス提供

総合エンターテック企業のplaygroundは11月4日、有観客イベント運営における感染対策を支援する「イベント入場業務の感染拡大対策、ワンストップアウトソーシングサービス」の提供開始を発表した。

内閣府の「ワクチン・検査パッケージ」に関する技術実証事業および経済産業省のコロナ禍のイベント開催様式の実証事業で採択された、プロバレーボールチーム「ヴォレアス北海道」との実証実験では、全来場者にワクチン・検査履歴の登録を義務付け、「ワクチン・検査パッケージ」を基に合計1000名が入場したという。

なおこの「ワクチン・検査パッケージ」とは、「ワクチン接種歴およびPCRなどの検査結果を基に、個⼈が他者に⼆次感染させるリスクが低いことを⽰す仕組み」を指す(内閣官房「ワクチン接種が進む中における日常生活の回復に向けた特設サイト」)。

playgroundの支援サービスは、「入場管理面」「イベント運営面」の双方から、新型コロナウイルスの感染対策を一気通貫でサポートするというもの。興行主側の専門知識やノウハウの不足、運営リソースの不足などの課題をクリアでき、様々なイベントの実施ハードルを下げてWith/Afterコロナ時代における有観客イベントの実現が可能になるという。

入場管理においては、playground独自の入場認証機能「MOALA QR」を搭載した電子チケット発券サービス「MOALA Ticket」を利用。今回コロナ対策として、同伴者を含めた全来場者に対する来場者情報と「ワクチン・検査パッケージ」の登録を事前に行える機能を搭載したという。

まずイベント来場者は、playground提携のチケット販売各社でチケットを購入後、ウェブブラウザーで表示された電子チケット券面上において、本人確認用の顔写真・来場者情報・ワクチン接種履歴(または検査履歴)の3点を登録する。来場者は、この際発行された入場用QRコードを、スマートフォン(または紙印刷)でイベント会場に持参することになる。

イベント当日は、入場認証端末に顔とQRコードをかざす動作だけで、チケット確認・本人認証・発熱検知および「ワクチン・検査パッケージ」確認を1.5秒以内に終えられる。

興行主は全入場管理を1つの管理画面上で確認できるため、コロナ対策に向けた新たな人員拡充や設備追加、管理業務が不要となることに加え、蓄積した来場者データに基づくイベント後のアフターフォローやマーケティング活動に活かせるという。

またplaygroundによると、イベント運営支援の面において、感染対策における運営設計から、官公庁・医療機関などの関係各所とのコミュニケーション代行、抗原検査キットといった各種物品の仕入れ支援までワンストップでサポートする。playgroundは、専門業者として情報収集と対策を実施しており、日々変化する感染情報や政府方針、世論に対してタイムリーで最適な対応が可能であるとのこと。こうした部分をアウトソーシングすることで、イベント運営者はイベント本来の価値向上に集中できる環境を構築できるとしている。

2017年設立のplaygroundは、スポーツ・エンターテインメント業界に特化した技術開発、コンサルティング、SI事業を行なう総合エンターテック企業。エンタメのデジタル化支援プラットフォーム「MOALA」の提供、コンサルティング・SIサービスの提供などを事業としている。

スマートリングが取得する生体情報で無症状コロナ感染者を早期発見、ウエストバージニア大学が開発

ウエストバージニア大学(WVU)ロックフェラー神経科学研究所(RNI)と同大医学部の研究者はOura(オーラ)の協力を得て、新型コロナウイルス(COVID-19)感染の兆候をいち早く警告するシステムを開発した。

このプラットフォームは、健康な人が新型コロナウイルスに感染した場合に、Ouraのスマートリング「Oura Ring」を装着していれば、このリングが取得する生体情報を利用して自覚症状が出る3日前からウイルス感染を警告できるという。無症状の人々がいち早く検査を受けることが可能となるだけでなく、医療関係など第一線のスタッフの感染リスクの低減に役立つことを開発チームは期待している。

Oura Ringは通常の金属製の指輪のように見えるが、本体にセンサーを内蔵しており、体温、睡眠パターン、活動量、心拍数など多数のバイオメトリクスデータをモニタする。研究者チームは、このバイオメトリクスと約600人の医療、救急関係者から得た感染者の身体、認知、行動上の変化に関する情報を組み合わせた。

ボランティアがこのスマートリングを指にはめてサンプルデータを提供。研究チームはこのデータを利用して自覚症状が現れる前に発症を予測するAIモデルを開発した。開発はまだ初期段階であり、専門家によってレビューされていないとはいえ、発症予測の精度はすでに90%以上に達しているという。

発熱、咳、呼吸困難、倦怠感などはすべて新型コロナウイルスに感染していることを示す可能性がある。もちろん新型コロナウイルス以外の原因でもありえる。しかしこうしたデータを総合した判定によって、ユーザーはもっとはっきりした自覚症状が現れる3日前に検査を受けられる可能性がある。つまり自覚症状がないままに周囲に感染を拡大する危険な期間を最大3日短縮することになる。

次の段階として、他の大学などの研究機関の協力を得て複数の州の1万人にリングを着用してもらうという。 研究資金はRNI(および同組織への寄付者)から全額提供されており、Ouraはハードウェアの提供者という資格で研究を支援している。既報のとおり、同社はカリフォルニア大学サンフランシスコ校の同種の研究にも協力している。

無症状の時点で新型コロナウイルス感染、発症のリスクを予測できるモデルを確立するために多数のプロジェクトが進行中だ。これまでの知見によれば、感染者の大部分は感染者初期にはほとんど、あるいはまったく自覚症状がない。RNIの研究は初期の段階とはいえ、そのような予測が可能であることを示すものだ。市販され誰でも利用可能なハードウェアでこれが可能になるというのは特に重要なポイントだろう。

新型コロナウイルス 関連アップデート

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(翻訳:滑川海彦@Facebook

ビジネスパーソンのための新型コロナ向けパンデミック対策5カ条

COVID-19、SARS-COV-12などと呼ばれる新型コロナウイルスによる感染症が世界で拡大を続けるのは避けらそうにない成り行きだ。米国、ことにノンストップで働くことを当然とするスタートアップのカルチャーでは「そんなことは自分たちと無縁だ」考えがちだ。

しかし今回はビジネス・アズ・ユージュアルではすまない。自分自身だけでなく他人も危険にさらすからだ。自分自身や同僚、他の人々に対する困難や危険性を軽減する助けとなる基本的なルールを以下に公開することにした。

この時期に何をするのが適切か、何をすべきでないのかについて正しい情報を得ていない起業家、起業家志望者始めテクノロジー企業の社員、関係者が多い。ヘルス関連の最新ニュースを求めている場合、またウイルスについてさらに正確な情報を知りたい場合は、CDC(疾病管理予防センター)またはWHO(世界保健機関)の専用サイトにアクセスしてほしい(編集部注:日本では厚労省の「新型コロナウィルスに関するQ&A」を参照)。

1. 合理的な予防措置を取り、周囲の人々にもそれを知らせる

CDCでは「頻繁に手洗いを実行し、衛生に留意することがウイルスの拡散を防ぐための最良の方法だ」としている。マスクをつけることは特に必要とされていないが、しても悪いことはない。ただし主要な効果は健康な人(の感染防止という)より、感染した人々が拡大を防止することにある。

また感染のリスクは感染者に接触することによって生じるというのが重要な点だ。窓の隙間から密かに部屋の空気に入り込んでくる神経ガスとはわけが違う。 リスクを最小限に抑えには家にとどまるのが重要だ。実際に人と顔を合わせるミーティングはキャンセルし、リモートワークを取り入れ、(メジャーなイベントの多くがすでにキャンセルされているが)コンベンションへの参加も取り止めるほうがいいだろう。

カップラーメン、レトルト食品、冷凍庫の残り物などを活用し、外出する場合は頻繁に手を洗う。手指消毒剤を携帯するのもいい。オンラインで商品を購入する場合、玄関の前などに荷物を置いてもらえるならそれもいい考えだ。

予防措置が他の人に影響を与える可能性がある場合、これは予防措置を取っているのだとはっきり説明する。ただし言葉は慎重に選ぼう。「実際に会う代わりにビデオ会議にすることはできますか?今のところ人との接触をを最小限にしようとしています」などと言うのは賢明だ。相手が「私が感染していると疑っているのか?」などと思ったとしてもこれは相手の問題なのでやむを得ない。この文章を読んでもらうのがいいかもしれない。

はっきりさせておく必要があるが、世界は死の罠に捕らえられているわけではない。新ウイルスによる死亡率はさほど高くない。しかしこのウイルスは感染しても無症状の場合があるためり、どこに潜んでいるのかどこなら安全かを推測することが困難だ。そこで公衆への露出・接触を最小限に抑えておく。

2. 予防措置を人マネせず、権威ある情報を拡散する

今後数週間、厄介なことが続く可能性がある。大型イベントだけでなく、対面のミーティングも多数がスキップされるだろう。しかしそうした対処には理由があり、性急な判断は控えるべきだ。

新型コロナウィルスが心配なので握手したり拳を打ち合わせて挨拶したりするのを避ける。 ミーティングをコーヒーショップではなくビデオチャットにしたいという。会社を早退して家に戻る。こういうことはすべてもっともであり、相手を非難してはならない。

普段でも我々は他人の動機や能力について詳しい知識はもっていない。新型コロナウィルスに対する対処の関連ならなおさらだ。 企業や個人が家族、経済、社会、宗教などどんな方面からどんな圧力を受けているのか我々は知りようがない。イベントやミーティングのキャンセルなどその結果が自分にとっていかに不都合であっても当面はそのまま受け入れるしかない。

これは部下の社員についても同様だ。誰かが病休取得を申し出たら認める。リモートワーク、リモートミーティングにしても同様だ。どさくさに紛れた不当利得だった違いないと後で気づくかもしれないが、それは後で考えればいい。パンデミックの危険がある現在、そんなことをいちいち言い立てる必要はない。

ここしばらく感染の予防だといって中華料理店を避けたり風船ガムを破裂させると中国の空気が吹き出すから危ないといった馬鹿げた、そして多くは人種差別的な言動を目にすることになりそうだ。家族や同僚をこういった誤認や偏見の中に放置することなく、CDCなど権威ある情報源の発表を共有する努力を続ける必要がある。これによって少しでも正しい知識の力が増すようにすべきだ。単なる個人のツイートでは影響力はほとんどないかもしれないが、CDCや医療専門家の発表であれば耳を傾けるかもしれない。ともあれそう希望しよう。

3. ダメージはやむを得ない

新型ウィルス感染の予防は金も時間も食う。ビジネスチャンスを減らす。会議は遅れる。非効率が増大する。プロダクトもサービスも予定のスケジュールでリリースできなくなる。スケジュールは右往左往し、それをどうすることもできない。必要な情報を知ったときには手遅れということも出てくる。ありがたくない話ばかりだ。

しかしこれは覚えおかねばならない。困っているのは自分や自分の会社だけではない。全員が困っているのだ。株式市場の暴落ぶりは歴史的レベルだ。韓国や中国沿岸部からのツイートは深刻なものだ。

MWC(モバイル・ワールド・コングレス)は早々にキャンセルされた。開催を強行したとしても誰も参加せず、ゴーストタウンだっただろう。Facebookも今年のF8を中止した。イベントの一部はオンラインに切り替えて実行するという。ライブストリーミングでカンファレンスを主催、運営するサービスはTechCrunchでも紹介した。

主催者、参加者が今後どうすればいいのかは、「感染を避ける方法」ではなく「ダメージコントロール」だ。ただ困っているのではなく、この後どうなるののか何をすればいいのかを考えねばならない。予定表には対策のリマインダーを書き込み、関係者のスケジュール変更を確認し、取引先にも変更を連絡して謝罪する。この記事のトップにも書いたが「合理的な予防措置を取り、周囲の人々にもそれを知らせる」というルールに従うべきだ。

4. 最新情報に留意し、対策を改善する

こうした事態が自分や自分の会社の生産性、機能に深刻な打撃を与えているなら、よく検討してみる必要がある。何ができなくなったのか? 何がどのように損害を与えているのか?具体的に考えることが重要だ。

「対面コミュニケーションに頼りすぎていないか?」「そのためテキストで複雑なコンセプトを説明できないと思い込んでいないか?」「Slackのような生産性の高いコミュニケーションツールを使わないでいるということはないか?」「プレスリリースとメールのピッチはぐったりしているか?」「自分の強みから後退することを余儀なくされると、必然的に自分の弱点に遭遇します。退屈なセールスピッチやプレスリリースを惰性で出し津続けていないか?」。自分の強みがブロックされると必然的に自分の弱みと向き合わざるを得なくなる。

今回の危機は自分と自分の会社にとってコミュニケーションと生産性のうえで何が弱点であるか検討するチャンスでもある。好むと好まざるとに変わらず、否応なくこうした欠点に直面する。単に打撃を受けたままでいるのか、新たな強みを作っていくのかは本人次第だ。

それに多くの活動が止まった今はキャッチアップの絶好のチャンスでもある。時間がかかるので先延ばしにしていた仕事を片付けることができる。メールの受信ボックスを空にする。数週間前に読むと約束しておいたレポートを実際に読む。聞き取りにくいと評判が悪かったセールスピッチを改めて練習することもできる。

テクノロジー企業、またテクノロジー関連企業(現在はとほうもなく広い範囲だ)の仕事の大部分は実際に会ったり、会議したりしなくても可能だ。自分の仕事ができない場合でも、仕事のやり方を改善する努力はできる。

5. 困っているのは自分だけではない

現在起きているのは、医療だけでなく経済、社会活動を含めた複雑かつ広範囲にわたる影響を伴う世界的問題だ。我々が目にしているのはそのごく一部に過ぎない。

自分だけが困っている個人的問題と考えてはならない。新型コロナウィルス(COVID-19)は自分がプロモーションしているB2Bサービスを打ち壊すために現れたわけではない。台風や地震のように突然起きて無差別に損害を引き起こすものだ。影響を受けるの自分だけではない。読者がいかに困っていようと、もっと困った状況に置かれている人々が大勢いることは確実だ。

苛立たしく、不安をかきたてる不快な状況だが、他の人々も同じことを体験し、同じように感じ、それぞれに対処の努力をしていることを思い出すべきだろう。

画像:Marc Romanelli / Getty Images

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(翻訳:滑川海彦@Facebook