タップやスワイプを行動分析し詐欺・不正行為と闘うNeuro-IDがシリーズBで約40億円調達

私たちの生活の大部分はデジタル体験を中心に成り立っており、企業はコンバージョンを促進したり、詐欺スクリーニングを最適化する方法をますます模索している。米国時間11月4日、リアルタイムの行動分析ツールを構築したスタートアップが自社サービスへの需要の高まりを受けて、資金調達を発表した。

デジタル企業がデジタル顧客の意図を理解し、顧客との摩擦の根本原因を特定するために、大規模なスケールでリアルタイムの顧客行動を捉える分析プラットフォームを提供するNeuro-IDは、シリーズBラウンドとして3500万ドル(約39億8000万円)を獲得した。

今回の新たな資本は、2020年12月に調達した700万ドル(約8億円)のシリーズAに続くもので、2014年の設立以来、同社の累計調達額は4950万ドル(約56億3000万円)に達した。

今回のラウンドはCanapi Venturesがリードし、既存の投資家であり共同でシリーズAを主導したFin VCとTTV Capitalがそれに加わった。

Neuro-IDは評価額を公表していないが、CEOのJack Alton(ジャック・アルトン)氏は、メールで「強い顧客の牽引力」を背景にしたものだと述べている。

「Neuro-IDは、2021年には売上高、顧客数ともに3~4倍の成長が見込まれています」と同氏は付け加えた。「これは、顧客数と収益が3~4倍に増加し、モニターされたカスタマージャーニーが500%増加した、当社にとって大きな拡大の年に続くものです」とも。

Neuro-IDのヒューマンアナリティクスダッシュボード(画像クレジット:Neuro-ID)

同社の顧客リストには、Intuit(インテュイット)、Square(スクエア)、Affirm(アファーム)、OppFi、Elephant Insuranceなどが名を連ねており、Neuro-IDが独自に開発したHuman Analyticsソフトウェアを使用して、スワイプやタップによるユーザーの行動のすべてを実用的なインサイトに変換している。

この行動分析により、顧客は行動データを見て、既存のAI / MLモデルを最適化するために利用することもできる。顧客は平均して、コンバージョンを200%向上させ、過去の不正率を35%低減させることができたという。

アルトン氏は、今回の資金調達を、エンジニアリング人材の追加採用、製品主導の成長の加速、グローバルな事業拡大に充てる予定だ。過去1年間で、同社の社員数は約3倍に増え、現在は60名になっているという。

Canapi VenturesのパートナーであるWalker Forehand(ウォーカー・フォアハンド)氏は、メールで次のように述べている。「Neuro-IDは、ユーザーの意図や体験を分析するためのワンストップショップであり、新規顧客を分析する独自の機能を備えていることで、リピート顧客との対話に重点を置く他社との差別化を図っている」とのこと。

シームレスなカスタマージャーニーを実現することは、フィンテック企業にとっても銀行にとっても優先事項であり、フォアハンド氏は、デジタルジャーニーを開始してから完了する人はわずか10%未満であると述べている。また、従来のモデルでは、住所や生年月日などの物理的な属性を用いて認証を行っているが、Neuro-IDでは他の方法で顧客が本物か不正かを識別する。

フォアハンド氏はこうも述べている。「顧客の行動を大規模に把握するこの新しい見解は、詐欺を減らしつつ、優良顧客を早期に獲得してより多くの収益を上げるためのコンバージョンの改善、意図の測定の高度化、デジタル製品の設計品質の向上などの可能性を広げます。最もエキサイティングなのは、Neuro-IDの技術はフィンテックや銀行に適用できるだけでなく、大量のデジタルおよび自動意思決定に対応するあらゆる業界がNeuro-IDの顧客になりうるということです」。

画像クレジット:Neuro-ID

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(文:Christine Hall、翻訳:Aya Nakazato)

アップルがApp Storeの「問題を報告」リンク復活、不正行為対策への協力を呼びかけ

Apple(アップル)がApp Storeに変更を加える。iOS 15、iPadOS 15、およびmacOS MontereyデバイスのApp Store製品ページに「問題を報告」リンクを復活させる。ユーザーがアプリに関する問題を簡単に報告する方法を提供する。アプリに不快なコンテンツや違法なコンテンツが含まれていないか、あるいは消費者からお金を騙し取ろうとしていないかなどを報告することができる。Appleは数年前、App Storeからユーザーフレンドリーな「問題を報告」ボタンを削除したが、それはあだとなったのかもしれない。新たな報告によると、上位アプリの多くが詐欺であり、消費者に数百万ドル(数億円)の損害を与えている。Appleはこの状況について議会から質問を受けたこともある。

このボタンの復活は今週初めに発見の報告があったものの、Appleは米国時間10月6日まで正式に発表していなかった。

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Appleによると、この新機能は現在、米国、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドで提供されており、時間をかけて他の市場でも提供していくとのことだ(ただし、厳密にはこの機能は新しいものではなく、このようなボタンはApp Storeの初期の頃には重要な機能だった)。

「Report a Problem(問題を報告)」ボタンのある古いApp Storeの例(画像クレジット:Dummies.com)

このボタンは、ユーザーがインストールしたアプリにのみ表示される。

ボタンをクリックすると、ユーザーはreportaproblem.apple.comで「詐欺または不正行為を報告」や「有害な、乱用的な、または違法なコンテンツを報告」などのオプションを選択することができる。また、アプリ内課金を含まない無料アプリの問題も報告できるようになる。

App Storeのスクリーンショット、2021年10月

Appleによると、AppleのApp Review、Discovery Fraud and Live Moderation、Financial Fraudの各チームは、報告された問題について、不正、人為的操作、乱用、その他のApp Store Review Guidelines違反の兆候がないか調査する。そして、発見した問題を解決するために開発者に連絡を取る。ただし、消費者に対する直接的な金銭的救済措置については言及していない。消費者はこれまで通り、このページから別の手続きで返金を要求しなければならない。

Appleが数年前にサブスクリプションモデルに移行して以来、App Storeでの詐欺行為は明白で悪質なものとなり、多くの場合、収益性が高い。悪質な業者らは同モデルに移行してすぐに、ビルトインされたツールを利用して消費者を騙し、サブスクリプション購入に誘導しようとした。Appleは、定額制アプリに「ダークパターン」やその他の不正な手段を使おうとする開発者を捕まえることを目的とした新しいガイドラインを発表した

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ある開発者、特定して言えば、詐欺師によって失われた収益をめぐってAppleを提訴したKosta Eleftheriou(コスタ・エレフテリオ)氏は、App Storeにおける最悪の詐欺行為に焦点を当てることを自らの使命としている。

同氏自身のビジネスに影響を与えたその詐欺では、Apple Watchアプリの偽物が消費者から数百万ドル(数億円)を騙し取ったと言われている。同氏はまた、エンドユーザーにとっていかに大胆で悲惨な行為であるかという理由で見出しを飾った詐欺も発見した。その中には、ユーザーの生活費(約60万ドル=約6600万円)をビットコインで騙し取った暗号資産ウォレットアプリや、実はオンラインカジノが隠れている子ども向けゲーム、年間500万ドル(約5億5000万円)を騙し取っていたVPNアプリなどがある。

エレフテリオ氏は現在、App Storeの詐欺事件をもう1件調査しており、近日中に公開する予定だと話している。この事件では、数百万件ダウンロードされたアプリの開発者が、数千万ドル(数十億円)の収益を上げていた。

同氏の仕事は、AppleがApp Storeの不正行為対策にどれだけ投資しているかについて疑問を投げかけた。結局のところ、1人の開発者が空いた時間に次から次へと詐欺を暴くことができるなら、世界で最も価値のある企業にもできるのではないだろうか。

実際、同氏は、より簡単に詐欺を発見するためのシステムさえ開発した。「Bunco Squad」というこのツールは、アプリの評価、レビュー、ダウンロード数、収益などの指標をダッシュボードに表示し、アプリに信頼度のスコアを付与する。詐欺師の多くは偽の評価を購入しているため、アプリの総合的な星評価とレビューの記載があるもののみから算出した評価を比較し、詐欺の可能性を見つけるというのは非常に簡明だ。

同氏は「Bunco Squad」をApp Storeで公開しようとしたが、当然のことながら却下された。Appleからは、アプリが提供する情報の一部が不正確である可能性があると言われたそうだ。

App Storeの不正に関する問題は、2021年になって議会にまで持ち込まれた。

Appleは、4月に行われた上院の反トラスト法に関する公聴会で、App Storeの詐欺師を止める能力がないように見えることについて質問を受けた。同社は、安全で信頼できるアプリ市場を維持するため、開発者に代わって詐欺行為に対処していることから、開発者に課す手数料を正当化していた。上院議員たちは、このようなApp Storeの詐欺行為を発見するために、なぜジャーナリストやその他の「オープンソースの報告」(エレフテリオ氏のような公の取り組みを指していると思われる)に頼らなければならないのかについて情報を求めた。

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そのときのAppleの回答は、セキュリティや不正行為との戦いは「いたちごっこ」であり、改善に努めているというものだった。

Appleは、10月6日の発表で、不正行為への効果的な対策には一般の人々からの協力が必要であることを認めたようだ。

同社は、App Storeの変更に関するお知らせという形ではあるが、一種の声明を発表した。その中で、同社が詐欺対策に十分な努力をしていないのは、おそらく詐欺アプリの収益がApp Storeの利益に貢献しているからだ、という噂を打ち消そうとしたようだ。

「問題のあるアプリは、ユーザーと開発者のApp Store体験を低下させます。私たちは、削除すべき問題のあるコンテンツの種類を特定する技術を常に拡げています。問題のあるアプリは削除され、その開発者はApple Developer Programのメンバーシップを失う可能性があります」と述べている。

「Appleは、App Storeがすべての開発者にすばらしい機会を提供し続けるために、問題のあるアプリからユーザーを保護することに深くコミットしています」と付け加えている。

画像クレジット:TechCrunch

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(文:Sarah Perez、翻訳:Nariko Mizoguchi

アマゾンがインドの法務顧問による現地政府当局への贈賄を捜査開始

Amazon(アマゾン)は、インドの同社法務顧問が政府当局に賄賂を送ったという内部告発を、インドのニュース・分析機関であるMorning Context(モーニング・コンテクスト)が現地時間9月20日に報道したことを受け、インドの同社法務代理人の行動に関する捜査を開始した。

報道によると、Amazonは同社が提供する法務費用が政府関係者への賄賂に使われていたかどうかを調べている。記事は匿名の情報源を引用しており政府関係者の個人は特定していない。Amazonは、上級顧問弁護士のRahul Sundaram(ラフール・スンダラム)氏を休職させたと同誌は伝えている

Amazon広報担当者はTechCrunch宛の声明で、会社は「いかなる腐敗行為も許さない」と話したが、捜査の詳細については言及しなかった。

「当社は不正な行動の疑いを深刻に受け止め、徹底的に捜査したうえで適切な措置をとります。現時点で具体的な疑惑内容や捜査状況についてはコメントいたしません」と広報担当者は付け加えた。

インドはAmazonにとって主要海外市場の1つだ。米国のeコマース巨人は、これまでこの南アジア国の事業に65億ドル(約7120億円)以上投資しており、この数年に複数の分野へと積極的に拡大してきた。

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新たな展開は、Amazonが大規模販売業者を密かに優遇し、それらの企業とのつながりを不正確に伝えることでインドの海外投資規則を回避していたとするReuters(ロイター)報道から数カ月後に起きた。

さらにAmazonは、インドで現在進行中の反トラスト捜査の対象にもなっている。同社の上級幹部らは、捜査に異議申し立したが成功せず、同社がPrime Video(プライムビデオ)で配信した政治ドラマが宗教心を傷つけ公衆の怒りを買ったとする疑惑に関して、現地警察から召喚され尋問を受けた。

その後同社はその全9回のミニシリーズを巡り、後に異例の謝罪を行った。

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画像クレジット:Noah Seelam / AFP / Getty Images

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(文:Manish Singh、翻訳:Nob Takahashi / facebook